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使い魔は手に入れたい-25 - (2007/08/11 (土) 00:06:51) のソース

「かくかくしかじかうしうしうまうま、というわけだ」 
「えっと、簡単にまとめるとミス・ヴァリエールも一緒に行くことになって明日学院を出発するってことですね?」 
「ああ」 
次の日、シエスタに会いに行き、ルイズも一緒に行くことと、明日出発することを伝えた。 
当然だがシエスタは目を白黒させて驚いている。 
「で、でも急にそんなこと言われても。急に休みが取れるわけじゃないし……」 
「そこらへんは、まあ、ルイズの名前でも出して何とかしてくれ。なんだったらルイズに何とかしてもらうよう頼んでもいいし」 
「……大丈夫です。コック長にはヨシカゲさんの名前を出せば、いつでも暇をいただけますわ」 
「そうか」 
こういったときは日々のご機嫌取りが本当に役に立つ。やはり厨房の連中と良好な仲を保っておいてよかった。 
マルトーもこういった時だけは、いや、こういった時しか役に立たないな。 
しかし急には休みは取れないって言ってなかったか? 
まあ本人が取れるって言うんだから気にすることも無いだろう。 
「待ってください、ヨシカゲさん」 
用もなくなったのでその場から去ろうとするとシエスタに呼び止められる。 
なんだろうか? 
そう思い後ろを振り向く。 
「そ、その。今日も勉強会するんですか?」 
そうだった。 
そんなものもあったな。村に行くことしか考えてなくてすっかり忘れていた。 
「その時間帯はいつも空いていますから、大丈夫ですよ」 
「そうか。じゃあまた後で」 
「はい。また後で」 
そう言ってシエスタと別れ、私は部屋に戻っていった。
その後、いつもどおりシエスタ(と小生意気な子猫)と一緒に勉強会をした。 
そして部屋に戻りいつもどおりルイズと共に眠った。 
寝る前にルイズに授業を休んでいいのかどうか聞いた。明日は虚無の曜日ってわけでもないしな。 
ルイズはオスマンに頼んで授業を休む許可を貰ったそうだ。 
どうやってそんな許可を貰ったんだか。 
そして夜が開け出発日になった。 
ルイズと私は今それぞれの荷物を持って寮の前にいた。 
ルイズの荷物はきっと着替えとかそういったものだろう。私の荷物はデルフだけだ。 
「じゃあわたしは馬を用意してるから。ヨシカゲはその一緒に行く平民を連れてきて」 
「わかった」 
一緒に行くのは私たちだろ。 
もちろん思ってもそんなことは口に出さない。今ここでルイズの機嫌を損なうようなことがあってはならないからな。 
私はルイズの言葉に素直に従い厨房へと向かった。 
厨房へ向かう理由はそこ以外シエスタのいる場所を知らないからだ。 
さすがに今日は厨房にはいないだろう。だから厨房にいるシエスタの同僚にいる場所を聞けばいい。 
もしいたら幸運だな。 
「あ、ヨシカゲさん」 
「……イワシの頭も信心だな」 
まさか本当にいるなんて。 
厨房のドアの前にシエスタはいた。 
茶色いスカートに、木の靴、明るい緑色のシャツを着ている。 
おそらくそれが私服なのだろう。 
いつもの服ではないので結構新鮮だ。
「なにか言いました?」 
「いいや、何も。それよりなんでこんな場所にいるんだ?私が聞くのもなんだけど」 
シエスタの言葉を否定しここにいるわけを聞く。 
「ヨシカゲさんならここに来ると思ったんですよ」 
「そうか」 
なぜ私がここに来るとわかっていたのだろうか。 
私がシエスタに会う際厨房へしか顔を出さないからだろうか。多分そうだろう。 
「もう用意はできているか?できているなら早速出発したいんだが」 
「はい。できてますよ」 
そう言うとシエスタは足元に手を伸ばす。 
シエスタの足元には大きめのバスケットがあった。 
おそらくそれがシエスタの荷物なのだろう。 
「この中にお昼のご飯とかが入ってるんです。実は厨房にいたのもこれを作ってたからなんですよ」 
シエスタはバスケットを持ちながら恥ずかしそうに笑った。 
「ふーん」 
そういえば食事のことなんて考えてなかったな。 
シエスタはこういったとき便利だな。やはり良好な仲を保つというのはいいことだ。 
ちゃんと見返りがあるんだからな。 
そう思いながら私たちはルイズがいるであろう馬小屋へ向かった。

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