三島由紀夫

【クラス】バーサーカー
【真名】三島由紀夫
【容姿】
シニヨンにして纏めた艶やかな黒髪に切れ長の両眼、透けるほどに白くも確かな拍動を感じさせる美しい肌。強い意志を感じさせる凜とした顔立ちは、しかし時折憂いに俯く。
女性らしく、小柄でなよやかな体格。瞳は紅に染まっているが、これは破裂した血管の発露であり元来は深い黒。そのため生前よりも視力が著しく劣化しており、普段はマスターから譲り受けた黒縁の眼鏡をかけている。
大日本帝国海軍の黒い卒等服に身を包むことが多い他、マスターの私物である紺色の着流しを好んで纏う。ぶっちゃけ眼鏡かけた和装or軍服&2Pカラーのセイバー
【性質】
中立・善
【ステータス】
筋力C(+++) 耐久D(+++) 敏捷C(+++) 魔力C++ 幸運E 宝具D
【スキル】
狂化:E+++
バーサーカーのクラス特性。理性と引き換えに凄絶な戦闘能力を所有者に与えるスキル。
三島の場合、平時は狂化の影響を受けない。だが三島自身が胸裡に秘め続ける「闘いの美学」の琴線に敵が触れることにより、段階的に理性を失いつつも最大+++までのステータス補正が筋力・耐久・敏捷に与えられる。
抑圧された理性は戦闘の終了と共に復活し、同時に能力上昇も消失するが、戦闘中の記憶だけは保持することが可能。また当然ながら、重度の段階での発動中には宝具の使用が困難になる。
存外に解放条件が厳しく、特に最大発動の+++状態には「魂の好敵手」とでも呼べるような、単なる敵対関係を超越した相手ではないと到達できない。

闘争文学:A
小説家・三島由紀夫の固有スキル。己れの藝術性を実体に記すことによって〝武装〟させる、エンチャントの亜種と呼べるもの。無論のこと、中度以上の狂化中には発動できない。
緊密極まる構成と衝撃的なレトリックによって構成される三島の作風は、宛ら文章の木の葉落とし。破綻寸前の曲技飛行によって緊迫と感動を観客に齎す無頼の航空隊である。
しかしそれが故に、力を与えられた実体にとってはたまったものではない。多くの凡庸な物体は、得た力を一度振るっただけで、己れの藝術性に追従できずに「破綻」し「自壊」する。
宝具であるか否かに拘らず、「記す時間さえあれば」凡ゆる物体へと「壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)」を発動させられる、という表現が適切と思われる。
またこのスキルの存在により、三島は近代の英霊であるにも関わらず、魔力に破格のステータス補正を得ている。

紙上の楼閣:B
劇作家・三島由紀夫の固有スキル。類稀なる作品構成力と思考能力をそのまま軍略に用いたもの。
戦術的・戦略的双方から己れを俯瞰視し、まるで己れが一つの劇の脚本家であるかのように、経験と計算から今後の動向を予測して大胆に行動できる。
最大効果を貪欲に求めるリスキー極まりない姿勢を見せつつも決して破綻に至ることはない、まさしく彼の作品のような戦果を実現する能力。
【概要】
昭和時代の日本の小説家・劇作家。本名は平岡公威であるが、英霊としての真名はその雅号である。
戦後の日本文学界を代表する耽美派・日本浪漫派の作家の一人。緻密極まりない精度で計算された文体にて独特の美学を描いたその作風は、今なお高い評価を受けている。
幼年期は病弱であり、祖母の支配的な教育の下に日々を過ごした。年頃の男子が好むような玩具は取り上げられ、女言葉を使うことを強制され、祖母の選んだ年上の少女と遊ぶことだけを許されたという。
しかし、書斎に並べられた国内外の古典文学を読み耽る青年でもあり、兎角この時期の厳格かつ奇矯な教育が、後の三島の思想に大きな影響を与えたものと思われる。
1941年、16歳。生涯の師となる清水文雄に批評を求めた「花ざかりの森」は、名高い国文学者である彼をして「天才」と言わしめ、作家・三島由紀夫の出発点となる。
同年に太平洋戦争が勃発。学徒として青春を過ごしながら、言い知れぬ高揚感を味わいつつ、やがては徴兵に至る。
しかし出立の当日、肺浸潤と誤診されて同日に帰還。思わぬ幸運に家族は涙してその無事を祝うも、本人は「特攻隊に入りたかった」と孤独な二律背反を呟いた。
その後も労働力として東京付近の工廠に配属されるも、1945年の終戦を迎える。直後に腸チフスで妹を失い、恋慕を寄せていた女性は1年後に別の男性と結婚した。
こうして幾重にも鬱屈した感情の発露が、平岡本人が携えていた天賦の芸術性によって文学となり、後にノーベル文学賞候補にさえ上り詰める三島由紀夫という作家を創造したのである。
晩年は皇国主義に傾倒し、民兵組織・楯の会を結成。「自らを否定する憲法を護っている」自衛隊を「真の武士」に回帰させるための運動を行った。
1970年7月21日。市ヶ谷駐屯地にて、自衛隊総監・益田兼利を人質にとり、憲法改正と自衛隊の蹶起を促すクーデター「三島事件」を決行。されど、天性の文学者であった筈の、彼の言葉を聞き入れるものは一人としていなかった。
蹶起の失敗を悟った彼は、「もういいよ」と言い残して寂しく笑い、自らの意思で割腹自決。享年45歳の生涯を終えた。
生来の女性嫌いであったにも関わらず、英霊としての三島は女性として召喚されている。明確な理由は不明だが、これは生前の彼が女性へと向け続けた嫌悪が、彼自身も無自覚な好意と憧憬、妬心の裏返しであったからと推測される。
【宝具】
『仮面の告白、鍵の部屋にて』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:不詳 最大捕捉:2(実質1)
三島が有するもう一つの固有結界。こちらはより三島自身の「個人的な」感情を基盤とする宝具であり、屈折した心境を直接に描写している。例外的に、最大段階の狂化中でも扱える宝具。
発動することによって、対象にとった一人と三島自身を「壁面と天井に無数の仮面が飾られた、数メートル四方の灰色の小部屋」に閉じ込める。出口はその天井にあり、南京錠で閉じられた引き戸である。
この部屋自体に特段の異常性はないが、〝部屋が破壊されることはなく〟〝部屋の扉は三島の意志でしか開かない〟。そして壁面に飾られた全ての仮面の裏側には、三島自身の手になる無数の叙情文が隙間なく記されている。
仮面の一枚が「同伴者に」壊されるたび、、三島は「無言の内に自分を伝え」、「無言の内に相手を理解する」。そのプロセスは、主にパーソナルデータや思考の交換として行われる。
多くの仮面が破壊されていく程に、開示されていく情報は〝心の奥底に秘められたもの〟になる。部屋の仮面全てが壊されれば、多くの場合それは真名の理解となる。
三島の意志で固有結界の現出を中断することも可能だが、同じ人物が再度固有結界に取り込まれた場合も、破壊された仮面が再生することはない。

『関の孫六』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:3 最大捕捉:3人
最期の蹶起に三島が携えた刀。帝国の軍刀拵えであり、同志によって彼自身の介錯に用いられた。
宝具としての効果は薄く、単なる兵器に近い代物。しかし知死期の三島を斬ってその血を吸った刀であり、彼自身の強い執念が宿っている。
故に、〝三島の心を折るまで、この刀は壊れない〟。例え、三島の「闘争文学」の効果対象に取られた場合であっても――この刀は、凡百の芸術を許さないのだから。

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最終更新:2016年07月09日 19:21