2008.06.01 02:26
水上 える
空から冷たい風が吹き付ける。季節は冬。
コートの襟をぐっと閉めて、後ろは振り返らずに、僕は歩き続けた。
「待って……待ってよ、お兄ちゃん」
少し駆け足になってまですがってくる妹を、無言で振り切って、僕は歩き続けた。
僕なんかとこれ以上一緒にいちゃいけないんだ、有菜。
こんな毒の塊のように生きてきた僕なんかとは。
君はさなぎ。もう蝶になる寸前のさなぎ。ひとりで美しく羽ばたくがいい。
僕がいては君が飛ぶ邪魔になるだけだ。
車の止めてある位置までもうすぐ。高速道路に乗って遠くに行ってしまえばもう君は追いつけない。
「待ってってば……」
運転席に乗り込む僕。無理やり助手席に乗り込もうとする妹を突き放とうとした腕を、妹はひしと掴んだ。
ありえないほどの力で。
「え?」
ぼきぼきぼき、と折れる音を発したのは僕の腕か? 一瞬遅れて痛みが脳に伝わった。
「うわああ! な、なんだ?」
運転席の扉が閉まる。妹を追い出せないまま、助手席の扉も閉まった。
僕にのしかかってくる、笑みとも狂気ともつかない、はじめて見る妹の顔がそこにあった。
「私、お兄ちゃんを最後に食べないと、綺麗な蝶になれないの」
ミカヅキX
妹が手を掴むシーンで、ちょっと笑ってしまいました。
こういう即物的な人間破壊はいいですねぇ。
あいかわらずの兄妹ブームでげすね。
06/02 01:33
野良(--)
この手の人外傾向が多いな06/02 18:59
最終更新:2009年10月04日 23:38