2008.05.09 01:23
水上 える
すでに100年は生きているのではないかと思われる、深く刻まれた顔のしわ。
落ち窪んだ目はしかし猛禽類の鳥に似た鋭さを放っている。
真っ白な長い髪と、長いまゆげに、長いひげ。
濃紺の三角帽に、同じ色のローブ。月と星の模様が銀の糸で細かく施されている。
俺の目の前にいるその人は、町でその絵を見せて職業を問えば全員が「魔法使いだ」と答えるであろう、
魔法使い然とした魔法使いは、ただ黙ってこちらを見ていた。
「では、弟子にしていただくことは可能なのですね?」
俺は静かに質問を繰り返した。答えを返してきたのは、横に立つ召使の女の方だったが。
「ええ。しかしご主人様は貴方に知識を与えることしかいたしません。それでよろしければ」
それこそが俺の師にもっともふさわしい、と俺は思った。
巷ではさまざまな魔法が氾濫していたが、そのほとんどが人間の欲望を満たすことに乱用されていた。
金を練成する、肉体的な力を増幅させる、他人を操り目をくらます、異性を自分のとりことする……
しかし、俺がしたいのはそんなことではないのだ。
「珍しいお方ですね。ご主人様はもうここ数十年、魔法を使っておりません。
実用的な魔法を習得したいのなら、他にいくらでもよい魔法使いがいますわ」
「はい。知っています。彼がただおこなってきたのは、盲目的に知識を追求すること」
「まるで植物のようだと揶揄されておりますわ。それだけが生き甲斐だなんて」
「それで、いいんです。いいえ、魔法使いは、本来そうあるべきなんです」
そうして俺は、孤高の魔法使いレンドルミンの弟子となった。
一日目。物質の形の基礎を習う。
レンドルミンはあまり感情を表に見せず、淡々と必要なことだけを俺に言った。
俺はこまめにノートをとり、それを吸収した。
なんなく、初歩の初歩である、砂糖を角砂糖にする魔法を自力でなした。
レンドルミンは特にほめてくれるわけでもなく、頷いてお茶をすすっていた。
この日々がずっと続いていけばいい。
そうすれば俺はきっと目標に到達できる。
ただ俺は――世界の果てが見たい。それだけなのだ。
野良(--)
なかなか面白そうだわ。盲目的な知識の吸収、というのがいいやね。
角砂糖の件は無理からな気がしてしまうが、砂糖を角砂糖に、というのはいいな。魔法の規模として小さくて。05/09 20:06
ミカヅキX
>砂糖を角砂糖にする魔法
うう。ネタが被ってしまいました。
しかも失敗するところまで。
でも、そんなのカンケーねぇ。(と密かに自作の予告w。
05/09 21:00
水上 える
ふはははネタは早い者勝ちもじゃ!
…おっと、もじゃ神様が出てきてしまいました。これは失礼。
かぶってもおもしろければいいと思います。どんどん出しちゃってください。
にしてもやっぱこれは続きを書かないと角砂糖フラグがどうも立たないですね。。。うーむ。。。05/10 02:42
最終更新:2009年10月23日 02:46