その男は、この街で最も高いビルの最上階から、見滝原の街並みを睥睨していた。
表情に肯定的な感情はまるで見受けられず、険しい顔立ちは無感情のようにも感じられる。
男の名はムラクモ。またの名をアカツキ零號。
元帝国駐独陸軍武官にして、軍技研究機関ゲゼルシャフト元総帥。そして人口調節審議会創設者。
古代文明の遺産、生物工学によるクローン技術、神秘の秘跡による転生……
あらゆる手段を用いての人類救済を目的とするこの男は、とある企業の若き社長の肉体と地位を乗っ取る形で、閉鎖されたこの世界に存在を確立させていた。
「やはり、多すぎるな」
見滝原を見下ろしながら、ムラクモは誰に聞かせるためでもなく、独白のように語り始める。
「産業革命以前、人類の繁殖限界はせいぜい数億だった。これほどまでに膨れ上がった現状が如何に異常であるか、そしてこの先に待つのが破滅であることは論をまたない」
軍服のような外観の最新装備――六〇式電光被服をまとった腕を、ガラス張りの外壁に振り向ける。
「人類は殺してでも減らすべきだ。そうしなければならぬ。聖杯が有用な軍需資源たりうるのであれば、入手のために時間を割く価値は十分にあるだろう。六十億を越える人類を、必要な分のみ残して殺し尽くすために」
それは奇しくも、とある世界において存在した、この世全ての悪に汚染された聖杯が最も得意とするところ。
ムラクモがそれを知ることはありえないが、仮にそれを入手し得たのならば、彼は躊躇することなくそれを殺戮兵器として行使しただろう。
良心の呵責など感じる余地は微塵もない。彼はただ、正しいと確信していることを遂行するだけなのだから。
「ライダー。貴様らにはその礎として死んでもらう。よもや異存はあるまいな」
ムラクモは振り返り、背後に控える"六体"のサーヴァントへ言葉を向けた。
「斥候として死ね。殿として死ね。先陣を切って死ね。肉壁となって死ね。その生命の尽くをこの星のために使い潰せ」
"彼ら"は誰一人として異を唱えない。そもそも感情機能すら備わってはいなかった。
その真名はショッカーライダー。裏切り者たる二体のバッタ型改造人間"ホッパー"を原型とする新型改造人間である。
世界支配を目論む秘密結社ショッカーの上級兵力であり、他の改造人間のように明確な人格は与えられていない。
彼らの宝具は『常に六体である』という概念的能力。
そもそも彼らは非人道的な新技術によって改造された量産型であり、たとえ一体や二体が破壊されたとしても、すぐさま予備が投入されて六体編成を維持し続けた。
この宝具はそうした特性が能力として昇華されたものだ。
「やはり、エレクトロゾルダートよりも格段に有用そうだ。組み込み可能な電光機関が手元にないことが惜しまれるな」
ムラクモにとってライダーは実に都合のいい戦力だった。
同時運用可能数が六体までとはいえ、総数はマスターが健在である限り無尽蔵。
死を厭わない威力偵察によって、実質的な損失無しで敵戦力を推し量れることの有利さは改めて論ずるまでもない。
更に人格らしきものが存在しないことも好都合。
あらゆる命令に絶対服従ということは、即ち三画しかない令呪を絶対遵守以外の用途に回すことができるということ。
加えて、裏切りの懸念もなければ殺戮に対する心理的反発もない。
真っ当な英雄豪傑であれば、無力なマスターをくびり殺せという命令には叛意を覚えるかもしれないが、彼らは作業的に首をへし折ることだろう。実に理想的だ。
「さぁ、疾く開始の号令を放つがいい。この土地を粛清の嚆矢としてくれよう」
世界を救うための人類殺戮を是とする男は、改めて見滝原の街並みに視線を落とした。
その顔に喜楽もなければ怒も哀もない。当然の措置としての殺戮を前にした、超越者たる現人神の顔があるだけだった。
【CLASS】ライダー
【真名】ショッカーライダー
【出典】仮面ライダーTHE NEXT
【性別】恐らく男性のみ
【身長・体重】175~190cm/65~80kg(個体によって異なる)
【属性】中立・中庸(自我らしきものを持たない)
【パラメータ】筋力C 耐久C 敏捷B 魔力E 幸運E 宝具C
【クラス別スキル】
対魔力:-
高度な科学の産物であるライダーは対魔力を一切持たない。
騎乗:C
機械工学で作られた乗り物であれば、何であれ苦もなく乗りこなせる。
【固有スキル】
コンビネーション:C
特定の味方との連携攻撃の精度を表すスキル。
ライダーの単体性能は平均的なサーヴァントの六分の一程度だが、
連携によって二対一、もしくは三対一かつ宝具を度外視すれば互角の戦闘が可能。
六対一であれば万全の状態のサーヴァントすら追い詰めうる。
改造人間:A
最新技術によって、自我が希薄になるほどの改造を受けている。
機械的な判断機能しか持たず、精神干渉効果はメリット・デメリットに関わらず無効。
また、どれほどのダメージを負っても痛覚を感じないかのように戦闘を継続できる。
【宝具】
『量産型改造人間(ホッパー・マスプロダクションモデル)』
ランク:C 種別:対人(自身)宝具 レンジ:- 最大人数:6人
一つの霊器を六分割し、常に六体で存在し続ける概念防御。
たとえ何体かが破壊されようと、戦闘終了後に自動的に員数が補充され六体に戻る。
ライダーを直接戦闘で完全撃破するには、六体全てを一度の戦闘で全滅させるより他にない。
この完全消滅を迎えて初めて、ライダーのサーヴァントの魂は聖杯にくべられることになる。
【weapon】
- 改造された肉体
- バイク(特別なものではない)
- 爆発する投げ矢
【人物背景】
映画「仮面ライダー THE NEXT」に登場する量産型仮面ライダー。
性能では1号2号に劣るものの、数の暴力と連携攻撃で1号2号を追い詰める。扱い的には凄く強い戦闘員。
本作では仮面ライダーV3もショッカー製改造人間と設定されており、ショッカーライダーの製造方法は1号2号のような旧方式ではなくV3と同じ最新式とのこと。
宝具の元ネタは、何体倒されても次の出番ではまた六体に戻っているという作中演出。
ちなみに、本作の改造人間は正体隠しのために仮面とスーツを着ているだけであり、ショッカーライダーも装備を脱げば普通の人間の姿をしている(はず)
市販されているフィギュアでも、それを反映してヘルメットとスーツの隙間の素肌や、ヘルメットの隙間から出た頭髪などが再現されている。
メタ的には、残り生存者数を気にせず殺せる便利な殺害描写&ピンチ展開材料の無限湧きエネミー枠を想定。
他キャラの強さを描写するための使ってもなくならないやられ役や、マスターを容赦なく殺しにかかってくる返り討ち前提の襲撃役と用途は幅広く、数体で連携させればサーヴァントのピンチ展開にも使用可能。
【聖杯にかける願い】
一切なし。ただマスターの命令に従うだけ
【マスター名】 ムラクモ
【出展】アカツキ電光戦記、エヌアイン完全世界
【性別】男
【能力・技能】
「電光機関」「六〇式電光被服」を用いた戦闘を行う。
球状の電撃を放つ、電光地雷なる兵器を用いる、軍刀による白兵戦を仕掛けるなど。
古代文明アガルタの超科学技術を元にナチスが開発した秘密兵器。
人体に埋め込めるサイズでありながら、敵兵器の装甲を溶かすほどの膨大な電力を生み出す装置。
発生する電磁波によって電子兵器は無効化され、敵対者は前時代的な白兵戦を強いられる。
そのエネルギー源は、人間の肉体を動かすエネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)そのもの。
先天的にATP保有量の多い体質の人間(アガルタ人の末裔)を除き、文字通り使用者の命を猛烈に削り取る代物である。
ムラクモは「転生の法」によって複製體(クローン)の肉体を乗っ取ることで、限界になるたびに肉体を乗り換えて対応している。
電光機関と組み合わせることで、着用者に超人的な身体能力を与える「電光被服」の最新型。
多機能ではあるが、多機能ゆえの脆弱性も抱えているらしく、アカツキ(主人公)が装備している戦時中に作られた旧式に敗北する。
転生を繰り返すことで死を超越した存在「完全者」から盗み取った秘術。
あらかじめ世界中に潜伏させておいた自身の複製體に転生することで、使用するほど死に近付く電光機関の欠点を克服している。
複製體は権力者として社会に溶け込んでいるらしく、その権力を用いた社会的工作も行う(例:チャイニーズマフィアの当主や軍の三佐)
なお、本家本元の「転生者」はクローンの使用を「脆弱である」という理由で否定し、素質のある他人の肉体を乗っ取っている。
【人物背景】
力による支配を良しとする思想の持ち主であり、増えすぎた人類を戦争によって減らし、その後の世界に現人神として君臨することを目論む。
人間そのものに価値を見出しておらず、老若男女、人種も貴賤も問わず平等に殺すと豪語している。
……と、ストーリー中ではシリアス一辺倒のラスボスなのだが、戦闘モーションが何かとネタに満ちている。
前進すればダカダカダカダカと重心の低い十傑集走りを披露し、後退すれば宙に浮かんでスライド移動、電光地雷を設置する際にはどこからともなく取り出して「コレデヨイ」と素手で足元に置くなど、やたらとシュール。
挙句の果てに、公式ラジオで「現人神」の読み方を間違えられたことから、付いたあだ名が「げんじんしん」
【聖杯にかける願い】
願望器ではなくエネルギー資源とみなしている。
【方針】
ライダーの宝具を駆使して戦略的に立ち回る。
最終的にはマスターを殺し尽くして聖杯を得る。
最終更新:2018年04月25日 22:48