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ラファル=ベゼリゼの受難・5

2005.12.04 22:32

野良(--)

 気がつき、最初に見えたのは、空に輝く星の光。二度、三度と瞬きを繰り返すうち、ラファルはようやく状況を思い出した。がばっ、と上体を起こした場所は、古びた馬車の荷台の上。まだ少し重い頭を周囲に巡らせて見れば、岩の転がる荒れた土地。下の地面に道は無く、轍(わだち)も車輪の跡ばかり。馬車の後ろを登っていく、緩やかな坂のその上に、アクティオへと至る外門がかろうじて目に入った。
 反対の側に、佇(たたず)む三人の人影も。
「おや~、ラフィ~。おめざめ~」
 その随分と先、広大な森の入り口に、灰色の影がある。星の光を反射した双眸と、獣の顔に浮かべた笑みが、なぜかはっきりと見てとれた。
 灰色の大猫はゆっくりと後ろを向き、緑の影へと埋もれて消える。
 それがなにを意味するかよようやく理解し、ラファルはよろりと力を失った。
「な、な、なんてことしてるの、貴方たち。ナツメ、貴女まで……」
 案じるような言葉にも、当人達は無頓着だ。ぱたぱたと手を振りながら、暢気(のんき)な会話を続けていた。
「ま~ま~、もうやっちゃったことだし~」
「そうそう。黙ってればバレないって」
「黙っていられるワケないでしょう! こんなこと……」
「そんなこと言ってもねえ。証拠もなにもないじゃない? 証人もいないし」
 いつも通りな、それより気軽な、からかう様なそれぞれの言葉に、ラファルは悲鳴のような声をあげる。
「私がいるでしょう!」
 それですら彼らの心には届かなかったようだ。マッチはどこか溜飲を下げるが如く、いたずらめいた笑みすら浮かべている。
「夢でもみてたんじゃないのー?」
「いいねえ。一夜の夢だったんだな。ああ、なんかランフリー信者(フリー)っぽくていいなあ」
 考えなしな幼馴染(おさななじみ)の返答に、ラファルは今度こそ完全に脱力した。
「貴方、たち……」
「ま~ま~。そんなに寂しがらないで~。マヨサラダ、食べる~?」
 馬車に乗り込むナツメの言葉にも反論の気力すらなく、差し出された野菜スティックを大人しく咥えるほどに。
 慰(なぐさ)めるように、ライが肩に手を置いた。
「諦めろよ、ラフィ。俺たちはもう立派な共犯者だ」
「わ、私は巻きこまれただけじゃない」
「さて、わたし達も帰ろうか。門限にひっかかっちゃうと面倒だし」
「聞きなさいよーっ」

 騒ぐことに懸命な一行は、最後まで気づかなかった。
 夜空に響いたラファルの悲鳴を大人しく聞いていたのは、森の梢だけではなかったことに。
 大きな岩の後ろから、人の影が立ち上がった。遠く、昇っていく馬車を見送るため。
 そして、ゆっくりと歩き出した。消えた馬車を追うように。



しぐれもん
久々に来てみたら、ラファル・シリーズが2章分も増えてて、ラッキー♪12/09 19:01

野良(--)
閲覧数が少ないからよぅ。
読まれてるんだか不安になるわけだ。
完成はしてるから一気にだせるんだが、
いきなり長文ならべても読む気なくすだろうし。
なんか反応があったら次をだしていきます。12/10 09:14

しぐれもん
毎回反応出しますよ~。12/17 20:45
最終更新:2010年03月17日 03:45
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