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野良投稿『竜に挑む者達』

2008.05.05 22:57

野良(--)


 火の山の深淵に、炎の息を操る竜がいる。

 煮えたぎる溶岩の寝床に、鰐(わに)とも蛇ともつかぬ貌(かお)の目を閉ざし、赤熱した身を丸めて眠る灼炎の竜の様を、岩陰に身を潜めた兄弟は息を殺して見つめていた。
 竜の肌裂く剣を握り、眼に覚悟を宿しながら。
「……なぁ、兄貴。本当に、できるのか?」
「できる。やるしかないんだ。俺たちには、どうしても竜の『ひげ』が必要なんだからな」
 兄の呟きは答えというよりも自分に言い聞かせているようだった。竜の姿を前に、恐怖を拭いきれないのだろう。その気持ちは、カインにもよくわかった。自分もまた、逃げ出したい気持ちをこらえるのに精一杯だったから。

 それでも、やるしかないのだ。
 不治の病に侵された妹を救うためには。

 きっかけは、通りすがりの占い師。妹を救う術がないと医者に聞かされ、絶望していた時に教えられた神の秘薬の伝説。それを作り出すために、竜の『ひげ』は欠かせぬものなのだ。
 絶望的な悲しみから、自らが『盲目的』にそれを信じこもうとしていることを、カインは正しく理解していた。伝説の竜を相手にして、生きては帰れぬであろうことも。

 それでも、やるしかない。

 備えはした。兄アベルが握っているのは、オリハルコンを打ち鍛えた竜殺しの剣。例え城の城壁だとて、一刀の元に斬り裂く魔剣だ。一撃、竜の油断をついて叩きこめば、それで全てが終わらせられる。

 カインにはわかっていた。それが、『角砂糖』の城のように甘い考えであることも。なんと儚く下らない妄想だろう。神にすら例えられる伝説の竜に、そんな戯れにも似た策が通じるはずもない。

 だが、それでも。

「……カイン」
「ああ」
 アベルの言葉に、カインは足の震えを止めた。唯一の手段を持つ兄を、先に行かせるわけにはいかない。
 例え伝説の竜だとて、獲物を食(は)む束の間ぐらい、僅かな隙を生むだろうから……。
「いくぞっ」
「おう」
 決死の覚悟を秘めたまま、兄弟は炎の竜へと近づいていった。


モモと
カインとアベルの話をもとにしたんでしょうか?
早速出た竜の話。やっぱり悪役なんですねー。
これで竜が世界を護っていたもとい何か大切なものを護っていたという話になったら、展開が広がりそう。05/06 10:29

野良(--)
二人の名前は兄弟ってところからなんとなくもってきた。カインの方が兄じゃなかったかな、本当は。05/06 18:51

ミカヅキX
モモとさんの案、いいですね。二人の前に、竜護の一族とか出てきて・・・。しかも占い師こそが黒魔術の一派で、兄弟はその策略に乗せられていたとか。
05/07 00:59

野良(--)
なるほど。話の切欠としても使えるんだ。確かに進め方次第では色々と広げられそうだな。05/07 20:53

水上 える
えー占い師悪者?(@_@ まあそれもありかー。
ドラゴン的には王道的な感じですね。なんか剣が強いのか弱いのかよくわかんないんだけど。。05/10 02:37
最終更新:2009年10月23日 02:40
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