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使い魔は今すぐ逃げ出したい-14 - (2007/06/17 (日) 23:23:43) の編集履歴(バックアップ)


学園を出発してもう半日以上経っている。その間私たちはずっと移動していた。
もう2回ほど馬も交換している。さすがに疲れてきた。ギーシュを見ると馬の首に上半身を預けてへばっている。
それなのにグリフォンは全くスピードが落ちることなく疾駆している。それに乗るワルドも疲れた様子はない。タフだな。
さすが空想上の生き物に何かの魔法隊長様だ。慣れてるんだろうな。
その後さらに馬を替え走り飛ばしたのでその日の夜にはラ・ロシェールという港町の入り口に着いた。ギーシュがいうところによれば本来ここには馬で2日掛かるらしい。
いくら急いでいるからって飛ばしすぎだろ。そっちはいいかもしれんがこっちは疲れるんだぞ。というか置いていってくれればアルビオンに行かずにすんだのに。
しかしここが港町だというがここは山だぞ?なんだこの矛盾は?峡谷に挟まれるようにある町を見ながらそう思った。
「ひゃっと、一息ちゅけるな」
ギーシュは休めるとわかったとたん晴れ晴れとした顔(だ思う)になる。現金な奴だ……私もだが。
不意に上から松明が落ちてくる。何だ一体!?
「にゃ、にゃんだ!」
ギーシュも驚きの声を上げる。
馬は突然の出来事に驚き前足を高々と上げる。その拍子に馬から落ちたが何とかうまい具合に着地する。
ギーシュの馬も同じことになりギーシュは顔から落ちた。
本当に何なんだ!?まさか敵襲か!?さらにすぐ隣に矢が刺さる!
早くここから離脱しなければ!
着地した態勢からすぐさま後ろに下がる。
「奇襲だ!」
体勢を立て直したギーシュが叫ぶ。そんなことはわかってる!
そして離れるのが遅れたギーシュに無数の矢が飛来する!あれはもう助からないな。

しかしギーシュに迫る矢はギーシュの眼前に現れた小型の竜巻に巻き込まれあらぬ方向へ飛んでいく。
そしてその影響で竜巻のしたにある砂利や小石なども撒き散らされる。矢と比べさらに多い砂利は四方八方に飛んでいく。
普通なら問題は無いだろう。しかしその竜巻はギーシュの近くの眼前に現れた。そしてギーシュは体勢を立て直したといっても四つん這いの格好である。
つまりどうなるか。砂利や小石はギーシュにぶち当たる。
「いだだだだだだだだだだだ!」
ギーシュの悲鳴が響き渡った。顔は見るに耐えないぐらい腫れているのだから顔にあったら想像を絶する痛みだろう。
おそらく魔法を放ったのはワルドだろう。いくら命が危ないからって加減しろよ。可哀想だろ!
そう思いながらデルフリンガーを抜き放つ。
ギーシュもさすがに戦闘だからであろう、痛みを堪え立ち上がり後ろに下がる。
「相棒……さすがに置いていきかけたのは埃が積もるより傷ついたぜぇ……」
五月蠅い!
「大丈夫か!」
ワルドが私たちの安否を聞いてくる。
「大丈夫だ!」
それにこちらも答える。本当は一人大丈夫じゃないがな。ギーシュの顔を見ると顔は血だけになっていた。腫れもさらに酷くなっている。
そ、そんなことより敵は!?崖の上を見る。しかし矢が飛んでくる様子はない。
しかし安心は出来ない。油断は死につながる。
「夜盗か山賊の類か?」
ワルドが呟く。だろうな、貴族が弓を使うとは思えない。
「もしかしたら、アルビオンの貴族の仕業かも……」
「貴族なら、弓は使わんだろう」
ルイズの考えをワルドが否定する。私と同じ考えだな。
私たちが警戒していると何やらバッサバッサと羽音が聞こえた。何だ?さらに警戒を強め後ろに後退する。皆に気づかれないようにだ。
理由は勿論何時でも逃げれるようにだ。死ぬのはごめんだからな。


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