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使い魔は静かに暮らしたい-18 - (2007/07/02 (月) 12:47:50) のソース
見つめてくるルイズを無視しゴーレムを見る。ゴーレムはこちらに移動してくる。 もう一度ルイズを見る。腹を押さえ込み蹲っている。痛みで暫らくは動けないだろう。これでいい。 ゴーレムはルイズに止めを刺すはずだ。つまりその分私はより遠くへ逃げることが出来る。 よかったなルイズ、無駄死にじゃないぞ。私の自由を約束させる死だ。そしてゴーレムから逃げるように走り出す。 少しゴーレムの足が速いのでデルフリンガーを抜き放つ。体が軽くなり早く移動できる。 「おい、相棒。お嬢ちゃん見捨てるのか?」 デルフリンガーが話しかけてくるが無視する。 後ろを見る。そろそろルイズが殺されるはずだ。ゴーレムがルイズの場所に着く。ルイズは蹲っている。よし!やれ! しかしゴーレムはルイズを無視し私のほうへ向かってくる。 何だと!?どうして私なんだ!?ルイズに止めさせよ! そう思っていると視界がぶれる。体に衝撃が走る!デルフリンガーが飛んでいく。どうやら転んだらしい。 前見て走ってなかったからな。ってそんなこと考えてる場合じゃない!ゴーレムは私のほうに向かって来ているんだぞ!早く立ち上がって逃げなければ! 急いで立ち上がる。が、突然影が出来る。後ろを振り向く。そこにはゴーレムがいた。既に拳を振り上げている。 やばい!何も考えず目の前に転がる。風圧を感じる。転がった勢いですぐに立ち上がる。私がいた場所にはゴーレムの拳が突き刺さっていた。 ゴーレムが拳を上げると直径1mほどの穴が出来ている。こんなもの食らったら死んでしまう! 移動しようとするが足に痛みが走る。どうやら転んだときに足を痛めたらしい。だが走れないほどではない! しかし足の痛みを自覚した一瞬が命取りだった。拳はもうそこまで迫ってきているのだ! 死ぬのか、幸福になれずにこんな場所で死んでしまうのか!せっかく生き返ったのに! 「このくそ野郎がぁぁぁあぁぁ!」 意味がないとわかっているが腕でガードしようとする。きっと車とぶつかったらこんな感じだろう。そんな衝撃が体を貫く! 吹っ飛んで転がる。い、生きている!まだ、生きているぞ!体勢を立て直し立ち上がる。あれ? 何でこんなにも簡単に立ち上がれるんだ?幾らなんでもおかしい。体中痛いが怪我の痛みじゃない! 何故怪我をしてないんだ!腕も骨が折れているどころかかすり傷一つない! そんなことを思っているうちにゴーレムの攻撃範囲に入ってしまっている。ゴーレムの拳がまた来る! しかし今度は何故か焦りはない。むしろ体の欠けていた部分が埋まったような感じがする。よくわからないが負ける気がしない。 向かってくる拳を払うように右腕を振る。何故かはわからないがそれが当然であると感じられる。 拳もうすぐそこだ。だが恐怖は驚くほどない。そして……右腕からさらに腕が生えてくる。その腕がゴーレムの腕を打ち払う! ゴーレムは何ともない。しかし私は払った衝撃で後ろに飛ぶ。それを利用して距離を稼ぐ。 別に腕が出てきたことに驚きはしなかった。出て当然という感覚がある。その腕があることを意識して動かそうとしてみる。 右腕から手の甲に髑髏がついた機械的な腕が出てきた。その掌を握ったり開いたりしてみる。何も違和感を感じない。 初めの一撃もこの腕がガードしたのだろう。 とにかく今はそんなことを確認している場合じゃない。 ゴーレムから距離をとる。この腕があるからといって倒せるわけじゃない。 そんなことを考えているとルイズが近くにいた。腹を押さえているがどうやら動けるようになったらしい。 「なんであんなことしたのよ」 ルイズが聞いてくる。顔は俯いてて表情は伺えない。生きていたのは想定外だったのでどう言い訳するか。 「足手まといだったからだ。ちょろちょろ動かれると迷惑なんだよ。囮になっても逃げやしない」 私に向かってきたことを口実に「自分が囮になって引き付けてました」と言う。 ルイズが驚いたように顔を上げる。信じたかな?ゴーレムがこちらに向かってきている。 「早く逃げろ。ゴーレムが来る」 さも気遣っているような台詞を言う。ん、何か来る!?目の前に何かが着地する。本で見たドラゴンそっくりだ。 タバサがドラゴンに跨っている。 「乗って!」 タバサが叫ぶ。ルイズをもう一つの腕を使い一気に上にのし上げる。さらにタバサが抱えていたロケットランチャーを奪い取る。 これならゴーレムも破壊できるんじゃないか? ロケットランチャーを手に取った瞬間使い方を理解する。 もう近くにいたが関係ない。ゴーレムに打ち込む。ゴーレムの上半身が爆発する。土の塊が私たちに振り注ぐ。 ゴーレムの下半身は土へ帰っていった。ルイズたちは口を空けたまま呆けている。 私はそれを見ながら体から土を払う。もうちょっと離れて使うべきだったな。そう思いながらロケットランチャーを投げ捨てる。 キュルケが走りよってくる。私はそれを無視しデルフリンガーを拾いにいく。 「忘れたかと思ったぜ、相棒」 その言葉を無視し鞘にしまう。ルイズたちが私のほうに寄ってくる。 「ヨシカゲ!すごいわ!やっぱりダーリンね!」 キュルケが抱きついてくる。 「フーケはどこ?」 タバサの一言でキュルケとルイズがはっとする。忘れてたのか。 後ろから足音がする。皆が後ろを振り返るとロングビルがロケットランチャーを持って立っていた。 そしてロケットランチャーを私たちに突きつける。 「ご苦労様」 どうやらロングビルがフーケだったようだ。 「動かないで?破壊の杖は、ぴったりあなたたちを狙っているわ。全員、杖を遠くへ投げなさい。」 ルイズたちが杖を投げる。私はデルフリンガーの柄に手を添える。 そして抜き放つとロングビルのところへ駆ける。ロングビルは驚いたようだがスイッチを押す。 しかし何も起こらない。そして私はロングビルの手を切り落とす。ロングビルの悲鳴が響き渡る。……手? どうして私は手なんて切っているんだ?首を撥ねようと思ったのに?いつの間にかもう一つの腕も出てきている。 手から目が離れない。自分が自分じゃないような感覚だ。切り取った手に手が伸びる。 「ヨシカゲ!」 その声が私を現実に引き戻す。腕は消えている。フーケを踏みつけ黙らせる。なんだったんだ今のは? 手を見るがもう何も感じなかった。 ---- [[19へ>http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/142.html]] ----