2008.05.21 08:59
水上 える
さんさんとまぶしい光の降り注ぐ屋上。昼休みも残り少ない。
今日も佳奈子は、パンダの刻印の入ったドラヤキ――通称パンドラを食べていた。
高校の前に新しくできた、チェーン展開しているお菓子屋さんのイチオシの一品だった。
「おいしいよお。クラスでまだ食べたことないの、美咲ちゃんくらいじゃないのお」
「私は、あんまり、興味がないから」
そっけない返事を返しておく。その正体を知っているものとしては、食べる気になどならない。
「美咲ちゃんって、前の学校でもそうだったのお?」
「え?」
「なんかあ、近寄りがたい雰囲気っていうかあ、とげとげしいオーラっていうかあ」
「そう?」
気付いていてあえて能天気に友達になろうといってきたのか、こいつは。
「うん。もうちょっとくらい、愛想よくしないと、いじめられちゃうよお?」
「ありがとう。気をつける」
むしろいじめられた方が好都合なのだが。
転校初日から体育館裏に呼び出されてぼこられることくらい覚悟していたのだが、
クラスはなんともけだるいムードに包まれていて、「私たちいじめする気力もありません」といった風だった。
このままでは、事態はかたつむりのように遅遅としてすすまない。
かといってこちらからアクションを仕掛けるのはめんどうであまりよい手とはいえないのだが。
しばらく様子を見る方向でいくか。時間はかかるが、しょうがない。
「美咲ちゃん、好きな食べ物って何?」
「ええと、イチゴとか。果物」
無難な答えを返しておく。佳奈子は変わらないのんびりした笑顔のまま、パンドラを頬張っている。
ように見えた。
「私が好きなのはね、骨よ」
「骨?何の骨?」
「人間に決まってるじゃない」
左手を突然つかまれた。思い切って振りほどくと、人差し指と中指がもげていた。
やられた――こいつだったとは!
パンドラを食べ終わった手に、2本の指を持って、棒付き飴のように断面をなめている。
「この学校で、行方不明者が3人出ている。犯人はお前か?」
「うふ。さあ、どうだったかしらねえ」
美咲の使命は、近隣で立て続けに起きている女子高生行方不明事件について、
この学校に怪しいものがいないかどうかの調査だった。
戦闘は含まれていない。つまり、特殊武器を使用する許可が下りていない。
体術に自信がないわけではないが、やはりあの武器がないのは少々心細い。
相手は一瞬で指を2本も持っていくような怪力だ。
「美咲ちゃんも、一緒にパンドラ食べましょうよう。
それとも、ここで私に全部しゃぶり尽くされるのと、どっちがいい?」
パンドラの餡の中には、お餅のような不思議な触感の玉がたくさん入っている。
表向きには特殊製法でこの触感にした求肥ということだったが、本当は違う。
神経を侵し快楽主義的行動に制御をかけなくするよう培養された、かたつむりの破片なのだ。
程度の差はあれ、食べ続ければ、己の快楽に関する物事しか考えられなくなる。
その点において、パンドラの売り上げに反してこの学校での表面的な静けさに疑問を持ってはいたのだ。
もしやすでに、学校の組織ぐるみの事態にまでことは発展しているのかもしれない――
「どこまで知っている?」
「跪いたら教えてあげるわ」
とにかくここで死ぬわけには行かない。じりじりとフェンス際まで移動し、美咲は逃走を図った。
野良(--)
おお、意外な戦闘モノ。
しかしそこまでわかっているならなぜパンドラの方を先になんとかしないのだろう?05/21 22:19
ミカヅキX
ずるい。ここでやめるのは、非常に奸佞邪知だと言わざるを得ない。05/21 22:51
水上 える
パンドラの方は、あれですかね。いろんな大人の事情で、後手後手に回らざるを得なくなったんじゃないでしょうかね。。。
そして奸佞邪知が読めません。。。とりあえずあやまります、ごめんなさい。。。05/22 01:53
最終更新:2009年10月19日 00:52