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DIOの……いや、自分の部屋に戻ったルイズは、ドアをバタンと閉めた。 後ろ手で鍵をかける。 部屋の奥の窓際に立っているDIOを見つけると、ルイズは虚ろな目をしてフラフラと誘われるようにDIOの方へ向かった。 カーテンが閉められた窓際に立つDIOは、自分の左手をルイズに差し出した。 その手は先程のギーシュの血で、真っ赤に染まっていた。 幾分か固まってはいるものの、鼻につく鉄の匂いが辺りに立ち込めている。 ルイズの目は、その左手に釘付けになっていた。 ハァハァと荒い呼吸をして、頬をほんのり上気させているルイズは、途端にガクリと膝をついた。 我慢も限界といった風にDIOの左手に手を添えると、ルイズは自分の小さな舌を、その血に染まる左手に這わせた。 「ハァ…ンゥ…チュ…フッ」 ピチャピチャという、淫らな水音が部屋に響いた。 だが、そんなことはお構いなしに、ルイズは陶酔した表情を浮かべたまま、ひたすらにDIOの左手全体に舌を這わせ続ける。 いや、むしろ部屋に響く淫音すらも、ますますルイズの理性を崩壊させているようでもあった。 唾液に混じって血が喉を下りていくたびに、ルイズは心が喜びで震えるのを止められなかった。 自分の穢れを知らない女の部分が、熱を帯びて潤っているのを痛いくらいに感じていた。 もじもじと切なそうに太ももを擦り合わせた後、ルイズは左手をそのままに、右手をするすると自分の女の部分へと移動させた。 グチュ…という湿った音が、下着越しに感じられ。 ルイズは体に電気が走ったように、ビクンと震えた。 だが、次第に調子を掴んだのか、ルイズは下着の上から、自分の女を不規則に指で慰め始めた。 ルイズの口と、女の部分から、いやらしい音の調和が繰り広げられる。 DIOは無言で、そんなルイズをさせるがままにした。 ひざまづいて指の一本一本に至るまで、丁寧に舐めあげてDIOに奉仕を続けるルイズだったが、段々それは激しいものへとなっていった。 ―――と、突如ルイズの体が弓ぞりになり、口が酸素を求めてパクパクと動いた。 下着にジュワ…と染みが広がる。 絶頂に達したらしい。 全身を弛緩させながらも、それでもルイズは舌を動かすのを止めなかった。 暫くするとあらかた舐め終わったのか、最後に左手に沿うようにして舌を這わせた後、名残惜しそうにため息をついた。 ルイズの口から銀糸がつぅっとつながった。 そして、部屋に漂う鉄の匂いが徐々に消えていくと、ルイズの目に再び理性の光が戻り始めた。 自分が今まで何をやっていたのかを悟ると、ルイズは弾かれたように立ち上がり、後ずさった。 「な……わ、わた…し…な…に……を?」 面白そうに一連の行為を眺めていたDIOは、差し出していた左手を顔の前に持ってきた ルイズの唾液でビチョビチョになっているそれをペロリと舐める。 そして、ニヤリとルイズに笑った。 ルイズはその笑みを見て、崩れるように床に座り込んだ。 暫くの沈黙が、部屋を包んだ。 やがて、ルイズがポツポツと問い始めた。 「…………どうしてギーシュを殺さなかったの?」「…………………」 DIOは答えない。 「………どうやってギーシュを倒したの?」「…………………」 DIOは答えない。 「……あなたが使っていた、あの幽霊は何?」「…………………」 DIOは答えない。 何もいわずにソファーに座り、手を拭いた。 「…私の体に何をしたの?」「…………………」 DIOは答えない。 「そもそもあなたは何者なの!?」「…………………」 DIOは答えない。 ルイズはすぅっと息を吸い込んだ。 「答えなさい!!!」 ビリビリと空気が震えた。 ルイズの怒声もどこ吹く風、DIOは脇に置いてあった本を開いて読み始めつつも、ようよう応じた。 「……まず、最初の質問からだね。 どうしてさっきの小僧…えぇっと、何だっけ…そう、ギーシュを殺さなかったのか、だったな…」 ルイズはDIOを見上げた。 「簡単だ。私の身の安全のためさ。 あの時、勢いに任せてギーシュを殺していたら、私は周りのメイジや、騒ぎを聞きつけてやって来る教師たちを相手にしなければならないだろうからな。 …避けねばならない。余計な消耗は。 それが、第一の質問に対する答えさ…」 「私は殺せと言ったわ」間髪入れず、ルイズが切り込んだ。 「『マスター』…。私は自分を解放する術を磨けと、言ったばかりじゃないか。 その点から言うと、あの時殺すのは、スマートとは言えないね」 「…………」 ―――言われてみれば、DIOの言うとおりかもしれない、とルイズは思った。 確かに、あの時観衆の目前で、ギーシュを殺していたら、DIOだけじゃなく私の立場まで悪くなるのは、当然だ。 この世界では、平民が貴族を殺すことは、死に値する大罪だ。 いくら私が塵一つ残さず吹き飛ばしたとしても、言い逃れが出来るとも思えない。 ルイズはそこまで考えて、とにかくも納得はした。 頷くルイズに、DIOが続ける。 「第二の質問だが……君が見たままだよ? あの鉄人形…『ワルキューレ』だったかな…とにかくそいつを、私は破壊して、ギーシュをナイフで串刺しにしてやったわけさ」 ―――よくもまぁぬけぬけと言うものだと、まだぼーっとする頭でルイズは思った。 「そうね。確かに、結果だけ見れば、あなたの言うとおりだわ。 でも、私は結果ではなくて、過程の話をしているの。 …はっきり言うわ。私も含めて、あの場にいた全員、あなたがワルキューレを砕いた所も、ナイフを投げた所も見ていないわ。 気がついたらそうなっていたの。一体どういうこと?」 「さぁ?あそこは日があまり射さないからね。 暗さのせいで、見逃したんじゃあないか?」 DIOはからかうように、フフフと笑った。 ―――どうやら、この問いには答えるつもりはないらしい。 これ以上追及しても、時間の無駄だと判断して、ルイズは先を促した。 「第三の質問だが……あれは、そう、君たちの世界風に言うと、私の『使い魔』といったところだ。 『側に立つ』という、私の世界の言葉にちなんで、私は『スタンド』と呼んでいるがね」 ―――これは、まぁ、予想通りの答えと、ルイズは思った。 『スタンド』…DIOがそう呼ぶあれには、一体どんな性質があるというのだろうか。 それを聞こうとしたら、DIOが先にそれに答えた。 どうやら彼は、ギーシュの血を吸って、幾分饒舌になっているらしかった。 「…私のスタンドは、『ザ・ワールド』と言う。私の世界の言葉で、『世界』を暗示するスタンドだ。 スピードと、無比のパワーを誇る」 「…あのザマじゃ、とてもそうは見えないけど」 そういうルイズに、DIOは"まだ本調子ではない"と、珍しくお茶を濁す発言をした。 案外DIOも気にしているのだろうか? 「第四の質問だが…」 ルイズは体を強ばらせた。 これこそが、ルイズがもっとも知りたいことであった。 「……君は、吸血鬼を知っているか?」 突然の質問だった。 「え、えぇ、一応知識だけならある…けど」 「君たちの世界と、私の世界のそれは、些か異なる存在かもしれないが、元の意味は一緒だろう。私はその吸血鬼さ」 DIOの告白に、ルイズは一瞬ポカンとした。 「…え?だってあんた、太陽の光、大丈夫じゃない」 「…思うに、この世界の太陽と、私が元いた世界の太陽とでは、発する光の波長が異なるからかもしれないな」 ―――つまり、こいつには弱点は無いってことだ。 ルイズはDIOという存在の反則ぶりに呆れた。 「とにかく、そういう理由で私は血を好む。血さえあれば、どんな傷であろうと塞がるだろうからな。 そして…、吸血鬼は、血を吸った相手を吸血鬼にできる。 私の場合、私の体を流れる吸血鬼のエキス(EXTRACT)を、相手の血液と循環交換させることによって、相手を屍生人に出来る」 どうも話が見えないと思っていたルイズは、DIOの言葉にハッとした。 ―――吸われたじゃないか……自分も…DIOを召喚した時に…。 ドクンドクンと、心臓が暴れ出した。 呼吸が乱れる。 冷や汗が出てきた。 …………まさか? …まさか! 「DIO!!」 ルイズは立ち上がった。 「DIO!あんた…!あんたは!」 人間としてのアイデンティティを揺らがされ、ルイズはパニックになった。 思考がまとまらず、舌がうまく回らない。 ハァハァと荒い呼吸をするルイズを見て、DIOはクックッと笑った。 「…おやおや、やっと気づいたのか?クックックッ…。 だが、私もあの時は必死でね。 君にエキス(EXTRACT)を注入したかどうか、覚えていないんだ…」 ルイズは耳をふさいだ。 「だが、私は知っているよ。 君はさっきの決闘の時、ギーシュの血を見て、とてもうまそうだと思った。そうだろう? それだけじゃない。 君は私によって受けた瀕死の重傷から、1日で復帰してみせた。 それどころか身体能力も、上がっているようじゃないか?」 (やめて、それ以上言わないで!) ルイズは先ほど、夢中になってDIOの手についた血を舐めていた自分を思い出して、無言の叫びをあげた。 心ではそう思ったが、体がピンにでも止められたみたいに、ちっとも動かなかった。 おもむろにDIOは本を閉じ、ソファーから降りて、ルイズの前に立ちはだかった。 195サントの巨体が、ルイズを見下ろす。 目を逸らすルイズに、DIOは顔を近づけ、ルイズの顎に手を添えた。 傍から見ると、まるでキスをしようとしているようだった。 「『マスター』。君は今、非常に私に近い状態にある。 それは、私と結んだ契約のせいかな? それとも、私に血を吸われたせいかな? いや、あるいは両方かもしれないぞ?」 子供に謎かけをするように、軽々しい調子で問うDIO。 震える拳を握りしめて、ルイズはキッとDIOを見据えた。 この一点だけは、譲るわけにはいかない。 認めるわけにはいかない。 「私は…私はまだ人間よ!」 『まだ』といってしまうところが、ルイズの恐れの証だった。 DIOはフッと笑うだけで何も言わずに、ルイズの脇を通り過ぎ、ドアのノブに手をかけた。 「あぁ、ところで『マスター』。君から借りた本、読み終わったから返しておくよ。 実に参考になった。 これから図書室に行って、他の本を読んでみようと思うんだ」 背を向けたまま言うDIOを、ルイズはただ見つめるだけだった。 DIOが静かにドアを開けた。 「……最後の質問に対する答えがまだだったな『ルイズ』。 答えるまでもない。 私はDIO。これまでも、そしてこれからも世に君臨し続ける、全てを超越した帝王だ」 部屋に不気味な声を響かせて、DIOはパタンとドアを閉めた。 to be continued…… ---- [[28へ>http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/?page=%EF%BC%A4%EF%BC%A9%EF%BC%AF%E3%81%8C%E4%BD%BF%E3%81%84%E9%AD%94%21%3F-28]] ----
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