この見滝原にも、素行の悪い青少年は存在する。
その日、5人の不良少年が人気の無い郊外でたむろしていた。
常識的な人間なら、殺人鬼が猛威を振るっている現状で必要もなく人の少ない場所に行こうなどとは考えない。
だが、彼らは常識に当てはまらない。自分たちは大丈夫だと、根拠もなく思い込んでいるからだ。
結果として、その過信ゆえに彼らの人生はここで終焉を迎えることになる。


におう……におうぞ……
命のにおいだ……


翌朝、彼らが残したと思われるゴミと、おびただしい血痕だけがその場で発見された。


◆ ◆ ◆


街の中心でも外れでもない微妙な立地に、探偵事務所がある。
事務所の主は、いちおう勤務中だというのにデスクでくつろいだ様子を見せていた。
彼こそが、自らのサーヴァントに不良を襲わせた聖杯戦争の参加者である。
名は、仙水忍。
いや、この言い方は正しくない。
「今の」彼は、忍の中に宿る別人格のひとつ、ミノルである。

(昨日のテストは、とりあえず上々といったところか……)

昨夜のことを思い返しながら、仙水はコーヒーを口に運ぶ。

彼が召喚したサーヴァントは強力ではあったが、いくつか不安点があった。
異形かつ巨体であるため、社会に溶け込んでの行動はできないこと。
バーサーカーのクラスで召喚されているがゆえに、知性に欠けること。
そして、本来は海で活動する存在であること。

陸上でどの程度戦えるかの確認。
それが昨夜の行動の理由だった。

(まあ、実際に他のサーヴァントと戦ってみないことには、気休めにしかならないが……。
 まだ自重すべき時期のようだからな)

聖杯戦争は、彼にとって未知の戦いだ。慎重になるに越したことはない。
ゆえに仙水は、本戦が始まるまで「蛮行」は今回限りにすると決めていた。

(本戦が始まったら、君には存分に暴れてもらおう。
 期待しているよ、バーサーカー)

最高峰の霊能力者である仙水には、霊体化しているサーヴァントの姿も視認できていた。
事務所内の空きスペースをほぼ占拠する、巨大な青い龍の姿が。
覇海軍王ジャコラ。魔王のしもべとして、海を恐怖で支配した魔獣である。


◆ ◆ ◆


不可抗力とはいえ、樹には悪いことをした。
これから計画を実行に移そうというところで、別の世界に連れて来られてしまうとはな。
まあ、実行途中で連れて来られるよりはマシか。
今は強力な結界が張られているから無理だろうが、この聖杯戦争という催しが終われば彼も自分を見つけられるだろう。
自分が勝者として生き残っていても、敗者として死んでいても。
むろん、後者は避けたいところだが。
聖杯とやらの力を使えば、自分の真の願いも叶うかもしれない。
何にせよ、やるべきことはたいして変わらない。
舞台と道のりが変わっただけのことだ。


俺たち7人で墓を掘る。
人類全ての墓を掘る。


【クラス】バーサーカー
【真名】覇海軍王ジャコラ
【出典】ドラゴンクエストXI
【性別】雄
【属性】混沌・悪

【パラメーター】筋力:B 耐久:B+ 敏捷:E 魔力:B 幸運:E 宝具:B

【クラススキル】
狂化:C
理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。
身体能力を強化するが、理性や技術・思考能力・言語機能を失う。また、現界のための魔力を大量に消費するようになる。
ジャコラの場合はかろうじて言語機能は残っているが、独り言を漏らすのみで会話は成立しない。

【保有スキル】
海の暴君:B
海において暴虐の限りを尽くした逸話から生まれたスキル。
水中または水上で戦闘を行うとき、敵対者にプレッシャーを与え精神状態を悪化しやすくする。

生命探知:A
生物の存在を探知するスキル。
いかに気配を消そうとも、生命力そのものをかぎ分ける魔獣の嗅覚はごまかせない。
ただしサーヴァントは生物ではないため、探知不可能。


【宝具】
『邪悪に堕ちし紅の宝玉(レッドオーブ)』
ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:― 最大捕捉:1人(自身)

強い神秘を秘めた六つの宝玉、「オーブ」のうちの一つ。
常時バーサーカーの肉体を覆うように赤いバリアを張っており、後述する弱点属性以外の攻撃を全て無効にする。
勇者の雷によって無効化された逸話から、「勇者の力」「聖属性」「雷属性」のうちいずれかの条件を満たした攻撃を受けると機能しなくなる。
一度無効化されると、その聖杯戦争中は機能回復は不可能である。

なおもう一つの効果として使用者が敵に与えるダメージを増加させる「クリムゾン・ミスト」という霧を発生させる力もあるが、
こちらには真名解放が必要であるためバーサーカーとして召喚された今回は使用不能である。

【weapon】
特になし

【人物背景】
魔王ウルノーガの配下、「六軍王」の一角。海の支配を任されている。
海に魔物以外の生命が存在することを許さず、人魚や船で海に出た人間たちを襲っていた。
一度は勇者一行の船を難破させるものの、再戦時には勇者の力によりバリアを破られ敗北した。

【サーヴァントとしての願い】
今一度、ウルノーガの支配する世界を作り出す

【基本戦術、方針、運用法】
高い攻撃力と防御力を誇るが、巨体ゆえの鈍重さ、隠密性の低さなど弱点も多い。
宝具も一度攻略されると二度と使えなくなるため、過信は禁物である。


【マスター】仙水忍(および彼の別人格6人)
【出典】幽遊白書
【性別】男

【マスターとしての願い】
妖怪への転生

【weapon】
「気硬銃」
義手となっている右手に仕込まれた、霊力をビーム状にして撃ち出す銃。
カズヤの人格が出ているときのみ使用可能。

【能力・技能】
「聖光気」
伝説の存在とされていた、究極の聖なる気。
忍の人格のみ使用することができる。
戦闘時には鎧として具現化し、彼の体を包む。
形状を変化させることで、攻撃特化のスタイルを取ることも可能。

「霊光烈蹴拳」
蹴り技を主体とした「烈蹴拳」という拳法に、霊力をミックスした仙水オリジナルの戦闘スタイル。
球状にした霊力を蹴り飛ばすのが、基本の攻撃方法となる。

【人物背景】
浦飯幽助の前任の霊界探偵。
生まれつき高い霊力を持つために幼い頃から妖怪に襲われ、「妖怪は滅ぼすべき絶対悪である」という価値観を持っていた。
しかしある事件で「人間が力の弱い妖怪をいたぶって楽しむ」という惨劇を目にしてしまい、今までの価値観が崩壊。
程なくして失踪する。
10年後、人間界と魔界を繋ぐ「界境トンネル」を開けるために活動を開始。
それを阻止しようとする幽助たちと対決する。
その肉体は不治の病に冒されており、真の目的は魔界に行ってそこで死ぬことであった。

前述の事件で精神を病んだことがきっかけで、主人格以外に6人の人格を持つ多重人格者となっている。
幽助との戦いで出現したのは忍の他に理屈屋の「ミノル」と、下劣な殺人鬼の「カズヤ」。
それ以外に武器コレクションの手入れを担当する「ジョージ」、家事を担当する「マコト」、
育てている動植物の世話を担当する「ヒトシ」、泣き虫の女性人格「ナル」がいる。

参戦時期は、界境トンネル計画を実行に移す直前。

【ロール】
私立探偵

【方針】
聖杯狙い
最終更新:2018年05月11日 13:38