「――Zan stimyni ipy EiE Xans Tlyi MinY lmYni mlll ni」 屋敷の窓から月を見て、敬虔に祈りを捧げる少女がいた。 霧の森特有の言語で紡がれた祈り文句は、大抵の種族には理解ができないものの、その言葉がひとつひとつ丁寧に紡がれていることがわかる。 少女は祈っていた。ひたすらに。ひたすらに。ひたすらに。まるで、そうしなければいけない理由でもあるかのように。 喪われた絆。伸ばした手。植え付けられた恐怖。過ぎた献身。頭から離れることのない、男の言葉。 彼女の凍りついた心を動かしたものは、 「Was yea ra chs hymmnos mea――」 ――そして少女は、旅に出ることを決意した。
冒険者との新たな出会いは、少女の心を動かすことができるのだろうか――