「使い魔は今すぐ逃げ出したい-35」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

使い魔は今すぐ逃げ出したい-35 - (2007/07/08 (日) 23:05:42) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

私のそばに現れたのは2mほどの人型だった。猫のような頭部を持ち、肩や手の甲、腰等に髑髏の装飾がついている。 その人型の全身には細かな罅が無数に入っており今にも崩れそうに見える。 しかしその体からは言葉にし難い力強さが発せられている。 『キラークイーン』 それがこの人型の名前であり、私のスタンドであり、自身の殺人衝動の具現化とも言えるまさにもう一人の私。 そして向かってくるワルドの偏在を見据える。その動きは速い。しかしくそったれ仗助や忌々しい承太郎に比べれば遅すぎる! 「しばッ!」 ワルドたちが振るってくる杖をキラークイーンで弾き飛ばし殴り飛ばす。スタンドにはステンドでしか攻撃できない。ゆえにワルドではスタンドに対抗する術はない。 自身の体の傷はスタンドに反映される。今の私の体は重傷だ。 よってキラークイーンには殴り飛ばすぐらいの力しかない。重傷でなければ体をぶち抜けたんだがな。 「な、なにが起こったんだ!?」 ワルドがうろたえる。当たり前か、スタンドはスタンド使いでなければ見えない。ゆえにワルドには偏在が吹っ飛ばされたわけがわからないだろう。 偏在の顔にすら驚愕の顔が張り付いていた。 ワルドに向けて1歩踏み出す。殴り飛ばされた偏在は体勢を立て直すとワルドを守るように立ちふさがる。 「貴様……、一体何をしたぁ!」 「私は常に『心の平穏』を願って生きている人間でね。『勝ち負け』に拘ったり頭をかかえるような『トラブル』とか夜も眠れないといった 『敵』をつくらない……というのが私の社会に対する姿勢でありそれが自分の幸福だということを知っている……」 「何をしたのかと聞いているんだ!」 「もっとも闘ったところで私は誰にも負けんがね」 ワルドの問いを無視喋りかける。 「ワルド君、つまり敵である君は私の睡眠を妨げる『トラブル』なんだよ。だから君を始末させてもらう」 ワルドたちが1歩後ろに下がる。その顔に見え隠れするのは恐怖だった。 私はそれをつめるように1歩前に進む。 「う、う、う、う、うおおおおおおおおおおおおおおお!」 覚悟を決めたのかワルドたちが突っ込んでくる。 「平民如きにこの私がやられるはずがないいいいいいいいいいいいいい!!」 「いや死ぬよ。何故すでに君は『キラークイーン』によって始末されてしまっているのだからね」 そう既にワルドの偏在にキラークイーン触っている! 右手のスイッチを押す。そしてワルドの隣にいた偏在が爆発する。 ワルドは何も出来ずに吹っ飛んだ。同時に残っていたもう一つの偏在も消える。 「うっ、うっ……」 やはりあれだけ離れてたら1発じゃ死なないか。 倒れ付しているワルドに近づいていく。 「な、何が!何が起きているというのだ!」 ワルドが立ち上がる。しかし死ななくてもやはりダメージはあったのだろう。爆発を受けた側の衣服は破けており血が出ている。 足はガクガクと震え今にも倒れそうだ。 しかしそれでもなお必死にこちらに杖を向け抵抗の意思を示している。 その杖にキラークイーンで触れ、杖を媒体にして腕を爆破する。 「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」 杖が地面に落ちる。杖を持っていたワルドの腕は無くなっていた。 ワルドが腕を押さえ膝をつく。 それから杖を拾い上げ杖を爆破する。もうこれでワルドは魔法を使えない。 「おいおいワルド君、その程度で悲鳴を上げるなよ」 呻いているワルドの口に爪先を突っ込む。その衝撃で前歯が何本か折れる。 「私はこれほどまでにひどい傷を負いながら悲鳴の一つも上げなかったぞ。私を見習いたまえ」 そう言って爪先を引き抜くと顔を思いっきり蹴り上げ、ワルドを地面に転がす。 そしてワルドに向けて踏み出そうと足を前に出し、崩れ落ちた。は? 手からデルフリンガーが離れ全身に痛みが戻る。これは一体!?今度こそ『ガンダールヴ』の効果が切れたのか! やばい!やばいぞ!今ここで倒れたら!前に目を向けるとワルドが立ち上がって私を見ている。ワルドは喋らない。その代わりその眼が物語っている。 『殺してやる』 その純粋な殺意だけが確認できた。 やばすぎる!早く何とかしなければ殺されてしまう!キラークイーンを動かそうとしても動かない! ワルドがそこらへんにあった大き目の瓦礫を掴み上に掲げる。まさか! 「死ねえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 ワルドがその腕を振り下ろした瞬間、ワルドの体は爆発して吹き飛んだ。 何が起こったんだ?そう思っていると視界の隅に人影が映る。 「ヨシカゲー!」 それはルイズだった。どうやらルイズがワルドを吹き飛ばしたらしい。ワルドに視線を向けるとそれは酷い有様だった。 衣服がボロボロになっており所々こげている。体中血だらけで残っている腕も変な方向に曲がっておりその体はピクリとも動かない。誰の目から見ても死んでいるだろう。 ルイズが駆け寄ってきて私の頭を抱えあげる。 「ヨシカゲ!大丈夫!?しっかりしなさい!ねえ!ヨシカゲ!」 目に涙を溜め悲痛そうな声で私に呼びかける。 しかしそれにしても綺麗な手だな。少し小さいがそれも可愛げがある。それが私の顔に触れていると思うと興奮するな。 しかし手だけの方が静かで清いお付き合いが出来るな。最後の力を振り絞りキラークイーンでルイズに触る。そしてスイッチを入れようとして気づく。 右腕が……無い!? どういうことだ!?たしかにさっきまであった筈だぞ!私の右腕が切り離されたわけでもないのに!? そもそもここは何処だ!?私はあの道で振り返った後どうなったんだ!?何故生きている!?私を抱えている少女は誰だ!? 何がどうなっ……ている…………んだ…… 意識が無くなった吉良をルイズが抱きかかえ呼びかける。その呼びかけは涙声で、もはや呼びかけではなく懺悔のよう、いや懺悔だった。 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」 その顔は涙と埃にまみれ汚く歪んでいる。 そしてその様子を見ながらデルフリンガーは先ほどまでの吉良を思い出していた。 「……ありゃあ相棒じゃねえ。一体誰だったんだ?それにあの白い奴は一体……」 その場に聞こえるのは怒号と爆発音、そして懺悔の声。 その場にあるのは後悔と疑問、そして戦争だった。 ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
目安箱バナー