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私の視界に猫がいた。 目測で大体30㎝あるかないかくらいの子猫だった。 毛の色は薄茶色で少し白混じっており、子猫らしいもこもこした毛に覆われクリッとした目でこちらを見ている。 この世界に来て猫を初めて見たが、案外普通なんだな。 見る限り典型的な猫だ。何の変哲も無い猫だ。毛の色が変わってるだとか体のどこかが変わっているといったところも無い。 魔法が使える世界で変な生き物がいるからこっちの猫は変わっているものだと思っていた。 でも案外まともなんだな。見た目だけかも知れないが。 よく犬と猫、どちらが好きかという質問がある。 どちらかを選べと言われたら私は猫を選ぶだろう。 犬は好きじゃない。吠えるから五月蠅いしな。そして何よりいい思い出が無い。犬のせいで手足を失う危険性すらあったほどだ。 考えてみれば好きじゃないというレベルじゃなくて嫌いというのが正しいな。 だからと言って猫が好きかと聞かれれば答えはNOだ。 好きでもなければ嫌いでもない。 幽霊だったときにこちらに何もしてこなかったから嫌いではない。 だが何か役に立つことをしたというわけでもないから好きでもない。 もう一度子猫に目を向けるとまだこちらを見ていた。何時まで見ているつもりなのだろうか? ちょっと好奇心でこっちも暫らく見詰めてみる。            ・            ・            ・            ・              ・            ・ 子猫はまったくこちらから視線を外そうとしない。 なぜ、こちら、みる? ……バカらしい。どうして私がたかが猫畜生と見詰め合わないといけないんだ。 視線を逸らしサンドイッチを齧ろうとする。 しかし、どうしても、視線を、感じる。 もう一度目を向けると子猫は先ほどと変わらずこちらを見詰めていた。 いや、もはや知っても視姦といっても過言ではないほど食い入るように見詰めている。 なんだって言うんだこの猫は! 視線に圧迫感を感じる。圧迫祭りか?圧迫祭りってなんだよ!? 「シッシッ!」 声を出し手を振り払う。しかし猫は動かない。動こうとしない。ただこちらを見詰める。 いい加減にして欲しい!気になって仕方ないじゃないか! あたりを見回し石ころを探すが見つからない。 そのとき猫がわずかに、よく見ていないと気づかないぐらいだが首を動かした。 何かに反応した?だがなにに反応したんだ?もしかすると…… サンドイッチを持っている右手を思いっきり横に伸ばしてみる。 その動きに合わせ子猫の首が横に動く。 今度はその手を上に持っていってみる。するとやはり子猫の首も上に動く。 なるほど、こいつは食べ物を見詰めていたのか。 そうわかると子猫の視線が急に軽くなった気がする。私があれほど圧迫感を感じていたのはただの思い込みだったのだろう。 私がそう感じるほど子猫はサンドイッチを見詰めていたのだ。 しかし猫がパンを食べるなんて聞いたことが無い。食べる猫ぐらいいるとは思うがそう好んで食べるわけではないだろう。 つまりパンに挟まっている具が目的ということか? それなら納得が行かないこともない。ふむ。顎に手をやり考える。 ものは試しだ。実験してみよう。両手の手袋を外す。 そしてサンドイッチから鳥の肉を取り出す。この中で猫が一番食べそうなものといったらこの鳥ぐらいだからな。 「ほれほれ」 取り出した鳥の肉を子猫に向けて振ってみる。 「いらないのか?いらねえなら食っちまうぞ?ほれほれ」 しばらく振っていると子猫は少し屈んでと尻(じゃないな。尻尾か)を振りはじめる。 そして、こちらに向かって、鳥肉にむかって突っ込んでくる。 子猫だからだろうか足はそんなに速くない。しかし一生懸命なのはわかる。 そしてあと少しで鳥肉に食いつけるというところで鳥肉を上に持ち上げる。子猫はそれにあわせ跳び上がり両前足を鳥肉に向かって精一杯に伸ばす。 だが甘い!私の手はまだ上に持っていける! その思い通り、さらに手を上に伸ばす。そして子猫の前足は空を切った。そのとき子猫は驚愕に顔を歪めた……気がした。 子猫はそのまま前に向かって跳び上がっている。そのまま跳び続けたらどうなる、簡単だ。 落下して着地するだろう。猫なんだから。しかし地面との間に障害物があったら? 勿論障害物に激突するに決まってる。 では目の前にいる猫にとって地面との間に障害物はあるか否か、私が障害物だ。つまり……猫は私にぶつかるってことだ。 「ミィッ!」 予想通り子猫は私の胸に突っ込んできた。その際短く悲鳴のような泣き声を上げた。 別にぶつかってきたからといって私は痛くもかゆくも無いんだがな。 ぶつかった猫はそのまま私の足の間に落下する。そして身を起こす。無様だな。 でも働きに免じてこの鳥肉はくれてやるか。 身を起こした子猫の前に鳥肉を差し出す。子猫はそれにすぐさま気がつき跳びかかる様に鳥肉に銜えついた。危うく私の指も銜えられかけた。 そんなことを思っている間に子猫はもう鳥肉を平らげてしまった。早いなーおい。 子猫はサンドイッチをまた見詰め始める。 「まだ食い足りないのか?」 子猫はそれを肯定するかのように私の足をカリカリと引っかいてくる。 改めて猫を見る。青い瞳で薄いピンク色の鼻をピスピス鳴らしている。世間一般の動物好きが見たらかわいいと言えるんじゃないだろうか? しかた無いな。鳥肉をサンドイッチから取り出し猫の前に落とす。 すぐさま子猫はそれに食らいつく。その間にもう一つサンドイッチから食材を取り出す。 それは結構苦い葉っぱだった。これを食べればどうなる! 子猫が鳥肉を食い終わり顔を上げた瞬間に葉っぱを口の中に突っ込んで、押し込む! 「ミャオッ!?」 子猫はその場で顔を激しく揺らし口を空けたり閉めたりしはじめた。 猫って結構笑えるな。 ----
私の視界に猫がいた。 目測で大体30㎝あるかないかくらいの子猫だった。 毛の色は薄茶色で少し白混じっており、子猫らしいもこもこした毛に覆われクリッとした目でこちらを見ている。 この世界に来て猫を初めて見たが、案外普通なんだな。 見る限り典型的な猫だ。何の変哲も無い猫だ。毛の色が変わってるだとか体のどこかが変わっているといったところも無い。 魔法が使える世界で変な生き物がいるからこっちの猫は変わっているものだと思っていた。 でも案外まともなんだな。見た目だけかも知れないが。 よく犬と猫、どちらが好きかという質問がある。 どちらかを選べと言われたら私は猫を選ぶだろう。 犬は好きじゃない。吠えるから五月蠅いしな。そして何よりいい思い出が無い。犬のせいで手足を失う危険性すらあったほどだ。 考えてみれば好きじゃないというレベルじゃなくて嫌いというのが正しいな。 だからと言って猫が好きかと聞かれれば答えはNOだ。 好きでもなければ嫌いでもない。 幽霊だったときにこちらに何もしてこなかったから嫌いではない。 だが何か役に立つことをしたというわけでもないから好きでもない。 もう一度子猫に目を向けるとまだこちらを見ていた。何時まで見ているつもりなのだろうか? ちょっと好奇心でこっちも暫らく見詰めてみる。             ・             ・             ・             ・               ・             ・ 子猫はまったくこちらから視線を外そうとしない。 なぜ、こちら、みる? ……バカらしい。どうして私がたかが猫畜生と見詰め合わないといけないんだ。 視線を逸らしサンドイッチを齧ろうとする。 しかし、どうしても、視線を、感じる。 もう一度目を向けると子猫は先ほどと変わらずこちらを見詰めていた。 いや、もはや知っても視姦といっても過言ではないほど食い入るように見詰めている。 なんだって言うんだこの猫は! 視線に圧迫感を感じる。圧迫祭りか?圧迫祭りってなんだよ!? 「シッシッ!」 声を出し手を振り払う。しかし猫は動かない。動こうとしない。ただこちらを見詰める。 いい加減にして欲しい!気になって仕方ないじゃないか! あたりを見回し石ころを探すが見つからない。 そのとき猫がわずかに、よく見ていないと気づかないぐらいだが首を動かした。 何かに反応した?だがなにに反応したんだ?もしかすると…… サンドイッチを持っている右手を思いっきり横に伸ばしてみる。 その動きに合わせ子猫の首が横に動く。 今度はその手を上に持っていってみる。するとやはり子猫の首も上に動く。 なるほど、こいつは食べ物を見詰めていたのか。 そうわかると子猫の視線が急に軽くなった気がする。私があれほど圧迫感を感じていたのはただの思い込みだったのだろう。 私がそう感じるほど子猫はサンドイッチを見詰めていたのだ。 しかし猫がパンを食べるなんて聞いたことが無い。食べる猫ぐらいいるとは思うがそう好んで食べるわけではないだろう。 つまりパンに挟まっている具が目的ということか? それなら納得が行かないこともない。ふむ。顎に手をやり考える。 ものは試しだ。実験してみよう。両手の手袋を外す。 そしてサンドイッチから鳥の肉を取り出す。この中で猫が一番食べそうなものといったらこの鳥ぐらいだからな。 「ほれほれ」 取り出した鳥の肉を子猫に向けて振ってみる。 「いらないのか?いらねえなら食っちまうぞ?ほれほれ」 しばらく振っていると子猫は少し屈んでと尻(じゃないな。尻尾か)を振りはじめる。 そして、こちらに向かって、鳥肉にむかって突っ込んでくる。 子猫だからだろうか足はそんなに速くない。しかし一生懸命なのはわかる。 そしてあと少しで鳥肉に食いつけるというところで鳥肉を上に持ち上げる。子猫はそれにあわせ跳び上がり両前足を鳥肉に向かって精一杯に伸ばす。 だが甘い!私の手はまだ上に持っていける! その思い通り、さらに手を上に伸ばす。そして子猫の前足は空を切った。そのとき子猫は驚愕に顔を歪めた……気がした。 子猫はそのまま前に向かって跳び上がっている。そのまま跳び続けたらどうなる、簡単だ。 落下して着地するだろう。猫なんだから。しかし地面との間に障害物があったら? 勿論障害物に激突するに決まってる。 では目の前にいる猫にとって地面との間に障害物はあるか否か、私が障害物だ。つまり……猫は私にぶつかるってことだ。 「ミィッ!」 予想通り子猫は私の胸に突っ込んできた。その際短く悲鳴のような泣き声を上げた。 別にぶつかってきたからといって私は痛くもかゆくも無いんだがな。 ぶつかった猫はそのまま私の足の間に落下する。そして身を起こす。無様だな。 でも働きに免じてこの鳥肉はくれてやるか。 身を起こした子猫の前に鳥肉を差し出す。子猫はそれにすぐさま気がつき跳びかかる様に鳥肉に銜えついた。危うく私の指も銜えられかけた。 そんなことを思っている間に子猫はもう鳥肉を平らげてしまった。早いなーおい。 子猫はサンドイッチをまた見詰め始める。 「まだ食い足りないのか?」 子猫はそれを肯定するかのように私の足をカリカリと引っかいてくる。 改めて猫を見る。青い瞳で薄いピンク色の鼻をピスピス鳴らしている。世間一般の動物好きが見たらかわいいと言えるんじゃないだろうか? しかた無いな。鳥肉をサンドイッチから取り出し猫の前に落とす。 すぐさま子猫はそれに食らいつく。その間にもう一つサンドイッチから食材を取り出す。 それは結構苦い葉っぱだった。これを食べればどうなる! 子猫が鳥肉を食い終わり顔を上げた瞬間に葉っぱを口の中に突っ込んで、押し込む! 「ミャオッ!?」 子猫はその場で顔を激しく揺らし口を空けたり閉めたりしはじめた。 猫って結構笑えるな。 ----

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