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 2日目も遅刻してしまった転校生、なんていう話題性抜群の俺。しかし、その話題に触れてくれるクラスメイトは一人もいなかった……

 転校生無視の理由は、教室に追加されていた机にあった。

ましろ:またまた転校生だって。どんな人だろう!
聖:男でなきゃいいんだけどね。
 だろうな。
ましろ:えー、なんで?
聖:なんでもだ。

千里:帰国子女だとか、成績優秀だとかの噂が流れてるよ!
蔵人:そりゃ、あやかりたいね。
千里:またまた君はそんなことばっかり。遊佐のこの落ち着きを見習ったらどうよ、どうよ!
俺:はは、どうも。

不二子:……昨日みたいな面倒が起きなきゃいいけど。
???:……
俺:……

 ……ということらしい。昨日の今も、こうやって盛り上がってたのかな?
 おかげで、先生よりも早く教室に入れたんだし、良しとしよう。
というのも、学校としても突然の転校生だったらしく、手続きやら何やらで手間取っているのだ。

 ああちなみに、蔵人と不二子は俺より数分送れて仲良く入ってきた。
 例え天地がひっくり返ろうと、風紀委員に逆らうべきではない。というのが、昨日と今日で得た教訓のひとつだ。

 転校生に対する好奇心ということで、やはり3年生の甲賀しのぶも参加していた。
しのぶ:おやおや遊佐くん、気分が優れないようだね。
俺:そうでもないですけど。

千里:わかるよわかるよ! あるよねぇ、青春ってのはさ、何でもないときに突然胸がキュン! ってなったりね。キュン! って。
俺:……いや、全然わかってない。
千里:え、そう?

千里:まーいーじゃん。気にしない気にしない!
 結局何のフォローを入れるつもりだったんだ?

しのぶ:いやー、しかし、2日連続で転校生なんてウハウハだね。あたしゃ2年生に生まれ変わりたいよ。
俺:俺が変わりましょうか?
しのぶ:うは! いいの? じゃあ変わろうか! あ、あたしの教室わかる? この教室の真上だよ。ウヒョー。

 ……こんな人が生徒会長でいいのだろうか。

生徒たち:「先生来た!」「もうついたのか!」「はやい!」「きた!ホームルームきた!」「転校生のホームルームきた!」「これで会つる!」
 先生と転校生の接近が知らされる。

 しのぶは自分の教室から持ってきた椅子に座り、教室の後方で胸を弾ませた。彼女、本当にいいのだろうか?

 ドアが開き、先生が何やら身構えながら入ってくる。昨日の飛び蹴りを恐れてのことだろうか。
 存在しない敵に対して先生にかばわれながら入ってくる一人の少女。聖のガッツポーズが音となって聞こえた気がした。
 その少女は――

俺:あーっ!!
 思わず立ち上がった上に指を差してまで叫んでしまい、クラス中に注目されてしまった。

俺:ご、ごめんなさい。
 しおらしく座席に着く俺に、新たな転校生の冷たい視線が突き刺さった。イタタ。

 そう、その子は……
この子だった。

先生:えー、二日連続ですまないが、転校生のマグリフォン・茜くんだ。
茜:よろしく。

 うわー。すげー。ブロンドだぜ。ハーフかなー。などなど、昨日の俺が考えたこととほぼ同じ内容が口々に囁かれる。
 先生は先生で、昨日のような悶着が起こる気配が無いので胸を撫で下ろしている。

茜:机はあそこ、一日前の転校生の後ろですね。
先生:ああ、その通り。
 なるほど、『一日前』 ってそういうことだったのか。この席に一日早く転校生がやってきたとか何とか、先生から聞いたのだろう。

 転校生の帰国子女はこちらへ、正確には俺の斜め後ろにある空席へと歩いてきて、
すれ違いざまに何事かをつぶやいた。

茜:Merci a partir de maintenant.
 ……わからんよ。

先生:まあ、そういうことでだ。昨日の紹介は適当になってしまったが、遊佐君とマグリフォン君共に、仲良くしてやってくれ。

生徒たち:はーい!
 元気な数名の生徒が声を上げた。……しのぶまで溶け込んでいる。

先生:ふう、今日はまともにできたな。
 思わず本音をつぶやく先生。
先生:ではでは、授業の準備を始めてくれたまえ。
 しまいにはスキップ気味な足取りで教室を去っていった。

しのぶ:あたしもお暇するよ。じゃあねー。
 さすがに何日も転校が続くわけは無いだろうし、彼女もこれでしばらくは普通の3年生として暮らすことになるだろう。多分。

蔵人:おい遊佐。
俺:何だクラウド。
蔵人:見ろよ、あれ。美人だぜ美人。それでもってフランス語か? イタリア語か?

俺:……あまりジロジロ見るなよ。
 気になって俺も振り向いちゃうじゃないか。

 ――!

蔵人:どうした?
俺:……目が合った。
 というかじっとこっちを見てた!

 何で!? 俺何かしたかな!!?
最終更新:2007年01月22日 23:36