2008.05.29 01:07
水上 える
「お兄ちゃん、どうしてご飯を食べないの?」
「必要ないからだよ、真由美」
「お兄ちゃん、どうして部屋から出ようとしないの?」
「必要ないからだよ、真由美」
「お兄ちゃん、どうしてこの部屋はこんなに血の匂いがするの?」
兄が無表情で何かをメスで裁いているのが、水槽の水越しに見えた。
少し伸ばした髪が水流で視界を遮るのがときどきうっとおしい。
刃物と骨が擦り合う音はとても耳障りだ。
聞いているだけで体のどこかが痛むような気がする。
「お兄ちゃん――」
兄がとろーりと赤黒い何かをつまんで腕を持ち上げた。
かたつむりを殻から取り出そうとしたらあんな風な形になるのかもしれない。
切片の一つ一つを兄は大切そうに目盛りのついた容器に入れ
「パンドラの箱」と書かれたその容器に接続されたチューブを数度引っ張って確認した。
「お兄ちゃん、これはなんていう遊び?」
「快楽主義っていう遊びだよ、真由美」
「お兄ちゃん、どうして私は生きているの?」
「お前がいないと寂しいじゃないか、真由美」
首から下はコードだけになった私がそれとなく目をそらすのを気にした様子もせず、
兄は私の体を、唇につないだチューブから、一滴も残すことなく、啜り終えた。
モモと
グロさが…05/29 20:34
野良(--)
思考するだけで行動ができずとも生きている価値はあるだろうか05/29 21:40
水上 える
しゃべれるだけこの妹はましですね。
五感をすべて封じられたらけっこうやばいはず。
でも「われ思う、ゆえにわれあり」ならば、自分がいることに変わりはないでしょう。
んー、価値を問うことは別問題かな。。。05/30 01:02
ミカヅキX
「お兄ちゃん、どうして私は生きているの?」
「お前がいないと寂しいじゃないか、真由美」
このやりとりが、いいですね。05/31 23:20
最終更新:2009年10月16日 01:56