ミカヅキ『盲目的』『ひげ』『角砂糖』

2008.05.16 23:12

ミカヅキX

 角砂糖は悩んでいた。
 私はこのままでいいのかしら?
 四角四面で、その実甘く、純白のきりっとした角は案外崩れやすい。
 こんなに矛盾だらけの私だから、最近は敬遠されるのかしら?

 ひげは懊悩していた。
 男性原理の象徴で、権威の象徴で、さらに言えば紳士のたしなみだったのに。
 今や手抜きの無精ひげのほうが好まれているこの現実。
 いくら身支度を整えてみたところで、物笑いの種にしかならないのだろうか。

 盲目的は沈思黙考した。
 自分なぞ、所詮口語体にはなれない身分。
 好事家の蔵書の中でひっそりと陽の目を見るのを待つばかり。
 いわんや会話として発声されうるなど夢のまた夢。
 あな口惜しや。

 そんな三者三様が出会い、物語が生まれた。

 角砂糖は、ひげの、艶やかな黒さと懊悩する様にセクシャルな興奮を覚え、慌ててティーカップに飛び込んだ。
 ひげは、盲目的の抱える哲学的な命題に感心し、自らを剃り落として仏門に入信した。
 盲目的は、角砂糖の抱える矛盾に翻弄され、もはや自分では妄信的との差異が不明瞭になってしまった。

 だから、誰もここに書かれた二十数話の物語を見ることは叶わなかった。
 それでも、ここに物語は生まれ、記録され、読み継がれていく。
 角砂糖入りの甘いミルクティーを片手に。
 のびはじめたあごひげの手触りを確かめながら。
 ただ盲目的にキーボードを叩いて。

 そんな三者三様の在り方に感謝して。





ミカヅキX
個人的な「最終話」です。たくさん書いて、面白かったです。惜しむらくは、トーマ物語がレスになっていなかったことですね。まあ試験版なんで、いいか。推敲したら、収まりよく編集しなおそう。05/16 23:24

野良(--)
おつかれさまでした。
いやぁ、今回は豊作だったなぁ。
この調子で次の回もいけるかな。05/16 23:58

水上 える
ひげにセクシャルな興奮。きっとここがミカヅキさんの本音に違いない。
いい終わり方しましたね( ̄∀ ̄05/17 23:56
最終更新:2009年10月23日 04:11
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