2008.07.11 20:53
水上 える
「ザワーくん!こっちも行き止まりよ!」
「こっちも駄目だ。ということは、はめられたな」
「こちらに追わせているふりをして、袋小路に追い込む、か。やられたな」
うすぐらい洞窟の中で数人の男女が出口を探していた。
「残ったひとつの出口に、やつらは全火力を集中させているってわけか」
「こっちがのこのことでていったら、どっかん!ってわけね」
「うーん、アカバネ、なにか策はないだろうか」
「策も何も、やつらを上回る火力で押しのければいいだけでしょ」
「そうだな。場所もわからず洞窟を掘り進んでも、体力を消耗するだけだ」
「いや、その火力がこちらに残っているのか?」
「正直、俺の弾数は残り少ないぞ。アザブもそうだろ?」
「うん」
「それが、あ・る・ん・で・すー。私とザワーくんが使えるわ。三日月神クレッセーンの魔術」
「え、それってあの、陣を書かなくても発現できるっていう」
「何百人に1人しか使えるようになれないっていう?」
「そう。でも1回ずつしか使えないよ」
「だから、誰かが向こうの火力の集中場所を教えて。そしたら逆にどっかん!よ」
「わかった。それくらいの役になら立つ。俺とアザブが先に出て、残りの弾を撃ち尽くそう」
壁に背を当てながら二人の少年が、銃器を構えて歩いていった。
「じゃ、ザワーくん先行って」
防御担当のポリーが見えない壁を作ったのを確認すると、ザワーは前へ出た。
「ああ。――薔薇の花の香り、小鳥の囀り、平穏の数多を授ける三日月の神よ
その力を借りてここに聖戦士を召喚する。我ザワー・シモキタの名において
『射乃華白戦』 発現せよ!発現せよ!!」
ザワーの背から背後霊のように金色の靄が出たかと思うと、それは鎧をまとった巨大な戦士の姿となった。
出口の方から銃撃の音が聞こえてくる。
「ザワー!2時の方向距離50!親玉がそこにいる!」
アザブの声を聞くや、ザワーはその地点を指差した。
戦士が跳んだ。まるで肉食獣の動き。
ザワーも後を追う。親玉を目視で確認。でかい!
戦士が体中を開いて、中に格納された大小多数のミサイルを放出。親玉を中心に、あたりの敵を焼き尽くす。
誘爆が誘爆を呼び、一帯は火の海となった。
「私が出るまでもないみたいね!道が開けたわ。総員脱出!走れ!」
アカバネが叫ぶ。全員が全力で出口を通過する。
「そのまま走れ!洞窟の入り口まで!」
最後尾についたザワーが、まだ動くものを見つけては、戦士に指示する。残りの敵を確実につぶしていった。
アカバネが洞窟の入り口に到着して、立ち止まる。
次々と到着する仲間たちを数えては安心する。
「よし。後はザワーくんだけね」
しかし、しばらく待ってもザワーは姿を見せなかった。
「遅い。遅いわ。魔術の発現時間ももう切れてるわね」
「まさか途中で力尽きて倒れてるんじゃないだろうな」
「そんなわけないと思うんだけど……ちょっと探してくる。みんなはここで待ってて」
アカバネが洞窟の中へ再度もぐろうとしたとき、ザワーは現れた。
ただし、1人ではなかった。そして気を失っていた。
「え?先生、なんでここに……?」
ザワーを抱えているのは、彼女たちの教師、ノミズだった。
そしてザワーの手足は縄で縛られ、額には失神させる魔術の矢が刺さっていた。
「先生、ザワーくんはどうしてそんな風に?」
「私がやりました」
一同、顔を見合わせる。
「なぜ?私たち、先生からの指令で、盗賊モグラを成敗するためにここに来たんですよね」
「まったく、知っているなら教えてくれればいいのに……」
「なんのことですか」
「三日月神クレッセーンの魔術を行使できる者を私は探していました。あなたたちの中にいたんですね」
ノミズが笑う。そこに邪悪さを感じて、一同背中に寒気が走る。
「ななななんなんですか先生」
どもりながらもポリーが口を開く。
「なななんでそんな変な顔で……ザワーくんをどうするつもりですか」
「内緒です。ところでアカバネさん、あなたも使えるとか?」
「ザワーくんを返してください、先生」
「あなたも使えるんですよね」
あくまで淡々と語りかけてくるノミズに恐怖を感じて、アカバネは反射的に呪文を口にした。
「――平穏な庭、平穏な空、平穏な花、囁くより優しくそよぐより穏やかな三日月の神よ
その力を借りてここに聖戦士を召喚する。我アカバネ・イワブチの名において
『軟慕紅戦』 発現せよ!発現せよ!!」
アカバネの背後から立ち上った赤色の靄が、鎧をまとった巨大な戦士の姿となる。
戦士はアカバネの指差す通り、ノミズへとガトリング砲を向けた。
発射の寸前、ノミズが大きく口を開けた。
アカバネが、痛みを感じたように胸を押さえて目を見開く。
ごおっ、と音がして、赤い巨大な戦士は頭の先から靄のように分解され始め、
そしてノミズの口の中へと吸い込まれていった。
戦士が消えた。
ノミズはしばらく咀嚼するように口をもぐもぐさせてから、ごくりと飲み込んだ。
「ああ、とても美味しかった」
アカバネがぺたんとおしりをついて座り込む。
「嘘……なにそれ……」
「ではアカバネさんもこちらへ来てください。さあ」
アカバネへと向けた手のひらから、魔術の矢が出現し、彼女の額を貫いた。
「みんな、逃げ……」
アカバネはことりと倒れて気絶した。
野良(--)
スタンドかペルソナか。
もう少し人数は減らした方がよかったんじゃないか?07/13 20:22
水上 える
ペルソナのアニメを最近Gyaoで見てぼろぼろ泣きました。その影響です。
うーん、人数は減らないですねえ…07/13 21:07
最終更新:2009年09月30日 01:41