肥料袋の見方(N-P-K)*

肥料袋の見方 ※作成中
植物の最も重要な養分が3種類あり、窒素(N)、りん酸(P)、加里(K)です。
一般的に、農協や資材屋、ホームセンターなどで肥料袋を見ると、主にこの3種類の成分が記載されています。


上の写真の場合、「14-14-14」と言うのがそれぞれ、N(窒素)、P(りん酸)、K(加里)の値を表し、各14%ずつ入っています。

その他にも、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)などが重要な要素となります。
なお、肥料や土壌分析の場合は、カルシウム(Ca)は石灰、マグネシウム(Mg)は苦土と呼ばれますが、同じものです。

稲体を構成する無機成分には、窒素・リン酸・カリのほか、ケイ酸・石灰・苦土・硫黄があり、その他に鉄・マンガン等がわずかに含まれています。


 ◆窒素
  窒素は、水稲の養分として最も重要で、生育や収量に大きな影響を与える。葉緑素の主成分であり、葉面積を大きくするとともに、光合成能力を増大させて、炭水化物の生成を多くする。しかし、過剰に施用すると過繁茂となり、受光態勢を劣化させるとともに、病害虫や風水害等に対しても弱くなり、かえって乾物生産を低下させるので注意する。
  近年、米の食味が重要視されるようになり、玄米中のタンパク質含量の低減が求められている。窒素の施用はタンパク質含量に影響を及ぼすため、最近では実肥の施用は回避されている。
◆窒素(N)の働き
植物の細胞の原形質の主な成分であるタンパク質などを構成する成分で次のような
生理作用があります。主な働きは、
     ・細胞の分裂・増殖に必要です。
     ・根、葉、茎の発育、繁茂を促します。
     ・養分の吸収、同化作用を盛んにします。
     ・主に元肥・追肥として使います。

 

◆リン酸
   細胞核の成分に多く含まれ、細胞の分裂増殖に重要な役割をもち、生育の盛んな分げつ期に多く必要とされる。
  デンプンやセルロースの合成にもなくてはならないものである。リン酸が不足すると、草丈が短かく、葉が細く、茎数が少なくなり、出穂成熟期が遅れ、吸収作用や光合成を低下させる。
◆りん酸(P)の働き
植物中の核酸、酵素の構成成分です。主な働きは、
     ・作物の生長を早めます。
     ・根の発育を促し、発芽力を盛んにします。
     ・分けつの数や根、茎、葉の数を増やします。
     ・子実の収量を高め、品質を良くします。
     ・植物体を丈夫にし結実が良くなります。
     ・燐酸は土壌中で流亡しないので主に元肥で与えます

 

◆カリ
   タンパク質の合成に必要で、窒素が多いほど必要量も多くなる。水稲の一生のうちで窒素含量が最も高い最高分げつ期と幼穂形成初期に、カリ欠乏がおきやすい。
  カリが欠乏すると、下葉に含まれるカリが上葉に転送されるので、下葉に赤褐色の斑点が発生したり、根の活力が衰えるため、中間追肥や穂肥等にカリを含んだ肥料を施用する。
 

◆加里(K)の働き
植物中のデンプン、タンパク質の生成、移動、蓄積に役立ちます。主な働きは、
     ・水分の蒸散作用を調節します。
     ・根の発育を早めます。
     ・開花、結実を促進します。
     ・日照の不足を補います。
     ・炭酸同化生成物の転化・転流を助けます。いも類・根菜類に多く必要です。
     ・加里が過剰だと苦土欠乏を引き起こすため、施設栽培や多量のきゅう肥の施用
     には注意が必要です。

 

◆石灰
   ペクチンと結合して、細胞壁の中葉を構成する重要な役割をもつほか、細胞分裂、増殖を正常に行うためにも必要とされる。
  石灰は生育の初期から後期まで吸収され、いったん体内にはいると再移動しにくく、古い器官ほど含有量が多い。
 

◆石灰(Ca)の働き
主な働きは、
     ・植物の細胞膜を作り、また、これを強化します。
     ・有機酸などの有害物質と結びついて、これを無害化します。
     ・葉緑素の生成、炭水化物の移動に必要です。
     ・根の発育を促進するなどすることにより病害に対する抵抗力を強くします。
     ・植物に硝酸態の窒素を良く吸わせ、また、加里、苦土の吸収を調整します。

 

◆ケイ酸
   根から吸われたケイ酸は、葉に転流されて表皮細胞に蓄積され、茎葉中に10~20%含まれている。葉の表面はケイ質化して硬くなり、いもち病菌やごま葉枯病菌の侵入を防ぐ役目をし、倒伏にも強くなる。
  ケイ酸は、作土やかんがい水から多く供給されるが、生育が盛んな場合、稲体の吸収量も多くなるので補給が必要となる。 玄米を100kg生産するのに必要なケイ酸は約20kgといわれており、10a当たり500kgの収量を上げるには、10a当たり100kgのケイ酸が必要になる。本県では二毛作地域も多いことから、ケイ酸質肥料の施用は特に重要である。
 

◆苦土
   葉緑素の構成成分である。欠乏すると、葉が黄化し、タンパク合成とケイ酸の吸収が少なくなって、ごま葉枯病やいもち病にかかりやすくなる。
  苦土の吸収は、カリによって抑制される。
◆苦土(Mg)の生理作用
主な働きは、
     ・葉緑素を構成する元素です。
     ・植物の新陳代謝を盛んにします。
     ・蛋白質、脂肪の合成に必要な元素です。
     ・植物の体内のりん酸の移動を助けます。

 

最終更新:2021年08月27日 18:08
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