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ゼロの兄貴-29 - (2007/08/21 (火) 09:43:26) のソース

「驚いたわねー…」 
ルイズの部屋の外にシルフィードが浮かび、その上には例によってキュルケとタバサが乗っている。 
どうも、五月蝿かったので様子を覗いていたらしい。 
「そりゃあ、貧弱貧弱ゥゥなルイズよ?でも、アレを見ても動揺一つすらしないなんて」 
タバサは例によって興味なさそーに本を読んでいる。 
まぁ今まで着替えを渋々やらされていたからなのだが、それはキュルケの知らない事である。 
「興味が無いってわけじゃないんでしょうけど…さっきもメイドと何か話ししてたし…何だかルイズが可哀想になってきたわね…」 
思わず涙が出そうになるが、何かタバサも睨んでいるような気がしたので話題を変える事にした。 
「それに、あそこまであたしのアプローチ拒まれると、ついつい気になっちゃうのよね」 
今まで、自分の求愛を拒んだ男はいない。それがキュルケの自慢でもあり自信に繋がっている。 
まあ、本当はそんなことはないのだが、自分に都合の悪い事はすぐに忘れてしまうのだ。 
良く言えばポジティブ。悪く言えば楽観主義者というところか。 
「よく考えると彼の事よく知らないのよね。ここに来る前に何をやってたのとか。あまり自分の事を話してくれた事なんてないし」

「彼は」 
そんなのでよく惚れたなという視線をタバサが向けていたが、今まで黙ってそれを聞いていたタバサが口を開く。 
「少なくとも仲間のためなら命を賭けれる人。そして、その精神力は非常に高い」 
アルビオンでの事を思い出す。半覚醒のデルフリンガーである程度流したとはいえ『ライトニング・クラウド』を受けて意識を保ち 
その後も、偽装していた空賊船に一人で乗り込み、ニューッカスル城での脱出時は、大量に血を流している状態から能力を保ち続け、ルイズを運んだ。 
常人ならあの傷を負った時点で気絶していてもおかしくはない。そして止血のため赤熱した剣を傷口に刺すというあの行為。 
5秒。その時間は本来なら短い。だが、激痛などが襲っている時の5秒は精神的に数倍の時間を要する。 
結局は気を失ったのだが、剣を引き抜くまで意識を保っていた事にタバサは驚いたものだ。 

「成し遂げなければならない目的があるはず。だから多分…無駄」 
自分と同種の人間だという事は少なからず感じ取っている。 
これは知らない事だが、プロシュートがイタリアに戻り、仲間達が栄光を掴んでいる姿を見届けるか、そうでなければボスにその報いを受けさせるという事と 
タバサが母を守り叔父―ジョゼフに、母をあんな風にした報いを受けさせる事。 
行動原理としては、ほぼ同一に近い。 
もっとも、はしばみ草の事は予想外だったが。

「分かってないわねタバサ。無駄、無理なんていうのは聞き飽きたし、あたしの辞書にそんな言葉は無いのよ?」 
これだ。と溜息を吐きつつも、やはりこの友人が好きだった。自分には出来ない考え方ができ、それを実践できるキュルケが。 
「なんにしても少し作戦練らないと駄目ね。手堅くプレゼントってのがいいんだろうけど…何かこうインパクトのあるやつでないと」 
う~ん、と唸って考えるがどれも今一しっくりこない。 
さらに考えるがさっきタバサが言った『少なくとも仲間のためなら命を賭けれる人』というのを思い出して頭の上に豆電球が出現した気になり手を叩いた。 
「…そうよ!冒険ね…!冒険の中、あたしがピンチの時、颯爽と彼が命懸けであたしを助けてくれ…そしてそのまま…」 
熱の流法に突入したご様子のキュルケさんをタバサが『巻き込まれるんだろうな』という目で見ているが気にしない。 
「冒険に付き物といえばやっぱり財宝とかよね、それに地図とかも必要だし…準備するわよタバサ!」 
「了解」 
しゃーんなろーと叫ばんばかりに拳を天に突き上げるキュルケから目を離し本に目を戻していたが内心興味はあった。 
先住魔法とも系統魔法とも違うあの力が。 
老化は役に立たないが、プロシュートの居た場所には違う能力。『スタンド』と呼ばれる力には治す力というのもあるかもしれない。 
毒を盛られ精神が崩壊してしまった母を治す為の手掛かりは大いにこしたことはない。だから半分呆れながらも了承の答えを出した。 

2日程経過してやっとこさルイズを引き篭もり状態から連れ出したのだが、色々な条件を付けられた。 
勝手に行動しないだの、マンモーニと呼ばないだの、レッスン4『敬意を表せ』だの。 
面倒なのでまぁ一応は了承したのだが、初めて扱うタイプなので結構戸惑っていたりする。 
「やれやれ…[[ペッシ]]やギアッチョとは違った意味で手の掛かるヤツだな。…リゾットに昔、従妹がいたって聞いたが…あいつもこんな感じだったのか…?」 
空を見上げるとチーム一の苦労人が特徴のある目でこちらを見ているような気がした。

昼飯を食っている時にキュルケが寄ってきていつもの事だと思いつつ続けていると 
「貴族になりたくない?」 
と聞いてきて思わず噎せかけた。 
「別に貴族って名前には興味ねーな」 
名ばかりの称号に興味など無い。それはパッショーネで十分経験済みだ。 
求めるのは実利と栄光のみ。だからボスを殺し麻薬ルートを押さえようとした。 
「キュルケ、平民のプロシュートが貴族になれるわけないじゃないの」 
「トリステインならそうだけど、ゲルマニアなら話は別よ? 
   お金と能力さえあれば誰であろうと土地を買って貴族の姓を名乗れるし、公職の権利を買ったり、中隊長や徴税官になることだってできるのよ」 
「だからゲルマニアは野蛮――」 
ルイズがそこまで言いかけたが慌てて口を閉じた。 
アンリエッタが手紙の奪還を依頼してきた日の事を思い出したからだ。 
あの時のプロシュートの怒りゲージは尋常じゃなかった。 
あの殺意を含んだ視線で本気でヤバイと思い何もすることができなかったぐらいだ。 
「?、まぁいいわ、とにかくゲルマニアじゃ実力さえあれば平民でも貴族になれるの」 
「金のアテが無いな。ツテもねぇしコネも無い」 
「フフ~ン、だからこれからそれを捜しに行くんじゃない」 
バッっとキュルケがその場に羊皮紙の束を広げた。 
「…なんだこいつは?」 
その紙の束を見つめるが、地図らしきものが描いてある。 
「何って宝の地図に決まってるじゃない。財宝を見つけてそれを売ってお金にして貴族の地位を買う。そうすれば好きなことができるわよ?」 
「随分とまたウサンクセーな」 
「あら、そりゃあ殆どがクズかもしれないけど、中には本物もあるかもしれなじゃない!『栄光』を掴むには徹底的にやらなくちゃあダメなんじゃないかしら」

暗殺者というだけあって現実主義者であり、宝の地図などというものにはあまり食い付かないのだが 
列車で亀に隠れたブチャラティを探し出すために列車全体をスタンド攻撃に巻き込んだ事があるだけに、徹底的にやるという所には納得できるとこはあった。 
「徹底的にか。…まぁ帰る為の手掛かりも見付かるかもしれねーしな。破壊の杖みたいなものがあるかもしれないからやる価値はあるが…」 
視線をルイズの方に移す。一応条件を付けられているだけあって単独行動をするわけにはいかない。 
う~~、とルイズが唸っている。手掛かりが見付かればイタリアに帰ってしまうかもしれないというのが迷いの原因だ。 
数分唸っていたが 
「…分かったわ。その代わり勝手なことしないでよね。あと……こ、この前の事…ちゃ、ちゃんと、あ、謝りなさい」 
(こいつは、まだ気にしてんのか…) 
この前まで、着替えやらされていたせいなのだが、トドメを刺したのはデルフリンガーだ。 
視線をそっちに向けると一瞬だがビクッ!とデルフリンガーが震えたような気がする。 
まぁ高濃度の沸騰した塩水が入った鍋の上にデルフリンガーをロープで釣り上げ 
そのロープをロウソクで焼き切れるかどうかの微妙な位置に置き拷問ダンスをやっていたからなのだが。 
ともかく、クラッカーの歯クソ程にも悪いとは思っていないが、色々と厄介なので折れる事にした。 
その時、『泣く子は餅を一つ多く貰える』という某民族の諺が思い浮かんだのだが気にしない事に決めた。 
「…悪かったな」 
「それだけ?」 
少しイラっときて説教しそうになるが、こらえた。この世界に来てからそっち方面に関して結構忍耐強くなったとそう思う。 
というか、イタリアと同じ感覚で説教してたら色々と持ちそうに無い。主に声帯とかが。 
「悪・か・っ・た・な!」 
ルイズの頭に手を置きぐ~りぐ~りとイジり倒す。無論強めにだ。

「や、やめ…ていうか子ども扱いするなぁ~~~~~!!」 
頭を押さえつけられもがいているルイズとほんの少しだが薄く笑っているような顔のプロシュートを見てのキュルケの感想は 
「仲良さそうでいいんだけど、こうして見てるとなんか兄妹みたいよね~」 
そして、黙ってみてたタバサが 
「似てる」 
と言うと、二人が同時に口を開き 
「「一緒にすんな(しないで!)」」 
と見事に声がハモった。 

ギャーギャー五月蝿いルイズを黙らせるとキュルケに手筈の確認を取る。 
「で、何時やるんだ?」 
「やると思ったらその時スデに行動は終わっている。つまり今からよ!」 
凄まじく馴染みのある言葉を聞いた気がするのだが、そこにシエスタが割り込んできた。 
「わ、わたしも連れてってください!」 
「ダメよ。平民なんか連れて行ったら、足手まといじゃない」 
「バカにしないでください!わ、わたし、こう見えても……」 
シエスタは、拳を握り締め、わなわなと震えた。 
何か超スゴイ能力を持っているのかもしれないという視線がシエスタに集まる。 
「料理ができるんです!」 
「そりゃあな」 
「「「知ってる!」」」 
全員が突っ込むが、むしろ自信を持ってシエスタが答えた。 
「でも! でもでも、食事は大事ですよ? 宝探しって、野宿したりするんでしょう? 
  保存食料だけじゃ、物足りないに決まってます。わたしがいれば、どこでもいつでも美味しいお料理を提供できますわ」 
はしばみ草を食べられる味覚のプロシュートとタバサを除いた二人は根っからの貴族であり不味い食事などに耐えられそうに無い。 
シエスタ、キュルケ、ルイズがまだ何か言っているようだがプロシュートは一人で考え事をしていた。

(金はある事にこしたこたぁねぇがチームの運用関連はリゾットに任せっきりだったからな…) 
帰るために、情報を集めねばならない。そうなれば必要になるのは金だ。 
ルイズもまぁ手を貸してくれるかもしれないが、そうするとさらに借りを作る事になり堂々巡りになる。 
(あいつは、経営者やっても結構巧くやるかもしれないな) 
こうして考えると、暗殺チームがリゾットの手腕によって維持されていたというのがよく分かる。 

「仕事はどうするのよ?勝手に休んでいいの?」 
「マルトーさんに『プロシュートさんのお手伝いをする』って言えば、いつでもお暇は頂けますわ」 
どうも何か少しばかり勘違いしているマルトーの事だろうから多分そうなるのだろうが。 
「分かったわ。勝手にしなさい。でも、言っておくけど、危険よ? 廃墟は遺跡や森、洞窟には危険な敵がたくさん居るんだから」 
「へ、平気です! プロシュートさんが守ってくれるもの!」 
そういって、シエスタがプロシュートの腕を掴んだのだが、ルイズの方は腕に当てられた双球をジト目で見ている。 
「だから、守る事に適した能力じゃあない」 
「…そういえば、グレイトフル・デッドだっけ?あれって一体なんなの?」 
「まだ、デルフにしか話してなかったな。…まぁそのうち説明してやる」 
タバサもしっかり聞いていたりするのだが、直接説明したのはデルフリンガーだけだ。 
キュルケ、ルイズは今、説明して欲しそうな顔をしていたが、この場合プロシュートがそのうち話すと言っているので今は聞き出す事は不可能だろうという結論に達し 
納得はいってない様子だったが、頷くと、一同を見回し、高らかに宣言した。 
「それじゃあ準備して、いやむしろ準備した!なら使ってもいいわ!」

『それ』は消去されたはずの存在だった。 
だが、ほんの一部が完全に消去される前に、何の因果かこの地に流れ着いた。 
『それ』は最初は、ほぼ無意識に動いていた。 
ただ、己を維持するためだけに。 
少しづつ、少しづつ、栄養を得ると、ほんの少しだが『成長』した。 
『成長』するにつれ、本能がさらに栄養を求めた。 
求めるにつれ、『飲む量』も増えていった。 
一先ずだが本能が満たされると何かを思い出そうとする。 
完全ではない。体も本来の2/3程度だし思考能力や記憶も断片的なものしか無い。 
「……『ここ』…いっ……ど……すか?」 
誰かに問うが、その誰かすら思い出せない。 
もちろん、その誰かからは返事は無い。 
「…ど…し……たか?……ー…」 
しばらく経っても何も無いので『それ』はその場所を動く事にした。

「NGUUUUUUUIYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」 
オーク鬼―好物が人間の子供という豚の頭を持った醜悪な生物が奇声を上げ叫ぶ。 
自分達の縄張りに火の跡。つまり敵であり、餌がいるという事だ。 
十数匹のオーク鬼が建物から飛び出てくるが、めいめいに奇声を上げ猛る。 

「ポルポを2周りぐらい小さくすりゃあ、あんな感じになるか?」 
「兄貴のとこにもオーク鬼って居るんだな」 
「いや、ポルポは一応人間だぜ」 
「それで人間ってオーク王間違いだろ?」 
「……可能性はあるな」 
プロシュートとデルフリンガーが軽口を叩くが、他の三人(シエスタは退避)はオーク鬼相手という事で結構緊張している。 
「なんであんなに余裕あるのかしらねー。まぁそこが頼もしいとこなんだけど」 
キュルケが木の上から、一人と一振りを見ているが、オーク鬼が集まっている中心点から爆発が起こった。 
「PUGIYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」 
オーク鬼が2~3匹吹っ飛ぶが、厚い皮下脂肪と皮に阻まれ致命傷になっていない。 
続けて爆破しようとするが、後ろから無数の氷柱が飛来し、負傷しているオーク鬼に突き刺さった。 
タバサの得意呪文『ウィンディ・アイシクル』がオーク鬼にトドメを刺し、それに続いてキュルケが『フレイム・ボール』でもう一匹の頭を焼き尽くした。 
「こ、この!」 
タバサとキュルケは強力な呪文を連射する事はできないが、ルイズの爆発は別だ。例えスクウェアクラスの呪文だろうとコモンマジックだろうと同じ爆発を引き起こす。 
「AGIIIIIIIII!!」 
オーク鬼達はメイジとの戦いが一瞬で決まる事を熟知している。斃された仲間は二匹だったが…この爆発の数は異常だ。

さっきの攻撃と合わせても十数人の数のメイジと誤認しても無理のない事だった。 
数が同じ程度ならメイジを相手にするのは不利だ。そう思ったのか一匹のオーク鬼が逃げる。 
その逃げ出した先に右手に剣を持った男が逃げ道を塞ぐように現れた。 
メイジならヤバイが剣を持っているという事は戦士だ。 
訓練を受けた人間の手練の戦士の五人分に相当すると言われているオーク鬼からすれば、鎧袖一触の存在であり一瞬でカタが付く。 

人間大の大きさの棍棒を男に向かい振るうが当たる手前で何かに止められた。 
「パワーだけは…まぁBってとこか。人外に広域老化がどれだけ効くかどうか分からなかったが、その脂肪で燃焼してるだろうから内側からよく効くだろうよ」 
「豚だな、豚」 
何かに掴まれている棍棒を振り解こうとするが、力が入らない事に気付いた時はもうスデに地に崩れ落ち天寿を全うするハメになった。 

老死したオーク鬼を一瞥すると首から頭蓋骨の首飾りをしているのを見つけた。 
獣特有の悪臭が鼻をつくがそれを見ても別段、特別な感情はしない。 
生きるために殺すという事に、暗殺稼業で生き延びてきた自分がどうして怒りなどという感情を持てようか。 
いや、むしろ報酬などの俗なものが無いだけ、オーク鬼の方がまだマシかもしれない。 
「……どっちが化物だかな」 
「なんか言ったか?」 
「いや…それより残りを始末するぞ」 
残り12匹が固まってこちらに向かってくるが、老化が人間と同じように通用する以上、遠慮する必要は無い。 
「グレイトフル・デッド!」

メイジの群れ(オーク鬼はそう思っている)から逃げ出してきたオーク鬼がこちらを何の感情も持たない視線で見据えているプロシュートに気付くと本能でヤバイと感じた。 
ただの人間に負けるはずはないという気はあるが、本能がヤバイと告げている。 
それが何か分からないが、どう足掻いても逃れられないものだという事は本能で理解した。 
だが、経験と常識でそれを無視し、叫び声を上げながら襲い掛かったのだが、敵の動きが妙に早い事に気付く。 
4匹が首を落された時点でようやく気付いた。敵が早いのではない。自分達が遅くなったのだと。 
最後の一匹になり、周りの死体を見た瞬間さっき感じた逃れられないものの正体を悟った。 
それが、生物全てが逃れられない『老い』であるという事を。 

プロシュート一人でオーク鬼12匹を三分で始末したのだが、対生物相手の集団戦闘こそグレイトフル・デッドの真骨頂だ。 
体温を下げられない限り何匹居ようと、それが変わるわけではない。 

「相変わらず、無茶苦茶な魔法ね…」 
「魔法じゃあねぇ。まぁついでだ、一息ついたら説明してやる」 
シルフィードも上空から降りてくるが、フレイムは体温の下げようがないので広域老化に巻き込まれたら、それこそ即死しかねないので自宅待機だ。合唱 
もちろん、射程範囲内の全員は氷を持っている。キュルケの場合、『フレイム・ボール』使っただけちょっと危なかったのだが、その分氷を多めに持っていた。 

「さすがダーリン!一人でオーク鬼を12匹も倒しちゃうなんて!」 
「凄いです!あのオーク鬼たちを一瞬で!プロシュートさん凄いですっ!」 
木から下りてきたキュルケと物陰に隠れていたシエスタがプロシュートに同時に抱きつくが、ルイズはそれを見て、む゛~~、と唸っている。 
タバサは老死したオークを杖で突いたりしていた。ラ・ロシェールの酒場でも見たがあの時はゴタゴタがあってよく確認する暇が無かった。 
(やっぱり、老化してる…これがスタンド) 
驚くと同時に少し恐怖する。先住魔法でも系統魔法でもない、ある意味『死』を司るような『虚無』でもできるかどうか分からない力が。 
プロシュートが居た場所には、こんな使い手がゴロゴロいるという事だ。 
だが、それだけ期待値が高いということでもある。 

「さて、この寺院の中の祭壇の下にはチェストが隠されてて 
  その中には司祭が寺院を放棄して逃げ出す前に隠した、金銀財宝と伝説の秘法『ブリーンシンガメル』があるって話よ」 
「ブリーンシンガメルってなによ?」 
「黄金でできた首飾りで、『炎の黄金』で作られているらしいのよ。聞くだけでグッくるわね!」 
キュルケが興奮気味に喚きたてるが、冷静組みの二人と一振りは醒めた目でそれを見ている。 
「兄貴はどう思う?」 
「…あるわけねーな。逃げる時隠す余裕があんなら持って行くだろ。大体なんで数十年前程度に逃げて放棄したもんに地図があんだよ」 
「はしばみ草を賭けてもいい」 

[[←To be continued>ゼロの兄貴-30]]
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//第五部,プロシュート
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