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野良投稿『突撃!村長さんチの晩ゴハン』

2008.05.13 00:35

野良(--)


 西の山並みに日が落ちていく。
 星の瞬きが空を飾り、鳥も鳴き声を消していった。
 いつまでも変わらない平和で長閑な光景が、今日もまた流れていく。
 日々の労働をつつがなく終えたモジャの村は、平和な夕餉の時を迎えていた。
 家々は煮炊きの煙を細く棚引かせ、食欲を誘う匂いを漂わせている。
 村の長であるブローン家も同じように、いつもの団欒を迎えていた。
 そう、いつもと同じ団欒を。
「だからっ、親父は考え方が古すぎるんだっ」
「ふん、若造が知ったような口を聞くな。新しければ全てよいとでも思っているのか。浅はかな」
「全てなんて言ってないっ。親父は一つだって認めようとしないだろうっ。『盲目的』に古いものを守ってるだけじゃないかっ」
「村に必要なものはすでに揃っている。不要なものは不要だと言っているだけだ。楽をしたい、豊かにしたいと、まったく、若い連中は堕落することばかりを考えおる」
 息子であるゴードンの言葉を、ガストンは歯牙にもかけずに受け流している。
 長い『ひげ』を梳き終えると、続いて頭を磨きだした。
 剃刀を当てられ滑らかになった頭皮が端を持たれた手拭いの往復に短く小気味よい音を立て、ガストンの顔に満足げな笑みを広げていた。
 その音をかき消そうとでも言わんばかりに、ゴードンはますます声を荒くする。
「ちゃんと話を聞けよっ。ムーシュの言い分は村のみんなが望んでることだろっ」
「砂糖を作れというやつか? ふん、甘味なら森で採れる蜂蜜で十分だろう。わざわざ土地に根付くかもわからん作物に割く労力はないわ」
「甘味の質が違うんだよ。親父だってフラッタから買った『角砂糖』、美味そうに食ってたじゃないか」
「あ、アレはアレだ。貴重なものは貴重だからこそ価値がある。それを得るための努力や期待。そういうものが労働の糧になるのだ。『角砂糖』なら買えばいい。村でわざわざ作る必要はない」
「こんの、わからず屋のクソ親父! 頭の磨きすぎで中身までツルツルになってんじゃないのかっ?」
「なんだと、このバカ息子! 楽しむことばかり求めおって! いや、そんなことより、ワシの頭をコケにするとはなにごとだっ!」
「ぐおっ? や、やりやがったな!」
「おお、やってやったわい! のがっ? き、貴様、親を殴るとは!」
「うるさい、少し頭を柔らかくしてやるっ」
「はん、できるもんならやってみぃ!」
 そして口での話し合いはいつものように、拳による語り合いへと移っていった。


 調理場でもまた、いつもと同じ会話が交わされている。
「お母さん。お父さんとお爺ちゃん、またやってるよ」
「もう、しょうがないわねぇ」
「しょーがないわねー」
「お継母さん、お願いできますか?」
「はいはい。イコラ、少し鍋を見ていておくれ」
「うん」
「あー、ニコも、ニコもみるー」
 ハージェは姉妹のやりとりに笑みを浮かべてから、騒いでいる食卓の間へと静かに向かっていった。
 変わらず響いてくる殴打の音に、鍋の中身を掻き混ぜながら、イコラは小さく息を吐く。
「まったく、お父さんもお爺ちゃんも、ちっとも成長しないんだから。あれで本当に村長なんて務まってるの?」
「あれはあれでいいのよ。元気があるからケンカもできるの」
「そういうもの?」
「そういうものだよ」
「あ、お婆ちゃん。早かったね」
「ああ。婆ちゃんは慣れてるからね」
 短い会話を交わしている間に、ハージェは調理場に戻ってきていた。響いていた殴打の音も、今は一つも聞こえてこない。

「さっすがお婆ちゃん」
「さっすがあ」
「ほほ。そのうちイコラにも教えてやるよ。この、首の後ろに手刀を当てる角度がコツさ。振り下ろすときは勢いよく、躊躇せずに一撃でね」
「こう? うーん、ちょっと違うなぁ」
「ニコもー、ニコもやるー」
「ああ、そうだね。ニコラにも教えてやろうねぇ」
「さ、ゴハンできたわよ。お鍋を持っていって」
「「はーい」」
 二人の男が静かな内に、夕食の準備はテキパキと進められていく。
 こうして、ブローン家はいつも通りの食事の時を迎えるのだった。

~~~~~~~~~~

 勢いのまま三題ネタで村の話を一本書いてみた。
 まぁこんな風に日常的なやりとりを考えていきたいなと。
 可能な限り今後の三題ネタも絡めていこうと思う。
 あ、あと、村長家の人々は俺が埋めたいので予約させてもらいます。
 みなさんも、「これは自分が埋めたい!」という奴があれば本記事のコメントにでも予約と書きこんでください。


水上 える
村モノキター
でも砂糖と蜂蜜だったら蜂蜜の方が質がいい気がする。。いや、どっちだろう。。
ニコがかわいいです。05/14 01:46

野良(--)
砂糖は精製の手間がある分、蜂蜜より割高になるはずなんだ。
今と違って大量生産してたわけじゃないし、特定の植物からしかとれないし。
蜂蜜は量こそ少ないが、山に蜂がいればとれないわけじゃないからな。05/14 21:13
最終更新:2009年10月23日 03:13
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