2008.08.15 17:26
野良(--)
東の空が白み始める、夜明け前の山の中。裾野に広がる下り坂を、リュージュン家の二人が下っていた。背負った丸い大きなカゴには、ほのかに光る大量の草が積まれている。月光草と呼ばれる、月の光を蓄える草だ。
「いやー、大量大量。こんだけ採ってきゃ母ちゃんも文句ないだろう」
「なに言ってんだよ。肝心のホシクイは一匹も見つからなかったじゃないか」
カラカラと笑う父ゾックの後を、ノリスはダラダラと歩いていた。半分閉ざした眼には疲労と侮蔑が色濃く浮かんでいる。
食用・観賞・その他の目的のため、山林の虫を採り集めるのがリュージュン家の生業(なりわい)ではあるのだが、虫を探して山の中を一晩中はいずり回されて、けっきょく成果がなかったのでは無理もない。
父親を見るノリスの目は村に近づくほど、冷ややかさを増していた。
「なにが「父ちゃんにまかせとけ」だよ。俺ばっか働かせやがって、自分は草刈ってただけじゃないか」
「刈ってただけとはなんだ。父ちゃんだって色々と考えてやってたんだぞ」
「なにをだよ」
「そうだな。今日の朝飯とか、晩酌の肴とか、祭でなにを売るかとか、色々だ」
「……あぁ、そうかい」
息子の冷たいまなざしを気にすることなく、ゾックの妄言は続いていく。
「アシナガセミのから揚げとウナギヘビ炙りのムーンライト風味、どっちがいいと思う?」
「どっちでもいいよ、そんなん」
「なんだよ、ツレねぇなぁ。それでも俺の息子か?」
「残念ながら」
「あぁ、一晩じゅう働いたはらぺこだ。帰ってメシにしようぜぃ」
「……はぁ」
カラカラと笑う父の声に、息子の口から盛大な溜息がもれる。朝焼けはそれでもいつものように、新しい一日を告げていた。
モモと
ムーンライトはどんな味がするのでしょうか。まろやか?08/15 19:00
野良(--)
想像しうる一番優しい味を思いだしてください。
その約3.2倍優しい味です。08/16 00:56
水上 える
セミよりヘビの方がまだ食べられそうです。。。
セミの方にもスターダスト風味とかつけた方が比較になりそうです。08/16 23:59
最終更新:2009年09月28日 02:06