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奇妙なルイズ-3 - (2007/06/09 (土) 17:35:02) の1つ前との変更点

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ルイズがサモン・サーヴァントに失敗してから何日か過ぎた。 授業が終わると一人で草原に出て、夜になるまでサモン・サーヴァントを 繰り返し、早朝は皆より早く起きてサモン・サーヴァントの魔法を繰り返す。 コルベール先生は魔法学院の中庭を使っていいと言ってくれたが、 魔法が失敗するたびに爆発するのでは苦情が来ると言って断った。 本当は、失敗する姿を見られれたくないと考えてたのだが。 毎朝毎晩、サモン・サーヴァントを繰り返し、疲労の回復しないまま授業を受ける。 当然居眠りする時間も増えてしまう、 教師に怒られるわ食事には間に合わないわ、さんざんな日々を送っていた。 もしルイズにキュルケにとってのタバサのような、いわゆる親友がいれば 彼女の変化に気付いたかもしれない。 魔法に失敗して癇癪を起こす訳でもなく、泣くわけでもない。 何度失敗しても、何度も何度も挑戦すればいいと、前向きに考えるようになったのだ。 そんなルイズの変化は、眠っているときに見る夢の影響が大きかった。 夢の中で、ルイズは墓の前に立っていた、朝早く墓に花束を供えて、 遺族に気付かれぬよう静かに墓地を去る。 その時のやるせない気持ちは言葉では表現出来ない、 ルイズの姉「カトレア」は病弱ではあるがまだ生きている。 しかし夢の中の主人公は、友達を「失って」いる。 ぶっきらぼうに生きているが、その内心にはとても繊細な面もあった。 ある日のことだ。 早朝、相変わらずサモン・サーヴァントに失敗したルイズが、朝食を食べようと食堂に行くと、かすかな薔薇の香りが鼻孔をくすぐった。 薔薇の香りと言えば、キザで女たらしだと有名な同級生「ギーシュ・ド・グラモン」ぐらいしか思い浮かばない。 案の定すぐ近くの席で、ギーシュとその友人達が楽しそうに笑っていた。 「なあ、ギーシュ! お前、今は誰とつきあっているんだよ!」 「誰が恋人なんだ? ギーシュ!」 ギーシュは唇の前に指を立てて、こう言った。 「つきあう? 僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 ルイズは馬鹿馬鹿しいと考えながら、食事が始まるのを待っていた。 食事が終わりに近づき、デザートが配られると、さきほどは楽しそうにしていたギーシュが、女性二人の怒りを買っている姿が見られた。 よくある痴話喧嘩だ、話を聞いていると、ギーシュは二間をかけていたらしい。 「呆れるわね」 ルイズはぼそりと呟いた。 いつものルイズなら、そのまま無関心を決め込むはずだった。 他人の痴話げんかに口を出すような真似はしたくない。 しかし、痴話喧嘩の原因作った「二股のギーシュ」は、 メイドの少女に責任転嫁をし始めた。 いつもなら無視するところだが、その時、何故かルイズは立ち上がっていた。 「いいからその辺にしておきなさいよ。二股掛けてたあんたが悪いんでしょう」 「……ミス・ヴァリエール、何を言うんだね、僕は躾のなってないメイドに注意をだね」「注意ってのは貴族の権威を傘にして、自分の責任を押しつけることなの?」 (二万円もするズボンは破けたけど…)と不可解なことを言いそうになったが、ぐっと我慢した。 そこでギーシュは、馬鹿にしたような口調でこう言った。 「使い魔の召喚出来ない君には分からない事だったね。魔法の使えないキミに、貴族の何が分かるというのかい?」 「へえ、魔法を見せなきゃ成金にしか見えない貴方が貴族を語るの?」  ギーシュの目が光った。 「どうやら、君は魔法どころか礼儀も”ゼロ”なんだね」 「あらそう、誇りがゼロのギーシュに言われるなんて光栄ね」 ルイズははギーシュを真似て、キザったらしい仕草で言った。 「よかろう。君に礼儀を教えてやろう。ちょうどいい腹ごなしだ。  ヴェストリの広場で待っている。」 ギーシュの友人達は驚いたような顔で立ち上がり、ギーシュの後を追う。 床にへたりこんだメイド、確か名前は「シエスタ」だと思ったが、彼女はぶるぶる震えながら、ルイズを見つめている。 「大丈夫?」 「あ、あのっ、わ、私…」 「ここから先は私の問題だから、お仕事を済ませて、貴方は自分の仕事をしたんだから誇りを持って。ね?」 「……」 呆然とするシエスタを横目に、ルイズはヴェストリの広場に向けて歩き出した。 ルイズは何故か穏やかな精神に驚いていた。 驚きながらも、それが自然なのだと思えるような、堂々とした足取りで歩く。 貴族同士の決闘は禁止されているとか、そんなことはどうでもよかった。 怯えたシエスタの目を見て思い出したのは、ルイズの姉「カトレア」の姿。 優しい「カトレア」姉様は使用人達からも慕われていた。 彼女は体が弱く、遠出の出来ない体だったが、 動物たち、使用人達、兵士達からいろいろな土地の話を聞いて楽しんでいた。 彼女は体が弱い分、誰かに守って貰わなければ長く生きられない事を知っている、 だからこそ彼女の周りには、恐怖心ではなく、純粋な気持ちで慕う人が集まるのだ。 ルイズは長女の「エレオノール」姉から貴族の恐ろしさを。 「カトレア」姉からは貴族としての理想を学んだのかもしれない。 メイドに責任を押しつけてプライドを保つ、そんな貴族は笑いものだ。 この時のルイズの後ろ姿を見た友人達は、後にこう語る。 まるで空気が震えているようだった、と。   ”ド ド ド ド ド ド ド ド ”

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