アラもう聞いた? 誰から聞いた?
魔法少女サイトのそのウワサ!

不幸な女の子だけが見れる魔法のサイト、そこの管理人から貰える、持てば誰でも魔法少女になれる素敵なステッキの噂!

だけどよく考えてみて? うまい話には裏がある!
ステッキの対価は寿命!使えば吐血に昏睡、まさに早死待った無し!
さらに謎のカウントダウン『テンペスト』!他のステッキを集めなきゃさぁ大変!

マジカルガール!



「戻ったぞ、マスター」

偵察に向かわせたサーヴァントの言葉に、さりなは視線を向ける。
いつの間にか側に立っていた男は、静かにマスターの反応を待っていた。

「収穫は?」

「残念ながら、無しだ。本戦はいまだに始まっていないからか、他の主従は大人しくしているらしい。
……『悪の救世主』やら『殺人鬼』やら『歩くモナ・リザ』やら、色々と妙な噂で街が賑わっている程度だな」

「はっ、使えないじゃん、あんた」

「……善処する」

 舌打ちする。無手で戻ってきた男への苛立ちを隠そうとはしない。男も非を感じているのか、無表情だ。
 さりなは自身のサーヴァントを信用していなかった。別に言うことを聞かないとかそういうことではなく、(寧ろ素直に従ってくる)
 時折自身を見る目付きに邪な感情を感じるのだ。具体的に何を考えているまではポーカーフェイスで伺えないものの、彼女は本能的にそれを察していた。
 マスターの疑心を感じ取ったのか、男は呆れたように諌め始めた。

「安心しろマスター…… サーヴァントはマスターに従う。それが聖杯戦争の"流儀"だと心得ている。」

「はっ、どうだか?口ではどうとでも言えるでしょうよ」

「……それは聞き捨てならないな。いいか、マスター。
 流儀とは、ただ漠然とした物ではない。現代に至るまで、尊敬すべき先人たちが一歩一歩積み上げてきた歴史そのものだ。
『尊敬』には『敬意』が伴い、そしてその流れは必ず吉となって俺たちに報いてくれる。だからこそ、流儀は何物にも優先されるのだ」



「マスター……お前の聖杯に託す望みは"復讐"だったな?」

「だから、何?」

「俺も、かつて義兄と呼ぶかも知れなかった男に誇りを汚された…… その屈辱は、聖杯によってあがなって貰うッ!」

 珍しく熱く語る男に目を丸くする。
 復讐。そうか、なぜこの男が自身のサーヴァントとして召喚されたのか、府に落ちた。
 この男もまた、プライドのために復讐に身を焦がす同類なのだ。
 その感情は理解できるし、共感もできる。

「……解ったよ。手を貸してもらうよ。アヴェンジャー」

 アヴェンジャー。復讐者のエクストラクラス。
 今でも信頼はできないが、男の流儀とやらにかける信念は信用はできる。
 彼女はそう判断した。
 どっちみちサーヴァントの相手はサーヴァントでしか勤まらない。聖杯を勝ち取るには、この男を利用するしかないのだ。

「二度も言わせるな。サーヴァントはマスターに従う。それが、流儀なのだ」

「はいはい」





(ようやく納得したか、小娘がッ…… 畜生、マスターでさえなければなぁ)

アヴェンジャーは悪態(勿論、口には出さないが)をつくと、霊体化した状態で己のマスターをしげしげと見据える。

"こうした気の強い性格の女を殴りながらヤレば、さぞ気持ち良いだろうな"

そんなゲスそのものの感想を抱きつつ、マスターへの裏切りは流儀に合わない、
ただそれだけの理由でアヴェンジャーは手を出すことはなかった。
年下の小娘に偵察に差し向けられるのも不快だったが、それがマスターとしての流儀だ。ならば仕方ないと己を納得させる。

(これも全てウェカピポ……あの男のせいだッ!許さんッ!奴が大人しく決闘で敗北していればこんな事には……
 聖杯を手に入れた暁には生まれたことすら公開する報復を行ってやるッ!)

 しかし、何かの切っ掛けがあれば、彼は容易く己のマスターに欲望を向けるかもしれない。
 結局のところ、彼の抱く復讐心はただの逆恨みに過ぎず、高潔な英霊などではないのだから。


【CLASS】アヴェンジャー
【真名】???(ウェカピポの妹の夫)
【マスター】雫芽さりな
【属性】秩序・悪
【ステータス】筋力D 耐久E 敏捷E 魔力D 幸運B 宝具D+

【クラススキル】

復讐者:D+
 復讐者として、人の恨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。
 周囲からの敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情は直ちにアヴェンジャーの力へと変化する。

忘却補正:D
 人は多くを忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。
 忘却の彼方より襲い来るアヴェンジャーの攻撃はクリティカル効果を強化させる。

自己回復(魔力):D
 復讐が果たされるまでその魔力は延々と湧き続ける。
 微量ながらも魔力が毎ターン回復する。

【保有スキル】

流儀の誉れ:A
 祖先から受け継がれる伝統を重んじる精神性。
 聞こえは良いが、アヴェンジャーの流儀に沿わなければマスターの指示すらも無視する可能性がある。 
 また、流儀によっては自身が不利となる行動でも行う。
 流儀の定義については、アヴェンジャーの感性に委ねられる。

真名秘匿:EX
 真名及び過去に何をしていたかと言う事の露呈を防ぐスキル。ランクEXはあらゆる宝具やスキルは当然の事、魔法を用いたとしてもその素性が割れる事はない。

加虐体質:B+
 自己の攻撃性にプラス補正がかかるスキル。
 これを持つ者は戦闘が長引けば長引くほど加虐性を増し、普段の冷静さを失ってしまう。
 攻めれば攻めるほど強くなるが、反面、防御力が低下してしまう。
 それだけに、バーサーカー一歩手前の暴走スキルと言える。
 女性に対してはワンランクアップ。

【宝具】

『鉄球(レッキングボール)』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:30 最大補足:20
 祖先から脈々と受け継がれてきた、肉体を動かさずに掌にある物体に「回転」を加える特殊技術。
 鉄球を回転させてその振動で特定の事象を引き起こす。

『決闘』
ランク:D+ 種別:対人宝具 レンジ:100 最大補足:3~8
 自身と敵対者1名、そしてその決闘を見届ける付き添い人のみの空間を作り出す。
 マスターだろうが何だろうが決着がつくまで、決闘の当事者に一切の危害を加えることはできない。部外者も同様である。
 この宝具は自身と敵対者の決闘への合意の元で発動し、展開時には己のスキルと宝具のみによる、純粋な決闘が執り行われる。



 ……はずなのだが、この宝具には裏の効果があり、敵対者が決闘に勝利、即ちアヴェンジャーを殺害した場合、
 アヴェンジャーの絶命と同時に呪いが発動、勝利者の全ステータスがワンランクダウン、幸運値がE-まで激減し、
 国外追放の逸話に倣って、マスターと引き剥がされ、聖杯戦争の舞台の何処か(マスターから最も遠い場所)に強制転移させられる。
 アヴェンジャーの消滅後もステータスダウンの効果は残り続ける。
契約の繋がりも大幅に阻害されるため、勝利者は令呪を用いなければマスターと合流する事すら難しくなる。
 逆にアヴェンジャーが勝った場合は特に何も起こらない。

 ちなみに本人はこの宝具の真の能力を認識しておらず、あくまで流儀に乗っ取った決闘を執り行う宝具と勘違いしている。

【weapon】
『鉄球(レッキングボール)』
投球による攻撃の他に、衛星による「半身失調」や「肉体の硬質化」、もしくは簡単な「治療」ができるかもしれない。

無銘の剣
アヴェンジャーの流儀に合わないため、基本使用されない。

【サーヴァントとしての願い】
ウェカピポへの復讐。

【人物背景】
 SBR13巻、ウェカピポの過去話の中に登場する男。
 本名は不明で、読者からは記事タイトルの呼び名のほか「義弟」とも呼ばれている。
 彼はネアポリス王国の裕福な財務官僚の息子で、ウェカピポとは仕事を通じての友人であった。
 将来の財産と地位が保証されていることから、ウェカピポは自分の妹を彼と結婚させた。
 しかし、義弟には暴力癖があり、その激しさは妻の左目を失明させるほどだった。ウェカピポは慌てて法王に請願し、婚姻無効の許可を取り付けた。
 だがこの行為が逆鱗に触れた義弟はウェカピポを暴行、さらに「殴りながらヤりまくるのがいい女だった」「じゃなきゃあちっとも気持ちよくねーし……つまんねぇ女だった……」と己のゲスさを強調。そしてウェカピポとの正当なる決闘を申し込む。
 決闘は祖先から伝わる流儀に則り、鉄球(レッキング・ボール)によって行われた。例の台詞を放ち決闘が始まった直後、ウェカピポの鉄球の“衛星”が義弟の頭部に直撃し絶命する。
これによりウェカピポの勝利かと思われたが……

【マスター】
雫芽さりな@魔法少女サイト

【weapon】
『ヨーヨー』
 ヨーヨーの形をした魔法のステッキ。どんなものも切り裂いてしまう斬撃能力を有する。紋章はΦ。ステッキの使用で出血する部分は耳から

【能力・技能】
魔法少女。変身はしないが、身体能力は高い。

【人物背景】
 魔法少女サイトの主人公・朝霧彩をいじめていたグループの中心人物であるクラスメイトで、魔法少女の一人。
 うじうじしてる人を見るとイライラしてしまう性悪な性格で、学校では親友の貝島えりか・川野愛と共に常日頃から彩に対してひどいいじめを行っており、学校内でも評判の悪い不良生徒・荒井翔太とも親しい関係であったが、親友共々、クラスメイトからは軽蔑され、荒井を忌み嫌う一部の生徒からにも疎まれつつあった。
 しかしその欠点さえ除けば、親友のことを大事に思う、姉御肌あふれる義理堅い少女であるとも言える。
 魔法少女サイトと出会った彩が学校の下駄箱に入っていたステッキを手にしたその日、彼女が密かに可愛がっていた子猫を殺し、荒井に彩をレイプするよう仕向けるも、子猫を踏切内に放り込んで事故死させた張本人のえりかが荒井諸とも彩のステッキの力で子猫が亡くなった同じ踏切内に瞬間移動し、そのまま電車に撥ねられ、無惨な事故死を遂げてしまう。
 その事から復讐鬼と化したが、客観的に見て逆恨みに等しいのは否めない。

【参戦時期】
アニメ5話、管理人からステッキを授かった後

【マスターとしての願い】
朝霧彩と奴村露乃への復讐
最終更新:2018年05月14日 14:15