使用人の女

■使用人の女

スルガさんに仕える使用人の女性。 傷薬を届けた人物である。

字名は、リプダ・エファーゴ。本名は不明。
スルガさんの城の使用人となり、領庫の管理や領土の管理を受け持つことになる。
家宰となる。 スルガさん曰く、ボケの才能が無いようである。

スルガさんの元部下の名家の者と戦う際にリプダは自分の手勢を連れてきた。
しかし、家の格のせいなのか、名家の者よりかなり劣勢のようである。

話している内容からして、結構怖い人である。
でも人間が怖いことを厳しいことを言うには理由があるし、その結果怖く見えている部分もある。

スルガさんの元に舞い込む仕事は、リプダが厳選して行っている部分が多いらしい。
逃げ出した部下の分までやっているのでかなり大変らしい。


■リプダ・エファーゴ

大妖精の臣下に収まった祖先から数え、リプダは15代目になる。
リプダの家は、代々300年間、大妖精に使えてきたという。
希望世界の人間以外の種族からすると大したことではないらしいが
人間としてはそれが自慢となり、格高い方だったという。

リプダ自身もそれを自慢としてた。
真実しか口にできない絶技を使われても困らないような教育がされている。

リプダは、スルガさんのことを可憐で聡明で豪快だと思っている。
それが可愛らしく思っている。

リプダの家は権力も武力もなかった。理由は3代前の当主がギャンブル好きで
身代を潰していた為である。 家の格はともかく、リプダも代官ではなく
使用人という形で入城(スルガさんの館に住むこと)していたという。

その後政変が起き、スルガさんが部下の代官を粛清し、悪代官を皆追放した。
逆上して攻めてきた者を絶技すら使わず、成敗した。
リプダはこれに感涙し、画家を読んで記録させた。たまにその絵を見て感涙しているという。

リプダはその後、スルガさんの代官におさまる。この希望世界駿河湾沼津の地では一番上の地位であり
個人としては大出世の成り上がりであり、一族として見事な返り咲きとなる。
引退し、小さな庭を整えるばかりのリプダの母もこれに感涙したという。
リプダは可愛いものが好きであり、その意味で趣味と家業は一致したという。


■根拠ログ
ドアの外にいた数名が慌てて離れて平伏した。
一人の人間には覚えがある。昨日、覗いていた使用人の女だ。

「傷薬ありがとう」
そう言ったら、感動の目で見られた。よくわからない。いや、今はそれどころではない。
(スルガ編 第二十六話)


悩んでいたら決意の面持ちでいつかの使用人がやってきた。数名の男を連れて目の前に跪いている。

使用人は穴の開いた絨毯を見ている。なんか恥ずかしい。

「えっと、あなたの字名は?」
「私はリプダ・エファーゴと申します。領主さま」
「ご命令に従い、急いで予算を組み直しました。領庫も確認し、実際の数字を見ております」
「こちらに。領庫の兵器や財宝が減っておりました。恐れながら私財としていたものがいたせいかと
 ……少なくない兵器の類がなくなっております」

「僭越ながら、以後は家宰として、わたくしリプダがスルガさまの領土を管理いたします」
「分かりました。リプダ。たのみます」リプダは顔を心持ち赤くして平身低頭した。
「命にかけましても」リプダは石清水ほどボケの才能がないらしい。
(スルガ編 第二十九話)


ため息をついていたら、リプダがさらに自分の手勢を連れて姿を見せた。
武器を持って互いに睨みあうという状況だ。
何をやってるのか、という気になった。
家の格のせいなのか、リプダの方がかなり劣勢に見える。
(スルガ編 第三十話)

「その上で、いかがいたしましょう。一族郎党処刑が適当と思われますが」
「ボケの才能がないからって死刑にする必要はないでしょう。家族や郎党はなおさらです」

さておき次々と報告が上がって来ていた。
前と比べて10倍どころか100倍くらい細かい報告と判断が要求されるようになった。
こまけえことはどうだっていいと事あるごとに思っているスルガさんだが、さすがに亡き父の
仕事をおろそかには出来なかった。
それに、これはおそらくだが、これでもリプダの方で相当厳選しているのだろう。
逃げ出した部下の代わりをやっているのだから、一々文句を言うのも笑いが取れない。

リプダの性格からして、拷問とまではいかなくても自白をとるためにキツイ責めとかはありそうである。
(スルガ編 第三十四話)


大妖精の臣下に収まった祖先から数えて、リプダで15代目になる。
かれこれ300年は仕えてきた。人間以外のどの種族から見てもそれがどうしたという話
ではあったが、人間としては自慢になるというか、格が高いほうだった。
リプダもそれを自慢していた。いつ真実しか口にできないような絶技を使われても困らない
ように教育を受け、生活してきた。奴隷根性だという者もいたが、リプダとしてはそういう風には思わなかった。
なにせ自分がお仕えする大妖精は、可憐で聡明、しかも豪快なのだった。
なんというかラララー、お仕え出来てよかったーと歌ってくるくる回る程度には可愛らしかった。
むしろ邪心を持って仕える家臣どもを、苦々しく思っていた。
思っていたがリプダというかリプダの家には権力も武力もなかった。
3代前の当主がギャンブル好きで身代を潰していたからである。家の格はともかく、リプダも代官などではなく
使用人という形で入城していた。

ところが、政変があった。これまで凡庸、暗愚と見られていたお嬢様、大妖精のスルガさんが突如人が
変わったように政務を始めたのである。とりあえずやった事は粛清であり、自分の財布と領国の金庫を
混同している悪代官は皆追放、逆上して攻めてきた者は絶技すら使われることなく、成敗された。

リプダ、感涙である。なんという凛々しいお姿かと、すぐに画家を呼んで記録させた。
たまにその絵を見ては思いだして感涙する。
ついでにリプダは、代官におさまった。しかも筆頭。この地の人間としては一番上の地位。
個人としては大出世の成り上がり、一族としてみても見事な返り咲きだった。

引退して小さな庭を整えるばかりの母も感涙である。相手の考えを読む絶技がある
希望世界では、すぐに感涙するような分かりやすい家系でも出世出来たのである。

お仕えして幸せです。人形のようなスルガさんの細い手足を見てリプダは感動した。
毎朝その姿を見ては感動している。もっともこれは部下として
ではなく、そもそもリプダは可愛いものが好きなのだった。
趣味と家業が一致した、幸せな立場だったのである。

まったくバカな奴らね。今にして思えば、あんな奴ら、自分でやっつけちゃえば良かった。
最近はよくそんな事を考える。あの頃自分は頭を下げる事、政治と言う足の引っ張り合い渦巻く
屋敷の中で生き残ることしか考えてなかった。
(スルガ編 第四十五話)

最終更新:2017年02月18日 06:54