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L7 meets C-MOON-4 - (2007/08/26 (日) 20:27:04) のソース

「いいかね。今の君は半径2メイルの範囲をおかしくできます」 
ルイズはコルベールの話を真剣に聞いていた。 
今自分にできることはコルベールの言葉を逃さず聞くことなのだと思っているからだ。 
この現状を打破するためにはとにかく縋るしかない。 
「しかし一番初めにおかしくしたとき、つまり儀式のときのことだ。あれが初めておかしくしたときだな。とにかくあの時は半径200メイルもおかしくなった」 
「ミスタ・コルベール」 
ルイズはふと感じた疑問をコルベールにぶつけることにした。 
「それがどう制御につながるんですか?」 
「まあまあ、そう急がない。物事には何事も順序がある。それを飛ばして結果だけ見ても意味が分からないだろう?」 
キング・クリムゾン! 
そんな声が脳内に響いたがルイズは軽く無視した。 
「さて、なぜあの時は200メイルもおかしくしたのに今は2メイルだけだ。私はそれを疑問を持った」 
確かに、今が2メイルなのに初めは200メイルというのは少しおかしい。 
初めに200メイルだったのなら普通そのままずっと200メイルのままではないのだろうか? 
コルベールもそう思ったのだろう。 
「あの時と今の違いはなんなのか?私はそれを考えてみた。そしたらすぐに思い至ったよ」 
コルベールはルイズを真剣な眼差しで見詰める。 
「本当ならこういうことは言いたくないんだが、君は魔法を使おうとすると爆発するね」 
コルベールの言葉にルイズは自分の体が引き締まるのを感じた。 
「どんな魔法だろうと爆発して、君はいろんな生徒に馬鹿にされている。ゼロのルイズというあだ名まで付けられてね」 
そう言った瞬間コルベールは後ろにひっくり返った。 
「ミ、ミスタ・コルベール!?」 
「大丈夫だ。心配しなくてもいいよ」 
コルベールは頭を押えながら立ち上がり、ルイズに心配させまいと笑顔を見せる。 
しかし何故転んだのだろうか?コルベールの足元にはこけるような要員は何一つ存在しない。 
「しかし、これで私の理論は証明された。それにしてもいやな思いをさせてすまなかったね」 
「え?」 
「さっきのことだよ。魔法が使えないだのなんだのっていう。実はね、あれはわざと言ったんだ」
「わざと……ですか」 
「そうだ。許してほしい。すこしでも君の感情を荒げる必要があったのだよ」 
「感情を?」 
どういうことだろうか? 
たしかにルイズはコルベールの言葉に感情を少しだけだが荒げた。 
もし生徒が言ってきていたらこの数倍は荒げて怒鳴っていただろうが。 
「話を戻すとだね。200メイルと2メイルの差の違いを分けるものは何なのか?私はそれを感情だと考えたんだ。今の君は大変おとなしい。 
それがいつもの君の状態なのだろう。そして、あのときの君は失敗に焦り、失望し、悲しみ、周りのみんなにされた嘲笑によって怒り、激しく感情が揺れ動いたはずです」 
ルイズは呆然とコルベールを見た。 
まったくもってその通りだったからだ。 
「そう考えると簡単じゃありませんか?」 
「もしかして、この力は感情によって広さが変わる?」 
「その通りです!」 
コルベールはまるでよくできましたといわんばかりにルイズに笑いかける。 
「そう!結果だけでの判断ですが私はそう考えました。それなら辻褄が合うからです。そしてそれは見事に証明されました」 
「あっ。もしかしてさっき先生が転んだのって……」 
「そうです。君が感情を荒げて範囲が広がったのです」 
そうか、とルイズは納得する。 
さっきコルベールが転んだのは突然落ちる方向がおかしくなったから扱けたのだ。 
「もしかしたら別の要因があるのかもしれません。しかしそれに感情が係わっているのは間違いありません」 
ルイズは感心した。 
コルベールがこんなにも頼りに感じる先生だなんて思っていなかったからだ。 
「こういった感情が係わっているものは大抵訓練すれば制御できるようになるはずだ。」 
「ホントですか!」 
「ああ、もちろんだとも!ちゃんと実例だってあるんだ。間違いない」 
コルベールがルイズに力強いまなざしを向ける。
「訓練は辛いだろう。なぜならすぐに制御できるようになるわけが無いし、日常生活が困難になって色々苦労が多いだろうからね。 
君は弱音を吐くかもしれない。諦めてしまうかもしれない。だけど制御できるようになればきっと君の力になる。将来身につけてよかったと思える日が必ず来る! 
何故ならその力が君の使い魔なのだから。使い魔を好きにならないメイジなんていないよ」 
「これが私の使い魔……」 
「まあ詭弁に聞こえるかもしれないがね」 
そう言うとコルベールが苦笑いを見せる。 
「それでミス・ヴァリール。制御するための訓練をするかね?」 
「はい!もちろんです!」 
コルベールの問いの答えなど初めから決まっていた。 
「そうかそうか!」 
それをコルベールは我がことのように喜んだ。 
「それでなにをすればいいんですか!」 
「今日はもう遅いので寝なさい。訓練の方法は明日言います」 
「……はい」 
コルベールはそんなルイズを見ながら微笑む。 
「そんなに慌てなくても大丈夫ですよ。」 
「ミスタ・コルベール……」 
「辛くなったらいつでも私を頼りなさい。私が力になれることは少ないですけど、それでもできる何かがあるでしょうから」 
「ありがとうございます!」 
ルイズの目から涙が一筋零れ落ちた。

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