■イトウ(左木)
コピー機のメンテナンスをやっていた業者である。
名前はイトウで左木という。
ひどく美人らしい。
ここでは何もしない。
平穏を望んでいるという。
良い笑顔をしている。
記憶力が悪い人が多くて。帰り道にSNSに書き込んだり、そのまま行方不明になったり・・・と遠回しに
秘密を喋ったら殺害する事を仄めかす。
第三十六話でフットサルをしている艦橋の前にユニフォーム姿で再び現れる。
どうやら、にんまり笑って、Vサインをするのが癖?らしい。
艦橋を監視している理由を告げる。
艦橋が前にいた会社で複数の外国人に接触していた。
その外国人の一人が重点監視対象だったという。
システムにバックドアを仕掛けようとしたり、機密情報を持ち出したりしていたという。
艦橋は、イトウの素性を聞くと、どうだっていい事だという。
どうやら、イトウが言うには、艦橋が、好奇心旺盛なので、怪しまれているらしい。
イトウは、艦橋自身を調査し、特定の国との繋がりやデッドポストがないのを確認しているという。
イトウは、怪しい動きをしているので、艦橋を調べることにしたらしい。
家族構成に、これまでの人間関係、特定思想との接触などを調べたらしい。
その後、イトウは、艦橋を香水スプレー(おそらく睡眠薬)で眠らせたようだ。(スルガ編 第三十六話)
■関連項目
コピー機の業者 紙資料とコピー機 イトウ 知らない女の人 外国人風の男性
■根拠ログ
「お話しませんか。艦橋さん」「え、遠慮します」
走って逃げようとしたら、知らない外国人風の男に道を塞がれた。
自分の失敗に気付く。もっとびびってればよかった。しまった。
動けないでいるところに足音が近づく。
せめて顔見てやろうと艦橋は目を向けた。女はひどく美人だったが、美人であるがゆえに、印象深い顔立ちでもあった。
「コピー機のメンテナンスやってた……」
「そうでーす」
明るく小さく手を振られ、艦橋は小さく声をあげた。ずっと前から監視されていたことに気付いた。
「自己紹介がまだでしたね。私はイトウっていいます。 左木 さき って名前です」
「僕を殺したってなんにもなりませんよ」
「それを決めるのは艦橋さんじゃないですよ」
笑顔で言われて、艦橋は棒立ちになった。
喚いて走って逃げれば良かったのだが、それが出来なかった。自分が川に浮いているイメージが頭にちらついた。
イトウを名乗る美女は笑っている。
「冗談ですよ。冗談。でも、少しくらい話を聞きたいかなって」
「嫌だと言ったら?」
「別に? 何もしませんよ。ここでは」
「ここでは」
良い笑顔をされて、身の毛がよだつ。口の中が乾いている。
女は腕を組んだまま人差し指を伸ばした。
「我々は平穏を望んでいます」
「僕だってそうですよ」
「それはよかった」
女はいい笑顔。
「艦橋さんはいつも、見守られています。このことを忘れずに」
「こんなめにあって忘れたりはしませんよ」
「それは良かった。最近、記憶力が悪い人が多くて。帰り道にSNSに書き込んだり、そのまま行方不明になったり」
「上司に相談するとか」
「それについては問題ないですよ。ただ、握りつぶされるだけです」
ほんとかよと思いはしたが、口にすることは憚られた。身の危険というやつは、人を臆病にする。
微笑みを一つ残すと、女は唐突に消えた。外国人もいなかった。魔術か何かを使われたかと思ったが
(スルガ編 第二十八話)
「鼻血大丈夫ですか」「大丈夫です」
無意識にそう言ったあと、目を剥いた。イトウと名乗ったあの女が、ユニフォームを着て隣に座っていた。
しかもご丁寧に薬箱まで持っていた。
「……あんた……」
イトウはにんまり笑ってVサインなどして見せた。
「声が大きいと、静かになってしまうかもしれませんよ」
笑顔で言われると、怖い。
「どどどど、どういう……?」
「まあ、年に何度もあることではないですけどね。あれからこちらの調査も少し進みまして」
イトウを名乗る女はそう言って口を開いた。
「前にいた会社で複数の外国人に接触してましたよね」 それが、と顔を見たら、イトウは肩をすくめた。
「そのうち一人がうちの重点監視対象だったんです。システムにバックドア仕掛けようとしてたり、機密情報持ち出したり……」
「あんたというか、あなたたちは?」 女はえくぼを作って笑った。
「まあ、それについてはどうだっていいじゃないですか。普通に生きていれば私たちとはなんの関係もないでしょうし」
「分からないと気持ち悪いじゃないですか」
「なるほど。好奇心旺盛なんですね。でもそのおかげで怪しまれていると思ってください。
あなた自身に特定の国との繋がりやデッドポストがないのは確認しています」
ティッシュペーパーをひらひらさせながら、女は言った。デッドポスト?
「死んだポストってなんです?」
「さあ、なんでしょうね。ともあれ、あなたが怪しい動きをしているので、我々はあなたを調べることにしました。
家族構成にこれまでの人間関係、特定の思想との接触……」
「あの、冥土の土産モードみたいになってるんですけど」「だいたいそうです」
艦橋は走って逃げようとして柱にぶつかった。あまり目が良くないのだった。
「大丈夫ですか」「大丈夫じゃない!」
叫んだところで女は自分の口鼻にティッシュをかぶせて香水スプレーをプッシュした。艦橋の意識が飛んだ。
(スルガ編 第三十六話)