2008.06.01 03:25
水上 える
高速で飛翔する夢を見ていた。
眼下に広く森が見えている。
吹き付けてくる冷たい風さえも心地いい。
この世界では、すべてが僕の思い通りになる。
不安なんてない――
「本当に?」
いつの間にか黄色い鳥が並走して飛んでいた。
「目覚めればお前は檻の中だ。知っているのにこの自由は楽しいか?」
鳥が話しかけてくる。
「自由を感じちゃ悪いか。あっちが夢だと思えばいいだけさ」
「じゃあ悪夢ってやつを教えてやるよ」
「うわっ」
鳥が僕をつつくと、僕はまるでパンクした風船のように、落下していった。
森の中に落ちたようだ。
特に怪我をしたわけでもなさそうだ。まあ、夢なのだから当然だ。
体を起こしてあたりを見回す。
木がたくさんあって、そのどれもにさなぎがびっちりとついていた。
それらはやがて身を震わせ、ゆっくりと羽化しはじめた。
大量に開いていく蝶、蝶、蝶。
そのどれもが、あいつの顔の模様をしていた。
「やめろ。見たくない」
僕は蝶が飛び立つ前に逃げなくてはと思い、立ち上がって走りはじめた。
しかし、どこまでいってもさなぎだらけの木ばかり。
そうだ、もう一回飛ぼう。空に逃げよう。
僕は地面を蹴った。
目が覚めた。病院のベッドの上。
四肢のない身体。人工臓器で補われた体内。
自分で動くこともままならない。
あいつのクローンとして生まれた、人権のない、体。
「目覚めましたか。次は網膜が欲しいそうです。とりあえず片方」
視覚がなくなる日も近いわけだ。
どこまでなくなったら、夢さえも見られなくなるのだろう?
僕は再び目を閉じた。
今は、ただ、夢を見よう。
ミカヅキX
いや、やっぱクローンはロボトミーとかしてあげないと非人道的でしょ。
あるいは、意識のあるクローンからのほうが、健康的な体組織が収穫できる、とかいう民間信仰があったりするのでしょうか。06/02 01:35
野良(--)
火の鳥でこんな話があったな。
命の価値なんてそんなもんだ。06/02 19:01
水上 える
脳も欠損部分なくとっておきたかったら、そのままにするしかないんじゃないですかねえ。。。
てか、いまどこまで手術したら意識がなくなるかってわかってるんでしたっけ?06/04 03:52
最終更新:2009年10月04日 23:41