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アンリエッタ+康一-4 - (2007/06/13 (水) 20:18:29) のソース
互いに睨みあい視線が交錯する。使い魔、広瀬康一とメイジ。 そしてまず均衡を破ったのはメイジだった。 のそりとしたような、しかし俊敏な動きでメイジは体を動かす。 そして呪文を瞬きをするような間に完成させたッ! だが俊敏なのは康一も同じだった。 剣を弾き飛ばした魔法の威力を見ていても、躊躇うことなくメイジに向かって突っ込むッ! それを見て取ったメイジは迎撃するべく魔法を解き放った。 風の刃が3つ。康一の正面から飛来する。 だが康一に飛んでくるものは、それだけではなかったッ! ガキッ!ガキャッ!ガキンッ! 飛んできたものは康一の盾となって身を守った。 カーテンだ。布である薄いカーテンが魔法を弾き飛ばしたのだッ! 「エコーズACT2!!」 康一のスタンドの2番目の形態。 ACT2のしっぽ文字で音の表す物理的効果を表現化する能力。 『ガキンッ』のしっぽ文字。 それを部屋のカーテンに貼り付け、ACT2に投げてよこさせたのだッ! ACT2はパワーはそれほどないが、元々カーテンは薄く軽い。 鋼のように弾き返す盾でも、布の軽さを持つ盾ならACT2でも投げられるッ! カーテンを受け取った康一は、そのまま突き出すように構えさらに駆ける。 メイジは自分の姿を見えない状態でありながら、まるで見えているように突っ込んでくる康一に焦り、たたらを踏みながらもすぐさま飛びのいた。 道が開ける。アンリエッタが自分に向かってくる康一を見た。 「アンリエッタさんッ、こっちへッ!」 康一はアンリエッタの手を引っつかみ部屋の奥へと走る。 部屋の奥には ドアがあり、その先には普段は物を置くための場所になっていた。 メイジは追撃の呪文を唱えようとするが遅い。 奥のドアがひとりでに開いて康一とアンリエッタは薄暗い部屋へと飛び込んだッ! 今度はドアがひとりでに閉まる。 二人の姿はメイジから一枚のドアを境に隠されてしまった。 メイジはどうするべきか考える。そして判断は一瞬だった。 追撃する。細工をして作り上げた時間は多くないし、また予想外のことが起きるとも限らない。 メイジは簡単な呪文を唱えてドアのノブを回した。 使い魔と名乗った少年。魔法のような現象。 見るところ杖は持っていなかったようだが油断は禁物だ。 そう。油断さえしなければ、少なくとも自分は使い魔の少年に引けをとることはない。 ドアを開けるための魔法を行使しながら、すでに次の攻撃呪文を唱えきる。 杖を構えながらゆっくり、ゆっくりとドアを開いていく。 居た。ドアを開けたその先にこそこそ「隠れもせず」使い魔とアンリエッタは居たッ! アンリエッタの目は恐怖に滲んでいたが、使い魔の少年は違った。 メイジを見据えて、「お前を必ずブチのめすッ!」と目で語っている。 メイジは罠だと思った。踏み込んだ瞬間に相手は何かを仕掛けてくる。 そう直感した。ならばどうするのか。 奥に踏み込まず遠距離から魔法で攻撃する。 一番ベターな方法に思える。だがあの使い魔の少年に通用するのだろうか。 自分の攻撃魔法を本気ではなかったが簡単に防がれた。 どうすればいいのかメイジは「迷って」しまった。 「迷ったな、お前……」 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 呟き声のような断定。根拠は何もない。 だが確かにメイジは一瞬迷ってしまったッ! 「お前は必ずブチのめす、それは最初から決めていたことなんだ。けどさちょっぴり不安もあったんだぜ。」 「不安と言ってもお前が怖いとかそんなことじゃーない。 ア ン リ エ ッ タ さ ん が傷つくのが不安だったんだ」 アンリエッタが康一を見る。 「使い魔の仕事ってのは主人を守ることらしいんだけど、 こんなに早くメイジってヤツと戦うことになるとは思ってなかったんだ。 魔法ってヤツもちょっと聞きかじったくらいで殆んど分からない」 一拍置いて康一は言った。 「だから「安全策」を取らせて貰ったよ…」 メイジの目が大きく広がった。 やはり何か策が、罠が仕掛けてあったのだッ! 「僕のエコーズACT1の射程距離は50m。こっちの単位が同じかどうかは知らないけど、そう認識しておけよ。 そしてACT1の能力は音を出したりすること。どういう意味かお前に分かるか?」 理解不能!? 理解不能!? 理解不能!? 理解不能!? 自らの能力を説明して何になるのだろうかッ! それとも嘘なのだろうか。 そんなこともマトモに考えられないくらいに、いつの間にかメイジは康一に「飲み込まれて」いたッ! 「50mなんだぜ、誰も来ないからっていっても、その範囲でなら…さすがに誰かが居る」 「聞こえてこないかい。廊下から聞こえてくる足音をッ!」 メイジの耳は確かに捕らえた。音を。足音を。 そしてすでにその音はこの部屋の真ん前まで来ていることをッ! 「姫様ッ、失礼いたしますッ!」 バンッと開けはなたれる背後のドア。 「スデに僕は、ここに来る前にACT1で人を呼んでいたんだぜッ!」 「なにィィィィィッ!!!」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ 部屋に入ってきた人物は、メイジを見るなり殺気を込めて斬りかかる。 この国の姫の部屋に不審人物が居れば当然の成り行き。 しかしメイジは発動待ちの風の魔法を振り向きざまに放ち、たたらを踏みながらも剣を凌ぎきった。 「そして、やっぱり…たたら踏んだな」 ミシリ… 嫌な音がメイジの足元からした。 「お前、僕が投げた剣を叩き落としたりさァけっこー勘がよかったろ。 罠があるのは気付くと思ったんだ。だからお前に気付かれないよう二重に罠を張ってた。 そしてこれで積みってことさ………」 メイジは背中にゾクリしたものを感じた。 「さっきさァー僕が突っ込んできて、焦って避けたときたたら踏んでたよな」 ミシリッ… 足元を見ると、微妙に今までいた場所と床の木目が違っている。 「今もたたら踏んで、一歩下がってくれたよ」 ミシッ…! メイジは気付いた。 「予想通りってヤツさ」 自分は今ッ奥の部屋の中に入ってしまっているのだとッ! 「お前が踏んでるその床は、最初ッからACT2のしっぽ文字が貼り付けてあったんだぜッ!」 ボゴンッ!!! 「ウオォォォォォォォォォォッ!」 メイジには見ることが出来ないACT2の「ボゴンッ」のしっぽ文字で作った落とし穴。 罠に気付いたときにはもう遅い。 メイジは床を踏み抜いて宙を舞い、そして階下の床に叩きつけられるッ! 「ガバダッ!」 だがメイジはいまだ意識を保っている。 しかし保っているだけだ。体を叩きつけた衝撃で呪文を唱えることが出来ない。 これこそが康一の狙い。呪文を唱えられない隙にキツイのを叩き込む。 メイジが迷ったとき人が来る時間を稼ぐために自分のスタンド能力を説明したのも、そのための布石だった。 空中でACT2が弾丸のように体を丸めて身構える。 「ACT2は直接攻撃向きじゃないんだけど、本気でぶつけてやれば人一人ぐらいブッ飛ばせるッ!!」 「ACT2!!!」 康一の精神により押し出されるように普段以上のパワーでブッ飛ぶACT2ッ!。 その小さな体躯が身動きの取れないメイジのアゴを正確に捉えたッ!! 「ジョジョワァァァッゴォォッォォォッッ!!!!」 アゴを砕かれ階下に落ちて体を叩きつけられたメイジ。 その体はボロボロで呪文を唱える口はガタガタ。 意識もブッ飛ばされた。戦うことなど出来はしない。 康一は学ランの袖で額の汗をぬぐい、息を大きく吸ってから吐く。 「やれやれ。最初ッからハードな感じだよ……」 ド―――――z______ン 「名も無きメイジ」 再起不能 To Be Continued…