だいぶ見慣れてきた道を全力で走っている。
遊佐「やべぇ! 遅刻する!」
制服の乱れなんか気にしていられるか! 今はとにかく急げ!
曲がり角! スピードを緩めてるわけにはいかない!
??「わわわ! どいてどいてどいてぇ!」
遊佐「えっ?」
飛び出してくる人が視界に入る。
え!? うわ、ぶつかる……!
俺は咄嗟に体をひねってぶつかりそうになるのを避けようとする。
??「ええい!」
その人は紙一重で俺を避けた
遊佐「う、うわあぁあ!?」
俺は無理に避けようとしたためにバランスを崩した。
そのままよろけて電柱にぶつかった
遊佐「うおおぉぉ……」
い、痛い……。
??「ご、ごめんね~。大丈夫? 遅刻しそうだったからつい飛ばしすぎちゃって」
うあぁ頭打った……
遊佐「つってて……、こっちも遅刻しそうで急いでたから悪かった」
??「ってうわっ! やっばい! ほら、急がないと本格的にやばいよ!」
遊佐「あ、ああ」
本当だ! こんなことしてる暇はない。
??「走るよー!」
その子は物凄い速さでかけて行く。
遊佐「ま、まじで? 俺より速いし!」
別に足の速さに自信があるわけじゃないが、女の子に負けるとは……
??「おーい! ぼーっとしてたら置いて行っちゃうよ!」
遊佐「お、おうよ」
遅刻ぎりぎりの仲間同士で走っていく。
??「見えた! 校門!」
遊佐「もう少しだ!」
これならギリギリか……!
早乙女「急げ! もうぎりぎりだぞ!」
??「うわー! 風紀委員の早乙女先輩だし!」
遊佐「風紀委員?」
俺の疑問とはよそに
??「おっはよーございます先輩!」
早乙女「ちょっと待て霞」
霞「ぎくっ!」
俺は校門についたところで一息ついている
早乙女「お前は……。ちゃんと服装を直せといつも言っているだろう」
霞「あ、あはは。これは走ってきてる間に段々はだけちゃったんですよ、ほら、この人だって」
遊佐「え? 俺?」
あ、本当だ。
早乙女「お前は……。転校早々遅刻ぎりぎりか……まったく」
遊佐「えーっと、すいません」
早乙女「同じクラスの早乙女だ」
遊佐「あ、そうだっけ。ごめん、まだ顔と名前覚えてなくて」
早乙女「気にしない。っておい霞!」
気づいたら霞は遠くに行っていた。
霞「すいませーん! 人生初の遅刻だけは避けたいんでー!」
うまいこと俺に早乙女さんの注意を引き付けて逃げていった
早乙女「はぁ、まったく。また会ったら言っておこう。君もそろそろ教室に行ったほうがいいぞ」
遊佐「おっと、本当だ。それじゃ!」
早乙女「明日からは気をつけることだ」
遊佐「ああ、そうするよ」
人にぶつかるのも早乙女さんに咎められるのも勘弁だからな。
早乙女「あと、制服の乱れは直せ。服装の乱れは心の乱れだぞ」
遊佐「ういっす」
俺は制服を直しながら教室へ急いだ。
中島「危なかったな遊佐」
遊佐「ああ、人にぶつりそうになるわ早乙女さんに注意されるわで大変だった」
中島「あー、あの早乙女さんか。まあこれからは遅刻に気をつけることだな」
遊佐「そうするよ」
そうこうしているとすぐにチャイムがなって先生が入ってきた。
遊佐「まじで危なかった。転校早々遅刻なんて最悪だもんな」
中島「それはそれでおもしろいんじゃないか」
遊佐「勘弁してくれ……」
だらだらと授業が過ぎていく。
………………
ふわぁーー。昼休みか。
中島「遊佐、一緒に食堂でどうだ?」
遊佐「ああ、頼むよ。使い方もよくわからんし」
中島「任せておけ。あの食堂の裏技までばっちりよ」
遊佐「裏技ってなんだ……」
中島に食堂の解説を聞きながら歩いていると。
??「あーっ! どいてどいてどいてぇ!」
ん、なんか聞いたことのある声が。
霞「わー!」
ばんっ!
遊佐「ぐお!」
中島「な、遊佐がやられた!?」
背中に衝撃が。朝は頭だったし……
遊佐「ってて」
中島「大丈夫か?」
霞「あ! 今朝の人だ。またまたやっちゃったか……」
遊佐「あ、あらら。えーっと朝の人」
走ってばかりだなこの子
霞「私、
椎府 霞っていうの。ってやば! 安くておいしいパンが売り切れちゃう!」
遊佐「……」
霞「ほら、先輩も早く!」
遊佐「ちょ、俺は関係な……」
霞「いいから早くー!」
な、何故!?
中島「よし! 無駄に急ぐぜ!」
よくわからないが食堂に全力で俺達は向かった。
遊佐「と、ところで何であの子は俺が先輩ってわかるんだ?」
中島「サ、サンダルをみればわかるんだよ」
あ、なるほど。
最終更新:2007年01月21日 22:49