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ディアボロの大冒険Ⅱ-13 - (2014/08/02 (土) 02:20:40) のソース

「エア・ハンマー」 
「ファイヤーボール!」 

ディアボロを踏み潰そうとしたゴーレムの足に風の槌が直撃した! 
続いた火球がゴーレムの頭に当る。 
だが、効果は薄い……と言うか殆ど効いてない。 
しかし、その事によりゴーレムは少しバランスを崩してよろけてしまい、フーケがゴーレムの陰に隠れてしまった。 

「!?」 
ザ・ハンドのDISC発動による引き寄せは、標的との間に障害物があると効果が無い。 
つまり使用しても+修正が一つ減るだけで無意味って事である。 
このエアハンマーとファイヤーボールを使ったのは誰だー!?と言わんばかりに飛んで来たほうを見るディアボロ。 

「ディアボロ大丈夫!?」 
視線の先、飛んできたドラゴンの上に乗っているキュルケが叫んだ。 
「余計な事を!」 
「早く逃げるぞ相棒!逃げろ逃げろ!」 
起きた事はしょうがないとして、、ルイズを捜そうと周囲を見回すディアボロ。 
すると意外な事に、ルイズは何時の間にかゴーレムの横に走っていた。 
(何をする気だ?) 
ルイズや自分の安全よりも、ルイズが何をするのかに興味が湧いたディアボロ。 
取り敢えず、キュルケの叫びを無視してそのまま見守る事とする。すぐ目の前にゴーレムが居るのに余裕である。 
ディアボロの視線の先ではルイズがゴーレムに向かってひたすら『破壊の杖』を振っている。

どうやらルイズは『破壊の杖』を使ってゴーレムを倒す気らしい。 
(あれはメイジの杖では無いのだが) 
大いなる勘違いを見たディアボロは軽い頭痛がした。 
そのディアボロの視線の向きにフーケが気づいたのか、ゴーレムが振り向いて、破壊の杖を強奪しようとルイズに手を伸ばす。 
それを見たタバサとキュルケは、唱えた魔法がフーケに届くより、ゴーレムの腕がルイズを殴る方が早いと分かってしまった。 

「・・・・・・しょうがない」 
キュルケの悲痛な叫びを聞きながらも、ディアボロは溜息を一つしてDISCを発動した 
(ザ・ハンドのDISC発動!) 
その一瞬、ディアボロの体から、もう一本の腕が浮き出て、ガオン!と言う効果音がつかんばかりに前方を薙いだ! 
すると!驚くべき事に! 

『空間をけずるとる!……するとお~~~~っ!』 

「!?」 
『破壊の杖』を抱えたルイズがディアボロの目の前にいきなり現れた! 
何も無い所で腕を空振りするゴーレム。 

「【瞬間移動】だな」 
微妙に混乱しているルイズを見ながら涼しい顔をするディアボロ。 
「あ、あれ!?何で!?」 
「慌てるのは後にしろ。今は逃げるぞ」 
「逃げるなんて嫌よ!」 
ルイズの口から予想外すぎる言葉が出た。 
「ふん?」 
訝しげにルイズを見るディアボロに答える。 
「フーケを捕まえれば誰も私の事を『ゼロ』とは馬鹿にしなくなるんだからッ! 
 ここで逃げたら私はずっと『ゼロのルイズ』のままなのよ!?」 
努力が認められずに散々馬鹿にされ続けた記憶を思い出して悲痛に叫ぶルイズ。

「なるほど・・・・・・」 
静かな目をルイズに向けるディアボロ。 
馬鹿にされたと感じて顔を赤くするルイズを見詰めながらもゆっくり思い出す。 
かつて帝王だった時の自分の言葉。 
『これは「試練」だ。過去に打ち勝てという「試練」とオレは受けとった。 
 人の成長は……………未熟な過去に打ち勝つことだとな… え?おまえもそうだろう?』 
(やはり、私が召喚されるのも必然だな) 

・・・・・・如何でもいいが、目と鼻の先にゴーレムが居ると言うのにゴチャゴチャ話し合うとは大した奴等である。まさか・・・・・・これほどとは。でもあった。 
と言うか、今まさに、ゴーレムが足で踏み潰そうとしているのに気付いたディアボロとルイズ 
頼みの綱のキュルケとタバサはゴーレムの振る腕が邪魔して近寄る事が出来ない。 

「これには背を向けないと死ぬと思うが?」 
死の鉄槌が振り下ろされようとしても冷静なディアボロ。死に慣れている彼には屁でもないのだろう。 
「敵に後ろを見せない者を貴族と呼ぶのよ!……そして、私は貴族なの!」 
自分の一振りに『破壊の杖』は応える。そう信じて逃げる事無く、再度破壊の杖を振り下ろすルイズ。 
だが、現実は無情!何も起こらなかった! 
ドラクエで復活の呪文が違いますと言われるような物である。 
目の前には振り下ろされるゴーレムの鉄となった足、ルイズは死を覚悟した。 
今までの人生が走馬灯となって流れる寸前、苦笑するような場違いな声が聞こえ―――― 

「世話の掛かる奴だ」 

ルイズの背中にドヒュンと言う文字が張り付いた瞬間 
ドヒュ――z__ン! 
「キャァァァァァァァァ!」 
悲鳴を上げて数十メイル以上吹っ飛ばされるルイズ。 
『破壊の杖』だけは手放すまいと抱きしめているのだけは流石な部分である。 
そのまま、木にぶつかって5の固定ダメージを受けた。 
「ケホッケホッ」 
少女にとっては決して軽くない衝撃に咳き込みながらも、前を向こうとした時 
ズシン! 
大きな音が大地を揺らし、森の木々が揺れた。 
「ディ、ディアボロ?」 
ルイズの視線の先で、鉄に錬金されたゴーレムの足が上げられた。 
陥没した地面の中にはディアボロが居た。 
腕や足からは骨が飛び出し、腹からは内臓が駄々漏れ、人間の原型を留めているのが不思議な姿。馬車に轢かれた蛙よりも酷い 
ディアボロの今の姿を客観的に生きていると言うならば、辞書に載っている死人の定義を書き直さなければならないだろう 
ディアボロが死んだ……。 
その事実がルイズの頭にオラァ!とばかりに叩きこまれた 

上空からそれを見ていたキュルケ達も愕然としていた。 
ルイズを吹き飛ばしたディアボロがゴーレムの足に踏み潰されたのを。 
ゴーレムが足をどけた後からは、潰れた人間の姿。 
「ま、まさか……」 
「……あれでは、例え…生きていたとしても……」 

そして―― 
そんなディアボロの姿を嬉しそうに見るフーケ 
「死因リストに、フーケのゴーレムに踏み潰されて死亡が追加ね♪」 
そんな事を口走りながらも 
邪悪に微笑えんで、茫然自失したルイズに振り向く。 
「ウフフフ……後は小煩い虫を潰すだけね」 

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