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引力=LOVE?-1 - (2007/05/26 (土) 21:32:22) のソース
ドオオォォォオオオオン 雲一つ無い青い空へ、爆煙が吸い込まれるように昇っていく。 爆発を起こした張本人『ゼロのルイズ』は、キョトンとした顔で爆発源を見つめていた。 そのモクモクと起つ煙が晴れると、そこにはさっきまでなかった筈の人影があった。 「……人間?」 ルイズの周りを囲む生徒の誰かがそう口にした。 するとダムが決壊したかのように次々と生徒たちは笑いだした。 「ちょっとォ、ルイズ!あなた、一体何呼び出してるのよーッ!」 「人間……しかも平民って……」 その笑い声をグッと堪えるルイズ。ぎゅうと握られた手がその悔しさを物語っていた。 彼女は目の前で倒れている人物を一瞥する。どうやら気絶しているようだ。 しかしそれは彼女にとってどうでもいいことだ。 「ッ~……!ミスタ・コルベール、もう一度、もう一度召喚させてください!」 少し離れたところにいたちょっぴり頭が危険信号な男性に向かって、叫ぶように言う。 「駄目です。サモン・サーヴァントは特別な行為。やり直すことはできません」 と、その男性、教師であるコルベールは言った。 再召喚禁止。ガクリとルイズの肩が落ちる。後ろからまた笑い声が聞こえた。 「……しょうがないわね」 ルイズはふうと観念したようにため息をつき、倒れている人物に近づいていく。 近くで見ると、どうやらこの人物は女性のようだ。しかもまだ成人しきっていない少女だ。 胸も……それなりに大きい。ルイズはちらりと自分のそれを見る。またため息が出た。 ルイズは倒れている少女の傍に座り、呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」 そしてそのまま屈み、少女に口づけをした。なんか花が舞っている気がするのは気のせいだろう。 「ッ!」 「キャッ!」 ルイズが唇を離すと、倒れていた少女がカッと目を見開いた。ルイズはそれに驚き、大きく後ろへと倒れ込んでしまった。 「は、ッ、熱い……手が、熱ッ……!!」 少女の手が熱を帯びている。そのあまりの熱さにゴロンゴロンとのたうち回る少女。 しばらくすると熱が治まったのか、少女の動きも静かになった。 (……ここは、どこだ?プッチは?エンポリオは?みんなどこだ?あたしの目の前にいるこいつは誰だ?確か、プッチのスタンドに、ストーン・フリーがバラバラにされて……それから……それから、あたしは死んだのか?なら、ここは?あいつは?もしかして天国?……ああもう、ワケがわからない!) 召喚された少女、空条徐倫はこの事態に混乱していた。 それもその筈。敵プッチ神父の攻撃に倒れたと思えば、目覚めればこんなところに来ていたのだから。 「ちょっとあんた、目が覚めてるならさっさと起きなさいよ。他のみんなもう帰っちゃったじゃないの!」 ルイズは倒れている少女に向かって覗き込むようにして話しかける。 その声に反応し、徐倫はバッと身構え距離を取る。そんな彼女の様子にルイズは首を捻る。 「あんた、誰?」 「人に名前を尋ねるときは、まず自分から話すものよ」 徐倫の目が細められた。この少女の上から目線は何様のつもりだ、偉そうに。 仕様がない。徐倫は先に自分から名乗ることにした。 「……あたしの名前は空条徐倫よ。で、あんたの名前は?」 「ふうん、ジョリーンね。わたしはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。あなたの主人よ」 「主人?」 「そう。ジョリーン、あなたはわたしの使い魔に選ばれたのよ。光栄に思いなさい」 「は?」 こいつ何言っているんだ?いきなり選ばれただとか使い魔だとか…… 「さあ、部屋に行くわよ。ついてきなさい」 そう言ってルイズはくるりと身を翻す。 徐倫は慌ててルイズの肩を掴み、こちらを向かせた。 そのまま胸元を引っ掴んでガクガクと揺さぶりそうな勢いだ。 「ちょっと待てェーーッ!話が見えないわ、ちゃんと説明しなさいよッ!」 「したでしょう。わたしは主人、あなたは使い魔」 「それじゃあ足りないわよ!あたしをここに連れてきた理由は何!?」 噛みつきそうな程の勢いでルイズに問う。 ルイズは面倒くさそうに肩を掴む徐倫の手を払った。 「詳しいことはわたしの部屋で話してあげるわ。だからついてきなさい」 これは罠だろうか。そう訝しむ。しかし今はルイズに従うしかない。 もし本当に罠だったとしても、あたしにはスタンドがある。なんとか切り抜けてやる。 徐倫は前を歩くピンクの頭を睨みつけながらルイズの部屋へと向かった。