僕のパパはパパじゃない。
そして、僕のママもママじゃない。


◆ ◆ ◆


川尻早人が記憶を取り戻したきっかけは、家族に対する違和感だった。
父を殺して成り代わった殺人鬼は、その報いを受けて死んだ。
もう二度と父が帰ってこないのを知りながら、それを隠して母と共に父が帰ってくる日を待つ。
それが、今の早人の日常だったはずだ。
だが今の川尻家には、父がいる。
決して夫婦円満とは言えないが、母と日常を過ごしている。
それは、もう二度と実現しないはずの光景だった。
ゆえに、早人は気づいてしまう。
この家族は、偽物だと。


◆ ◆ ◆


「坊主、お前は俺に何を望む」

早人の前に現れたのは、アーチャーのサーヴァントだった。
まだ少年といっていい年齢だが、纏う雰囲気はかなり物々しい。
目つきは悪く、全身のあちこちにアクセサリーをつけている。
特に、指に輝くリングが目を引きつける。
「仗助とは違うタイプの不良」。それが早人からアーチャーへの第一印象だった。

「僕は……」

アーチャーの気迫に冷や汗を浮かべつつも、早人は口を動かす。

「僕は、聖杯なんていりません。元の世界に帰るのが、望みです」
「ふーん。欲がねえことだな」

つまらなそうに、アーチャーが答える。
これはまずい、と早人は察した。
アーチャーは自分の答えに満足していない。
この聖杯戦争という戦いにおいて、サーヴァントとの信頼関係は命綱だ。
サーヴァントに主と認めてもらえなければ、生存の確率は大きく下がってしまう。
ならば、この場で早人がやるべきことは一つ。
さらに言葉を紡ぎ、アーチャーの気持ちを引きつける。それ以外にない。

「僕は……ママのところに帰らなきゃいけないんです」

早人が呟いた言葉に、アーチャーの眉尻が動く。

「僕のパパは、殺人鬼に殺されました。法律では裁けない方法で……。
 パパが殺されたことは、誰にも証明できない。
 だからママは今も、パパの帰りを待っています。
 ここで僕が死んだら、それもママには伝わらないでしょう。
 ママはずっと、絶対に帰ってこないパパと僕を待ち続けることになってしまいます。
 そんなことにはしたくないんです!」

精一杯の思いを込めて、早人は語る。
それに対し、アーチャーは小さく溜息を漏らした。
思いは届かなかったかと、失望しかける早人。
だがそれは、彼の早とちりだった。

「まいったな。母親のためにがんばるなんて言われたら、見殺しにはできねえや」
「じゃあ、力を貸してくれるんですね」
「別に貸さねえとは一言も言ってねえんだけどな。適当にやってよさそうな事情じゃねえってのはわかったぜ。
 本来なら俺が主と認めるのは十代目だけだし、十代目以外で俺に命令できる人間も限られてるんだが……。
 この聖杯戦争の間は、お前をマスターだって認めてやるよ」
「ありがとうございます……!」

万感の思いを込めて、早人は差し出されたアーチャーの手を握る。

「そういや、まだマスターの名前を聞いてなかったな。教えてくれよ」
「あっ、はい。僕の名前は、川尻早人です」
「川尻……早人……?」
「どうかしました?」

自分の名前に対して妙なリアクションを見せるアーチャーに対し、早人が尋ねる。

「いや、こういうのも縁なのかと思ってよ。
 俺の名前も……ハヤトだ」

照れくさそうに笑いながら、アーチャー……獄寺隼人は答えた。



【クラス】アーチャー
【真名】獄寺隼人
【出典】家庭教師ヒットマンREBORN!!
【性別】男
【属性】混沌・善

【パラメーター】筋力:D 耐久:C 敏捷:B 魔力:C 幸運:B 宝具:A

【クラススキル】
対魔力:D
魔術に対する抵抗力。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。
Dランクでは、一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

単独行動:C
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。
マスターを失っても、Cランクならば1日は現界可能。

【保有スキル】
死ぬ気の炎(嵐):B
人間の持つ生命エネルギーが具現化した炎。
アーチャーは「分解」の性質を持つ嵐の炎をメインとするが、雨、雷、雲、晴の炎も微弱ながら使うことができる。
これらの炎も、このスキルに内包されている。

嵐の守護者:A
嵐のごとき猛攻で、組織の敵を打ち砕く者。
攻撃を連続ヒットさせる度に、与えるダメージが増加する。

爆弾作成:B
「道具作成」が変化したスキル。
爆発物を魔力から生み出すことができる。
ダイナマイトが彼のシンボルとして語り継がれていることから、このスキルが生まれた。

【宝具】
『嵐のボンゴレリング』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
ボンゴレファミリー「嵐の守護者」に代々受け継がれる指輪。
もう一つの宝具の始動キーとして用いる。
これ自体に攻撃能力などは無いが莫大な魔力を秘めており、単独行動スキルと相まって、
アーチャーはよほどのことがなければ魔力供給なしで行動し続けることが可能。

『ボンゴレ筺(ボックス)・Gの弓矢(アーチェリー)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1-70 最大捕捉:3人
ミルフィオーレファミリーとの決戦のために生み出された武器で、初代嵐の守護者・Gの武器を模した弓矢。
獄寺がそれまで使用していた「SISTEMA C.A.I」と統合する形で完成した。
SISTEMA C.A.Iのメイン武装である赤炎の矢(フレイムアロー)にヤマネコ型生体兵器「瓜」が合体し、「形態変化」することで生み出される。
瓜の意識が残っているため、使用者の指示なしでジェット噴射を行い方向転換を助けるという場面もあった。
なおアーチャーは後に別の武器を使用しているが、今回はアーチャーのクラスにもっともふさわしい武器ということでこれが宝具に選ばれている。


【weapon】
「ダイナマイト」
アーチャーの代名詞と言える武器。
全身至る所に仕込んでいる。
サーヴァントとなり「爆弾作成」のスキルを得たため、いくらでも補充可能。

【人物背景】
有力マフィアのボスと、その愛人であったピアニストとの間に生まれた子供。
幼い頃に母が死んだことで父に不信感を抱き、家出(実際には事件性のない病死であったことが、後に判明する)。
自力でマフィアになることを目指す。
そんな中でボンゴレファミリー十代目候補である沢田綱吉と出会い、彼に心酔。
「十代目の右腕」を自称し、彼と共に数々の戦いに挑む。
性格は短気でけんかっ早いが、根は実直。
勤勉な努力家だが、理屈で考えすぎる傾向がある。

【サーヴァントとしての願い】
小さな願いならいくつかあるが、まずはマスターの願いを優先

【基本戦術、方針、運用法】
筋力こそ高くないが攻撃手段はいずれも筋力に依存しないため、攻撃力に不安はない。
猛攻で相手に反撃の機会を与えず、一気に撃破するのがベストと言える。


【マスター】川尻早人
【出典】ジョジョの奇妙な冒険 第4部
【性別】男

【マスターとしての願い】
母親の待つ杜王町に帰る

【weapon】
特になし

【能力・技能】
邪悪を倒すためならば平然と命がけの行動を行える、小学生離れした精神力。

【人物背景】
杜王町に住む小学生。
元々は陰気な性格だったが、父親が殺人鬼と入れ替わったことを知り、対決を決意したことでたぐいまれなる精神力を開花させる。
殺人鬼こと吉良の「バイツァ・ダスト」を攻略するために孤軍奮闘し、攻略成功後も仗助をサポートして勇敢に戦った。
スタンド能力を持たないただの小学生でありながら、吉良打倒に大いに貢献した恐るべき少年である。
参戦時期は、第4部終了後。吉良が別の時間軸から参戦していることは、まだ気づいていない。

【方針】
脱出狙い
最終更新:2018年04月30日 12:49