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ミカヅキ『年代記』

2008.06.02 02:22

ミカヅキX

『年代記』

 形も色も、繭のような外殻が、摩擦熱で真っ赤に燃え上がる。
 ぼろぼろになった外郭が、風に吹き飛ばされると、中から現れたのは、さなぎのようにずんぐりした鉄の塊だった。
 その塊は、空気抵抗によるブレーキ装置と放熱板を兼ねた、巨大な四枚の翼を広げた。
 翼は機体の熱で、赤く輝く。
 大気圏突入時の、高速度は、かなり減じられ、分厚い空気の抵抗を受けながら、地上に向かって落下していく。
 上空3000mで、さなぎ状の第二外殻が、爆薬式の装置で吹き飛ばされ、中から優美な形のエアプレーンが現れた。
 4枚の翼は、ここからはその本来の目的どおりに、風と空気を押さえ込む。

 長い滞空時間を経て、それはゆっくりと地上に降り立つ。
 地表付近の、冷たい風が、訪問者を出迎える。

 訪問者は、飛行中に得たデータを基に、この惑星上でもっとも効率的かつ摂取しやすいエネルギー源として選択した、酸素呼吸型の生命モデルを設計する。
 素材は、これも摂取しやすい有機系蛋白質を選択した。
 開発及びバージョンアップの許容範囲は、惑星周回時に走査したして得た豊富な地表条件のデータから、自由度をかなり高めに設定し、最初の個体を誕生させた。

 やがて、空から来た訪問者は朽ち果てその存在は無に帰した。

 それから56億年後、訪問者が産み出した物の子孫は、その惑星のほとんどの生命体が死に絶えた後でも生き残っていた。
 その中から、再び惑星の引力から逃れ、母なる宇宙へと飛び立つものが現れるかどうかは、誰にもわからない。



野良(--)
さなぎってのは意外とSFと相性がいいようだ。06/02 19:07

水上 える
わーい宇宙人だー06/04 01:38
最終更新:2009年10月04日 23:53
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