見滝原市内の、とある高校。
そこに通う一人の女子生徒が、ある日突然失踪した。
市内に連続殺人犯が出没していることもあり、当然の流れとして周囲の人間は事件に巻き込まれた可能性を考えた。
だが数日経つと、奇妙な噂が校内に広まった。

「ねえ、森さんの噂聞いた?」
「ああ、赤と黒の花嫁に魅入られた、とかいうやつ?」
「そう、それ」
「私、詳しく知らないんだけど。何なの、赤と黒の花嫁って」
「都市伝説らしいよ。不幸な死に方をした花嫁が幸せな新郎新婦をねたんで、呪い殺しちゃうんだって。
 そして呪い殺された花嫁は、赤と黒の花嫁の仲間になってまた別の花嫁を呪い殺す……」
「怖いけどさあ、森さん関係なくない? 別に結婚したわけじゃないでしょ、あの人」
「でも、森さんこういうオカルト話好きだったし。
 それで悪霊に取り憑かれたとか、そういう話になったんじゃない?」
「でも、取り憑いたのが花嫁である必然性はないんじゃないの」
「たしかに……。なんでそんな話になったんだろ」


◆ ◆ ◆


「ねんねん~ころ~り~よ、おころ~り~よ~……」

町外れの、放棄された教会。
森宇多子の姿は、そこにあった。
彼女の周りには、複数の女性の影がある。
いずれもウェディングドレスや振り袖に身を包んでいるが、それらは全て汚れ、破れている。
だが、それは些細なことだ。着ている本人たちの体が、醜く崩れていることに比べれば。
彼女達こそが、宇多子が召喚したアサシンのサーヴァント。
都市伝説に飲み込まれた悪霊たち、「赤と黒の花嫁」である。

「もうすぐよ……。もうすぐみんなに、素敵な花婿さんを見つけてあげるからね……」

虚ろな瞳で、宇多子が呟く。
本来の彼女は、物騒な発言で周囲の反発を買うことはあっても、直接的に他者を傷つけるような人間ではない。
だが彼女は自らのサーヴァントに共鳴し、その邪気に取り込まれてしまった。
今や宇多子とサーヴァントの関係は、逆転してしまっている。
サーヴァントに捧げる生け贄を求める従者、それが今の宇多子なのだ。

「ねんねん~ころ~り~よ、おころ~り~よ~……」

物音一つしない教会に、宇多子の子守歌だけが不気味に響いた。


【クラス】アサシン
【真名】赤と黒の花嫁
【出典】サタスペ(ホラーリプレイシリーズ)
【性別】女
【属性】混沌・悪

【パラメーター】筋力:C 耐久:C 敏捷:D 魔力:B 幸運:E 宝具:C

【クラススキル】
気配遮断:B
自身の気配を消すスキル。隠密行動に適している。
完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。

【保有スキル】
精神汚染:EX
精神が錯乱しているため、他の精神干渉系魔術をシャットアウトできる。
ただし、同ランクの精神汚染がされていない人物とは意思疎通ができない。
怨念の塊と化した彼女達の心に、人の思いが届くことは決してない。

非現実の恐怖:A
表の世界を生きる者にとっては、現実にいてはならない存在。
一般人がこのサーヴァントを初めて目撃したとき、幸運判定を行う。
判定に失敗した場合、混乱状態に陥る。

偏光:A
遠距離攻撃に分類される攻撃を受けたとき、その軌道をねじ曲げ別の対象に当てることができる。
ただし、対象が「サーヴァント自身の肉体による攻撃が届く範囲」にいなくてはならない。


【宝具】
『赤の花嫁』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:無制限 最大捕捉:1人
アサシンの中核を成す、一人の花嫁の存在そのものが宝具と化している。
効果は男性一人の呪殺。
発動条件は対象の男性についてある程度の情報を得ていることで、条件を満たせば相手がどこにいようと発動できる。
発動後は一日に2回まで対象に四肢がもぎ取られる悪夢を見せることができ(寝ていなくとも、白昼夢を見せる)、
5回目の悪夢で首をもぎ取ることで現実でも対象はバラバラ死体となる。
殺害までは最低三日かかることになり、期間の限られた聖杯戦争で殺害まで持っていくのは困難と言わざるを得ない。
だが途中までの発動でも、相手を消耗させるには充分だろう。

『黒の花嫁』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
赤の花嫁以外の花嫁たち。召喚された直後は5人いる。
彼女達に殺された女性はその時点で「黒の花嫁」となり、サーヴァントの一部として取り込まれてしまう。
「赤と黒の花嫁」とは彼女達全員の集合体であり、中心である赤の花嫁が倒されても黒の花嫁が合わせて消滅することはない。

【weapon】
「触手」
肉体の一部。
「偏光」の効果範囲を広げるための器官であり、攻撃力は低い。

【人物背景】
不幸な死に方をした花嫁たちの霊が、都市伝説に縛られ悪霊と化した存在。
都市伝説に同情し詳しく調べていた女性にとりつき、彼女の周囲の男性を次々と呪い殺していった。
その魂は、幸福への渇望と生者への妬みで満ちている。

【サーヴァントとしての願い】
幸せになりたい

【基本戦術、方針、運用法】
宝具による呪殺は強力だが、時間がかかるためメインに据えるのは厳しい。
肉弾戦も決して弱くはないので、数の優位を活かした戦い方を心がけたい。


【マスター】森宇多子
【出典】金田一少年の事件簿
【性別】女

【マスターとしての願い】
アサシンに花婿を与える

【weapon】
特になし

【能力・技能】
「霊能力者?」
霊の声が聞こえると自称している。
ただの妄言なのか、本当に霊感があるのかは定かではない。
彼女がいた世界に、霊という概念が存在するのは事実のようだが……。

【人物背景】
有名予備校「四ノ倉学園」に通う高校生。
眠たげな目つきと口元のほくろが特徴的で、怪しい雰囲気を漂わせる。
学園内で起きた連続殺人事件に対し、「1年前に自殺した生徒・深町充の怨霊が呪い殺した」と主張し、捜査陣を困惑させた。
金田一が彼女と関わったのは一度だけだが強烈な印象が残っていたらしく、
後に他の事件でエキセントリックな言動の容疑者に彼女を重ねる一幕があった。

【方針】
聖杯狙い?
最終更新:2018年05月22日 13:23