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石清水の笑いの話

■石清水の笑いの話

スルガさんに伝える石清水の笑いについての話。


■根拠ログ
「物を教える立場になって思うのは、話すことの少ない人生だ。誇ることの少ない人生だった。今はそれがとても悲しい」
 なんでやねんと言いかけて、スルガさんは声色を少し変えた。
「そんなことないわ。ニホンのことはよくわからないけれど、多分。
 だって、凄い修行をしないと絶技を避けられたりしないもの」
「そんなことに価値はないなあ」 「なんになら価値があるの?」

小鳥は巨大な月を見上げて嘴を開いた。

「笑いには価値がある」
「イワシミズのいう笑いってなに?」
言われて小鳥は小さく翼を振った。「笑いは笑い。ツッコミと同じ。それ以上でもないし、それ以下でもない。
しいて言うならただ一つ、人間はある一線を越えたものを見たら、笑うしかなくなる。悲劇でも、凄いものでも、皆同じ」
「大妖精も?」スルガさんが問うと、小鳥は少しだけ頷いた。
「大妖精でも。巨人でも。どんなものにもそれは効く。十分に速く、十分に重く、十分に狙いすませば」

(中略)
「身体のキレがキレッキレなら、それだけでも人は笑う。スルガさん、笑わせる人になりなさい。
その拳も、この脚も、そのためにあると信じなさい。信じることは大切だ。信じるからこそ拳に力は宿る」
小鳥は月を背に言った。
「十分に速ければ、笑わせられないものなど何もない。それが僕の、ただ一つの教え。全てはそのための準備だ」
(スルガ編 第三十四話)

最終更新:2017年02月03日 00:59