- #シーン『無情の☆将星【杏】』
- 登場キャラ『遊佐、中島、ましろ、聖、杏、早乙女』
- BGM『喜びっぽい曲、告白シーンっぽい曲、ドタバタ系の曲』
- 背景『黒一色、グラウンド』
(背景→黒一色。BGM→なし)
田中学園長「――三、ニ、一……試合終了ぉぉぉ――う!!」
田中学園長「このヴァナ・ディール学園創立以来の悲願、全学年オールスター試合を制した優勝チームは……」
田中学園長「井草千里率いる二年生だぁぁぁ――――!!!!」
(背景→白くなりグラウンドへ。BGM→喜びっぽい曲)
遊佐「よっしゃぁぁぁ――! 勝ったぜ――!!」
嬉しさで体中の血液がまるで沸騰しそうだ!
遊佐「やったな、杏っ!!」
杏「ええ。貴方のおかげよ」
遊佐「何言ってんだよ! 杏があの時助けてくれたから、俺たちだってルークを奪えたんじゃないか!」
杏「……そう?」
遊佐「あったりまえだろ! なんていうかさ、ありふれた言葉だけど、これが『みんなの勝利』ってやつだろ!?」
杏「そうかもしれないわね。ふふ」
杏は少し笑いながら言った。
遊佐「な、何だよ。何で笑うんだよ」
杏「いえ。貴方って本当に笑顔が似合う男の人だな、って思っていただけよ」
遊佐「えっ……」
不覚にも、どきっとしてしまった。
俺がポカンとしていると、杏は口を押さえて再び笑い出した。
杏「何? その顔」
俺は一体どんな顔をしていたのだろう。
遊佐「お、俺、そんな変な顔してた?」
杏「いえ。そうでも……ぷっ」
吹きだした彼女の吐息が、俺の頬にふわりと触れる。
勝利の興奮とは別の意味で、血液が厚くなるのを感じた。
杏「ごめんなさい。でも可笑しくて」
杏はついに、目からうっすらと笑い涙をこぼすほどの笑顔になった。
それを必死に押し殺そうと顔を手で覆い隠している姿が、とても……
遊佐「そ、そんなに笑うことないだろ!?」
口ではそんなことを言ったが、杏の意外なその表情に俺は驚きを隠せなかった。
(BGM→告白っぽい曲)
そう。杏のすべてが愛しく、そしていとおしく感じたのはその時だった。
杏の顔。
その裏には笑顔をひたむきに隠していた、ナイフのようなマスケラがあった。
杏の声。
口を開けば相手を切りつけることしかできなかった。
杏の涙。
涙なんか、無縁の女の子なんだと思っていた。
杏の姿。
かつての彼女から、今の姿を想像できただろうか。
杏の吐息。
吹きかかる息に……心臓の高鳴りを覚えた。
そして杏の……すべて。
杏の笑顔のためなら、俺はどんな努力もたゆまないだろう。
彼女がどんなに重たい業を背負っていようとも、俺が肩代わりしてやる!
遊佐「杏っ、俺……!!」
(BGM→なし)
???「――ぁぁぁあああああ」
その時だ。
俺はなぜかフェードインしてくる悲鳴を聞いた。
俺は空を見上げる。
あれ、なんだ。俺の真上に小さく光るものが……
ドップラー効果とともに降ってくるその悲鳴は……
って、あれ、ドップラー効果?
まさか!
(BGM→ドタバタ系の曲)
中島「ああああ遊佐ぁぁぁああオレを受け止めてくれええぇぇぇ!」
遊佐「な、中島ああぁぁ――!」
本日は晴天なり。
時々、中島がふるでしょう。
※終了
最終更新:2007年03月07日 19:14