アラもう聞いた?誰から聞いた?
通り魔殺人鬼のそのウワサ。
彼女のお手手はとてもキレイ。
性格ブスでもとてもキレイ。
そんな女の子がヒトリで歩いていたらさあ大変!
恐ろしい殺人鬼が綺麗なお手手を残して粉々にしてお持ち帰り。
見滝原の住人の間ではもっぱらのウワサ!!
ヤダブキミ!
犯人は『■■■■』、33歳独身。
仕事はまじめでそつなくこなすが今ひとつ情熱のない男......
なんかエリートっぽい気品ただよう顔と物腰をしているため女子社員にはもてるが、会社からは配達とか使いっ走りばかりさせられているんだぜ 。
悪いやつじゃあないんだが これといって特徴のない......影のうすい男さ
☆
なんど彼女の姿に釘着けになっただろう。
雑誌で見るその度に僕の想いははちきれんばかりになった。
「ふっ、ふっ」
動悸が高鳴る。
目測、およそ10m。その先には憧れのあの人がいる。
(お茶に誘うだけだ...誘って、少し仲良くなりたいだけなんだ...)
緊張で手が震えてしまう。
けれど、この一歩が踏み出せなければ、二度とこんな機会はこない。
(行け...行くんだ!)
呼吸は乱れ、頭は真っ白のまま一歩を踏み出そうとしたその時だ。
「やめとけ!やめとけ!」
背後から割って入る声がひとつ。
振り返れば、そこにはにやけ顔が特徴のサラリーマンが立っていた。
「あいつは付き合いが悪いんだ。仲間になろうぜって誘われても嬉しいんだか嬉しくないんだか...
『七海やちよ』、19歳大学生。20歳前にして未だに魔法少女を務めているが、今ひとつ少女感のない女...
なんかエリートっぽい気品ただよう顔とモデルをしているため、色んな方面からモテるが、最近は自宅に住所不定の女の子を大量に連れ込む趣味が発覚してるんだぜ。
悪いやつじゃあないんだが、必殺技の名前も叫べない...魔法少女感の薄い女さ」
突然の解説に思わず疑問符を浮かべてしまう。
この男はなんなのか。なぜ彼女についてそこまで詳しく知っているのか。
というか、魔法少女ってなんだ。
そう、問いかけようとしたその矢先、首筋に走った衝撃に―――僕の意識は途絶えた。
☆
「どうやらウワサの犯人ではなかったようね」
七海やちよはそうひとりごちる。
通り魔殺人鬼のウワサ。
そのウワサを確かめるべく、やちよは己を囮に調査していた。
聞けば、一人でいる女の子が狙われやすいとのことで、それならば...と思い、わざわざ人通りの少ない道を選んできたのだが...
(この男がそうは思えない。なら、他のマスター?)
その割には英霊の姿が見えないが。
(...もしかして、NPCかしら。なら、このまま放置しておけば)
「やめとけ!やめとけ!」
いいかもしれない、と続きかけた思考は男の声に遮られる。
「あいつはいつも雑誌の切り抜きで興奮してる危ない奴なんだ。懐には刃物を忍ばせてるんだか忍ばせてないんだか...
『ストーカー男』、35歳独身。情熱はあるがいまひとつ倫理に欠ける男...
ストーカーという語源は獲物に忍び寄る者という意味だったのが、いつしか執着心の強い者を指すことになったんだぜ。
悪い奴じゃあないんだが、思い込みの激しい...危険極まりない男さ」
サーヴァントの解説を受けたやちよは、ふむ、と顎に手をやり思考する。
どうやらこの男はNPCではあるが、同時に危険な男らしい。
無論、魔法少女である自分が負けるはずはないのだが、万が一戦いの邪魔でもされたらたまったものではない。
「...そうね。ひとまず警察に通報しておくべきかしら」
携帯で警察の番号を押す傍らで、やちよは思考を巡らせる。
聖杯戦争。
記憶を呼び起こされる傍らで大まかな概要を把握することができた。
...が、果たしてこれが本当に『聖杯戦争』なのか。それとも『ウワサ』によって象られたものなのか。
それを確かめる為のウワサ狩りだ。このままウワサを狩りつづけ、元の世界に戻れればそれでよし。
もしも戻れず、これが真に聖杯戦争なのだとしたら...
何れにせよ、自分はみかづき荘へと戻らなければならない。
いろはが待ち、連れて行かれてしまった三人の帰るあの場所へと。
そのためならば、自分は...
(...いいえ、まだ尚早ね。わたしは魔法少女だもの。一般人を見捨てて脱出なんて、リーダーは許さないでしょうね)
もしもそんなことをすれば、
環いろはは、きっと間に合わなかった自分自身を責めてしまうだろう。
それは御免こうむりたい。彼女には、あの眩しいほどの笑顔が似合っている。
そんな新たな『リーダー』に責を負わせるのはごめんだ。
(幸い、私のサーヴァントは戦闘タイプではなく、相手を分析する補佐タイプ。なら、相手の弱点を知り無力化することも可能ね)
戦闘慣れしていない一般人にとっては役に立たないハズレのサーヴァントだが、やちよにとってはまだマシなタイプであったのは幸いか。
実際、彼の解説のおかげで多くのウワサを集めることができ、この短期間でウワサファイルは従来のものの半分ほどの量が集まったのは喜ばしいことだ。
ただ、アサシンが探しているという男...即ち通り魔殺人鬼のウワサの犯人の名前が、何故かノイズが走り聞き取れないことには一抹の不安を覚えてしまうが。
(待っていて、いろは。私は必ずあなたのもとに戻るから。私の願いなんかじゃ大切な人たちを殺せないってことを、必ず証明してもらうから)
やちよは携帯を鞄にしまい、警察が来るのを待つ。
その傍らで。アサシンは、やちよの意識外で彼女の手を見つめ、ニヤリと口角を上げた。
果たしてそれは彼女に見とれているのか、それとも彼の求める者への供物として見ているのか。
その真相を知るのはアサシンただ一人のみである。
【クラス】アサシン
【真名】吉良の同僚
【出典作品】ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない
【ステータス】筋力:E 魔力:E 耐久:E 幸運:A 敏捷:C 宝具:EX
【属性】
中立・中庸
【クラススキル】
気配遮断:A+
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
【保有スキル】
探知:C(EX)
人間・英霊の気配を探知することができる。
とある男に対してだけは半径30mの範囲ならどこにいても捕捉できる。
【宝具】
『解説』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
サーヴァント、マスター、・NPC問わず、自分のマスターが知らない者について解説してくれる。
基本的には視界に入る者が対象だが、とある男については居場所をなんとなく察知しており、彼を見つけた際には能力や性格に留まらず、日頃からの癖や隠している趣味まで聞いてもないのに必要以上に情報を語ってくれる。
この宝具からは誰も逃げることが出来ず、必ず赤裸々にされてしまう。
ただし、一人の解説が終わるまで次の解説には移れない。また、解説は一度始まると中断できなくなる。
『業務委託』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
このサーヴァントは戦う力を持たないため、己の宝具以外のステータスを自マスターに上乗せさせることが出来る。
簡単に書くと
【マスター:七海やちよ】
【ステータス】筋力:C 魔力:B 耐久:C 幸運:E 敏捷:B
これが
【ステータス】筋力:C+E 魔力:B+E 耐久:C+E 幸運:E+A 敏捷:B+C
といった具合である。
また、その際にはアサシンは一般人となんら遜色のない程度の存在と成り下がってしまう。
【weapon】
なし。このサーヴァントは戦う力を持たない。
【人物背景】
やめとけ!やめとけ!俺は特に語る背景のないモブなんだ。
吉良の同僚、年齢は不詳、恐らく独身。仕事は今ひとつだが女の子へのアプローチは欠かさない男...
なんか妙に吉良に詳しい解説とその佇まいからネタにされやすいが、荒木先生としては単に
吉良吉影の客観的な説明役が欲しかっただけなんだろうぜ。
悪いやつじゃあないんだが これといって特徴のない......影のうすい男さ
【方針】
●●●●を探し出す。
【聖杯にかける願い】
悪いが、人のプライバシーを詮索するもんじゃあないな。
【マスター名】七海やちよ
【出典作品】マギアレコード
【性別】女
【weapon】
彼女の魔法。
【人物背景】
アプリ「マギアレコード」の登場人物。プレイアブルキャラ。主人公の
環いろはの相棒或いはもう一人の主人公枠ともいえる。
属性は水で、複数の敵を攻撃できるブラストタイプ。
7年もの間、魔法少女として活動を続けており、魔法少女の中でも年長の部類。
年下に対して保護欲が強く、年下の魔法少女に対しては好意的だが少し過保護な態度が目立つ。
そのためにお節介が過ぎる場面や時に厳しく当たる場面もあるが、基本的には頼りにされている。
観察眼が鋭く、冷静で頭の回転も速いことから調べ事や推理が得意であり、しばしば知り合いからは探偵のようだと評されている。
大学生とは別に「雑誌のモデル」を兼業しており、大学生と魔法少女の二重生活どころか、学生・モデル・魔法少女と三重生活を行っている。
昔は魔法少女同士でチームを組んで戦っていたが、ある事件をきっかけに他の魔法少女とは距離を置き、チームに属さず活動するようになった。
環いろはと関わるようになってからは態度も幾分か軟化。
最近はいろはとフェリシア、さなの三人を自宅の『みかづき荘』に住まわせている。
【能力・技能】
- 魔法少女として培ってきた戦闘技術。7年間の経験は伊達じゃない。
【方針】
聖杯戦争からの脱出。ひとまずはウワサを潰していくことが中心。
【聖杯にかける願い】
脱出を第一としているため、今は無し。ただし、もしも聖杯を手に入れることができたら...?
最終更新:2018年05月11日 00:45