君たちは中沢という人物を知っているだろうか?
 中沢とは、一般的な日本人の姓であるが、ここでは、魔法少女まどか☆マギカの登場人物である『中沢』少年の事を示す。
 『魔法少女まどか☆マギカ』とは、日本のアニメを嗜む人物なら一度は目にしたことのあるであろう傑作作品であり、魔法少女の悲劇とその運命に立ち向かう女の子たちの物語を描いた魔法少女アニメである。

 今日のパロロワ系のみならず、様々な二次創作が製作され、聖杯企画にも引っ張り凧なまさに名作中の名作である『魔法少女まどか☆マギカ』であるが、
本作には主要人物の他にカルト的な人気を誇るキャラクターが複数存在する。

 例えば、電車でゲスな会話を行い美樹さやかが魔女化する後押しをしたと言えなくもないホストの『ショウさん』。
 彼は短い登場シーンであるにも関わらず、屑全開な会話が印象に残るのか一部ではかなりの人気を誇る。
 ……といった風に、必ずしも主要人物でなくても人気を得てしまうキャラクターは存在するのだ。

 ここまで言えば察するだろうが、今回の主題はそのショウさんと同系統の人物である中沢少年である。
 さて肝心の本編での中沢少年についてだが、何と彼はショウさんと異なりアニメ第1話から登場する古参である。
 第1話で中沢少年は、担任の早乙女先生が破局した恋人の愚痴を授業中話した際に、「目玉焼きは半熟か固焼きか」という質問に対し、「どっちでもいいんじゃないかと…」と答えている。
 これは先生の元彼氏が半熟にこだわっていたことに関する質問であり、結果的に中沢君の回答は質問者の早乙女先生を満足させているので概ね正解である。
 ドラマCD第1巻によれば違う時間軸においても似たようなやりとりをしていた事から、中沢少年は相手の質問の意図(ただ同意が欲しかっただけ)を見抜く的確な観察眼があることが予想できる。
 また次の登場話である第7話では、退院し、松葉杖を突きながら登校した上条恭介に「もう怪我はいいのかよ」と声をかけ、肩を貸してあげる人間の鏡っぷりを疲労している。

 以上。これが中沢少年の全てである。

 以下はそんな『モブ』である筈の中沢少年が、奇特にも聖杯戦争なる非日常に巻き込まれる物語の、その序章である。


 深夜。中沢少年は自室で途方にくれたようにベットに寝転がっていた。
 漠然とした視線の先には、両手で掲げるように持ち上げられた宝石ーーソウルジャムが掲げられている。
 彼の非日常は、つい先日、この綺麗な宝石を帰路で発見したことから始まってしまった。


「マスター、決心はついたのか?」

「聖杯、かぁ……正直、願い事なんてないからどっちでも良いんだよなぁ」

「マスター。そういった発言は控えた方が良い。オレ『たち』なら兎も角、他のマスターは良い顔はしないだろう」

 無表情で諌めるアサシンに、中沢少年は困ったような顔で返答する。
 別に聖杯は欲しくない。召喚当初、そう馬鹿正直に伝えられたアサシンは、特に反応を示すことなく中沢少年に従っていた。
 その時点で願いをもつ大半のサーヴァントは中沢に見切りをつけるだろうが、
 アサシン自体が特に聖杯に対して強い願いを持たない奇特なサーヴァントであった事と、律儀に契約を守るタイプだった事が中沢にとって幸運だった。

 ただ一点、アサシンは無理強いをしないが、覚悟はしておけ、とだけ忠告してきた。
 彼らの目から見ても、この聖杯戦争はどこか異質さを感じる。
 それにこれは曲がりなしにも聖杯『戦争』、巻き込まれただけの一般人であるにしても、中沢少年はマスターとなった以上、争いから遠ざかるのは不可能だ。
 そういう点は、非日常とは全く関わりのなかった中沢少年も薄々察してはいた。
 しかし……

「そう言われてもなぁ……俺にとっては聖杯戦争なんて寝耳に水なんだよ。
マスター?ってのに成れたのだって、帰り道でこの宝石を拾っちゃったからってだけだし」

 それでも、ただの男子学生である彼がそう簡単に『覚悟』できるわけがない。
 こうしてアサシンと話している事すらも、単なる悪い夢なんじゃないかとすら思ってる。
 魔法少女の存在どころかその騒動と一切の関わりがなかった彼には、聖杯戦争の現実感が持てないのだ。

「そうか、それならそれでいい。オレ『たち』は依頼通り、お前を守るだけだ」

 そんな頼りないマスターに呆れているのか、それとも元から宛にして居ないのか、アサシンは一言言い残すと霊体化した。
 残された中沢少年は(無愛想な人たちだなぁ)と溜め息をつくと、仮眠をとるために電気を消すのだった。



【CLASS】アサシン
【真名】無銘(11人の男達)@ジョジョの奇妙な冒険 SBR
【マスター】中沢@魔法少女まどか☆マギカ
【属性】中立・中庸
【ステータス】筋力D 耐久E+ 敏捷E+ 魔力E 幸運C 宝具D+

【クラススキル】

気配遮断:A
 サーヴァントとしての気配を絶つ。
 完全に気配を絶てば、探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
 ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。

【保有スキル】

射撃:C+
 銃器による早撃ち、曲撃ちを含めた射撃全般の技術。
 暗殺者として優秀な水準で修得している
 11人全員による一斉射撃にプラス判定

騎乗:D+
 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる
 11全員の連携騎乗にプラス判定

冷静沈着:C
 仲間の死にも動揺せず、己の感情を殺して任務に徹し、その場で最適な戦術を実行する。
 精神系の効果への抵抗に対してプラス補正が与えられる

連携攻撃:B+
 複数人による攻撃に長けていることを示す能力。アサシンの場合、11人全員で同時に行う攻撃判定に有利な修正を得る

【宝具】

『11人の男たち(イレブン・ボーイズ)』
ランク:D+ 種別:対人宝具 レンジ:ー 最大捕捉:11
 本来1人1体である筈のスタンドを、11人全員が本体としてひとつのスタンドを共有していた逸話と、常に11人でチームとして行動していた逸話が共に宝具に昇華された結果、
 アサシンは11人全員を含めてひとりのサーヴァントとして現界している。
 この"11人"という数は概念的な物なので、極論を言えば戦闘で全滅しても1人でも生き残っていれば、
 残りの10人は自動的に補充される。
 よって、アサシンを完全に殺害するには全員を一度に殺害するしかない

『TATOO YOU!(タトゥー・ユー)』
ランク:D+ 種別:対人宝具 レンジ:ー 最大捕捉:12
 11人のアサシン全員が共有しているスタンド能力。
 全員のコートの背中に描かれている、お互いの絵の中を自由に空間移動出来る。
 所持品も一緒に持ち込める他、絵の主が既に死亡していても移動可能。逆に死んだ仲間を盾に攻撃を回避したりできる。
 絵に入っている間は無敵であり、絵を攻撃しても本体にダメージはない。
 10人が1人の絵に入ったり、逆に1人の絵から一度に複数で出てきたりできる。
 また、サーヴァントの特性として、アサシンと魔術的な繋がりのあるマスターも同じく絵の中に入らせることができる

【weapon】

  • リボルバー式の拳銃
 弾丸は魔力で補充可能

  • 無銘の馬
 最大で11頭召喚できるが、魔力消費がかさばるので、
 1頭に11人騎乗する運用がおすすめ

【サーヴァントとしての願い】
 無し。召喚されたからには任務は全うする

【人物背景】
 ジョジョの奇妙な冒険・第7部「スティール・ボール・ラン」の登場人物。
 ジョニィ・ジョースターとジャイロ・ツェペリから”聖人の遺体”を奪うために大統領が送り込んだ刺客。11人一組のチームで行動する。
 スティール・ボール・ラン第6ステージで登場。11の馬の足音が1つに聞こえるほどに統率がとれており、ジャイロには「軍隊以上」と評されている。
 リーダーがいるのだろうが、それが誰なのかは彼等しか知らない。彼らの本名についても明かされていない。
 全員が同じ服装をしており、短く刈り込まれた髪型(なぜか髪の毛と髭は英文の写植)と、多少の差異はあるものの、一様に無表情で険しい顔立ちも共通。
 スタンド『タトゥー・ユー』による奇襲と、11人という大人数を活かした集団攻撃を得意とし、ジョニィやジャイロ達を死の一歩手前まで追い詰めた。この際、ジョジョでも珍しい見開きを使った演出がとられた。

【マスター】
中沢@魔法少女まどか☆マギカ

【聖杯にかける願い】
 不明。というか自分がマスターであることと聖杯戦争に参加してしまった事の重大さをあまり理解していない。

【能力・技能】
『善人』
 教師からの意味不明な質問も無視せず律儀に答えてあげたり、負傷した友人に肩をかす優しさも持ち合わせているまさに人間の鏡。
 あと席が暁美ほむらの隣である。思わぬ所で役に立つかもしれない

【人物背景】
 見滝原中学校の二年生。苗字が中沢であることは分かっているが、下の名前は不明。
 鹿目まどか・美樹さやか・暁美ほむらのクラスメイトであるため、面識はあると思われる。
最終更新:2018年05月20日 19:16