弓削ルート 7月15日 【お疲れ様!】

『カンパーイ!』
生徒会の皆と声を合わせて、お決まりの台詞を言う。
甲賀「体育祭も無事終了し、昨日と今日はお疲れ様ってことで皆ではしゃぎましょ!」
男子生徒会員「ひゃっほーぅ! 頑張った甲斐があったぜ!」
甲賀「お会計は全部、学校持ち!もう四の五も言わず楽しむよ!」
女子生徒会員「会長……素晴しいです!」
あー、すげぇ盛り上がりだな何時もの生徒会室の静けさはどうしたものか。
弓削「あ、あの皆さんお疲れ様です!」
甲賀「弓削!それは先に私が言った! 弓削も楽しみなさい!」
弓削「はぃぃ、でもお会計は……、」
『おぉぉぉぉぉぉ!』
弓削の意見は他の会員の声にかき消された。
真面目はいいんだけどちょっともうちょっと楽しく行かないとな。
って甲賀先輩何ちょっと肌蹴てるの?!弓削もそれを見て唖然としているし……。
遊佐「弓削、あそこまでは行き過ぎだが。今日は楽しもう、な?」
弓削「はい……でもちゃんと――」
遊佐「会長のことは任せろ、だから楽しめ。それに、先輩の言うことは聞くもんだ」
先輩の特権発動! 会長の権限よりは効果が薄いだろうが。弓削は分かってくれるだろ。
弓削「……それでは、お言葉に甘えさせてもらって。改めてお疲れ様です、遊佐先輩」
遊佐「ん、弓削もお疲れ様」
ちょっと笑ってみる。今なら先輩信頼度30%増しになってるに違いない!
弓削「ぁ……」
遊佐「ん?」
弓削「い、いぇ何も」
なんか言いかけたみたいだけど?最後まで言えばいいのに。
甲賀「こらぁ! そっこぉ! な~に二人でこそこそしてるのさ!」
会長……わざわざマイクをもっていわなくて――
ってうぉぃ!また肌蹴てるぞ!
遊佐「甲賀先輩!楽しもうって言ってたけど、肌蹴させるのは関係ないと思います!」
甲賀「あら、言うようになったじゃないか。弓削のつもり!?」
遊佐「えぇ! 今日は俺が弓削の代わりに会長を止めます!」
女子生徒会員「おぉ~あの子燃えてるね、会長ー頑張れ!」
男子生徒会員「やれー! むしろ会長もっとお色気希望!」
えぇぃ、この会長信仰者め!
弓削もそうだけど……
甲賀「打ち上げ会といえばお色気ありだろ! 華の十代! 一花咲かせてもらうよ!」
生徒会員一同『うぉぉぉぉぉ!』
なんて奴らだっ!元凶は会長とはいえ雰囲気を味方につけるとこうも強いとは!
向うも先輩(会長)信頼度30%ましってことか!?
こうなったら・・・一か八かだ!
遊佐「俺が脱ぎます!」
生徒会一同『な、なんだってー!!』
甲賀「その挑戦受けてたったぁー!」
生徒会一同『キタ━━!』
いやなにが来たんだよ、おい。変な顔してる奴数名居るし。
弓削「ぷ……くふふふ」
甲賀「が、残念なことにこれ以上お色気をアップさせると常識的にいけない」
あんたが言うな。常識的とか。
遊佐「いつも常識的じゃないと思いますが」
甲賀「そこで、コイツで勝負!」
マイクをずぃっと差し出してこられても、いきなり歌えってか。
なんか巧く乗せられた気がする……まぁしかたないか、マイクロ受け取ろうと――
甲賀「一番は、わたしからいくよ!」
そっちからかい!?
ホント掴めない人だな。
選曲のコントローラーをいじってる甲賀先輩。色々悩んでるみたいだな。
弓削「大丈夫ですか?会長ああ見えて結構巧いですよ?」
遊佐「そうなのか?」
弓削「はい、会長と私の趣味で髪留めを買いに着たついでにカラオケにいったんですけど」
ほぉ二人は髪留め集めが趣味なのか。
弓削「なんか先輩方の友達で歌がうまい人が居るらしくて、それで」
遊佐「なるほど、友達がカラオケ行って巧かったらそれは一緒に巧くなるわけだ」
弓削「確か――奏先輩っていってました」
遊佐「あぁ!奏先輩か、あの人うまいからな」
むぅ、奏先輩をお手本にしてるのならやべぇな。
でもまぁここで負けても場が盛り上がればいいかな?
甲賀「それではー……わたしはこれをチョイス!さぁ勝負!」
やっと決まったか。ッてなんだこの題名。
男子生徒会員「うはっっっっっ」
大爆笑してるぞ、大丈夫なのか?
……
…………
甲賀「お兄様?どこいくの?そんな奴の場所に行かないで!
   お兄様そこどいて!そいつ屠れない!」

何なんだ、この歌!?なんか変な電波びんびん感じるぞ!
肝心の得点は――
89点?!ありえなくねぇっ?
甲賀「あはは、まぁまぁってところかな」
これでまぁまぁって……これ以上何を望むってんだ・・・洗脳か!洗脳なのか!
男子生徒会員「生徒会長、後でウェスタンを所望します」
何なんだコイツ、歌を聴いたら人が変わったぞ。
マサカ、モウ洗脳サレテル!?
弓削「次は遊佐先輩の番ですね。頑張ってください!」
遊佐「ふむ……本気になるが弓削のためだ。んじゃ俺はアレを」
それに、あの歌で負かされたらなんか非常に腹が立つ。
俺の十八番。最近の曲じゃないが、何回も聞いて歌いだしのタイミングも完璧なはず。
ぷちぷちとコントローラを操作する。
甲賀「何々? どんな歌を歌うんだ?」
ずいっと覗き込んでくる。顔が近いですって、焦るからやめて!
甲賀「ほぅ、ドラマの主題歌だったやつだな」
男子生徒会委員「俺も得意だけどサビの部分がなかなか……」
弓削「あ、私もこれ知ってますよ」
遊佐「意外と皆、知ってるんだな」
甲賀「歌手が初デビューしてオリコン10位に入れば、皆一度はきくさ」
遊佐「そっか確かそうだっけ」
弓削「ドラマも凄い面白くて続編でたんですよね?」
甲賀「青春ドラマ……よかったね~アレは」
弓削「ハッピーエンドでよかったです」
遊佐「あんなに努力して結局報われませんでした。なんて終わり方なら、頭に来るものがあるしな」
甲賀「熱いね~、熱血クン」
ぬ……なんか馬鹿にされた?
弓削「歌のほうも結構、熱いですよね。女性にも歌いやすいらしいですし」
遊佐「続編も同じ人が歌ってるから、それも歌えるぞ」
弓削「聞いてみたいです」
甲賀「けど・・・・今は私との勝負中!この曲が君のとっておきと見た!」
遊佐「熱血君らしく熱く行きますよ!勝負!」
……
…………
遊佐「痛みが身体に伝わる前に。ココロが熱い今」
っっ
遊佐「全てを捨てて、君に伝えよう。この思いを!」

ふぅ……しゅーりょー
得点は!?
……
89点?
くっそ少しずれてたか。
弓削「あんなに巧かったのに、同点です?」
甲賀「同点だね~」
遊佐「卑怯ですよ、マイクを使わなかったとはいえ急に歌いだすのは。」
知ってるからっていって、急に入ってくるんだもんなぁー先輩は。
甲賀「あはは、熱血クンの熱がうつちゃってさ」
遊佐「まぁ……仕方ないか」
甲賀「んじゃもうひと勝負いきますとしますか!」
遊佐「いや……でも皆歌え――」
生徒会一同『ヤレー!』
ん、洗脳されてるわこりゃ。甲賀生徒会長会ってこの生徒会あり。納得。
甲賀「んじゃ、次は本気でいくよ~」
生徒会一同『うぉぉぉぉぉぉ!』
まだ、返事をしてないのだが…………
まぁ、いいか歯切れ悪いし。
遊佐「つぎは……歌えるしさっき関連でいってみる――」
なんか服を引っ張ってる感じがする。って弓削、何だ?
弓削「先輩先輩、ちょっと耳を」
遊佐「ん~?」
弓削「もしかしてドラマの続きの主題歌を歌うんです?」
遊佐「そのつもりだけど」
弓削「私、あの歌結構得意なんです。よかったら一緒に歌いませんか?」
遊佐「ふむ……」
弓削「さっきは会長に邪魔されちゃいましたから、今度はこっちが不意打ちです」
遊佐「なかなか面白そうだな、やってみるか」
弓削「はいっ」
ぼそぼそと耳元で話す。
甲賀「ほら、そこの陳情処理班二人! また、こそこそしない!」
遊佐「はーい」
弓削「自粛します」
何も無かったですよー。とそっぽを向いて、見事なカモフラージュをする。
何気にもう一つのマイクを隠しながら取ったところを俺は見た!
甲賀「そうそう、素直が一番!それじゃー、ちゃっちゃと決めますか!」
弓削「かいちょー頑張ってー」
なんか棒読みだな。
甲賀「ふっふっふー、私のとっておきは凄いぞ!」
女子生徒会員「会長の美声が聞こえるわよー!」
男子生徒会員「ひゃっほぅー」
いやはっちゃけすぎだろ、普段学校じゃこんな感じじゃないぞ?
甲賀「こ・れ・で~~~キメ!」
……
…………
甲賀「ねぇ?こんな私だけど。
   貴方と居た一緒の時間は誇っていいよね?この涙だって後悔しなくていいよね?
   だからあの時とかわらない空を見つめて
   貴方が好きでいてくれた私を信じて、まっすぐ生きていこうと思うよ」

生徒会一同『スゲェェェェー!!』
やっべ・・・聞き入ってた。すっげぇ巧い。こっちが本領かよ……。
弓削「は~・・・凄いです会長……」
遊佐「一回目からあれだったら間違いなく負けてたぞ……」
点数は……96点?!
弓削「96点、やっぱり、凄いです」
奏先輩と一緒に歌ったことがあるからってこの点数は出ないぞ……。
甲賀「いやー……熱くなったまま歌ったらいい点数が出たよ」
遊佐「よゆうっすね」
甲賀「全力を尽くしたからね。心配したってしょうがないし」
ぅ……流石甲賀先輩。
甲賀「さて熱血クン、次は君の番だよ」
遊佐「絶対勝ちますよ!」
弓削「です!」
甲賀「その自信は何処から来るのかは知らないけど。お手並み拝見!」
こっちには弓削と一緒に歌うんだ……まけたら弓削にも申し訳ないし気合を入れていこう。
遊佐「さて……どれを歌うかな?」
ちらりと弓削を見る、やっぱり歌う前に準備が必要か。なんか声を出してるし。
弓削「こほん」
甲賀「?弓削風邪かい?」
弓削「い、いえ気にしないででください!」
甲賀「ならいいんだけど~、疲れてるのなら言ってくれなきゃ怒るよ」
弓削「ありがとうございます」
姉妹みたいだなホント。
甲賀「さて、そろそろ決まった?」
遊佐「うす」
男子生徒会員「お、あの続編だな」
女子生徒会員「会長に勝てると思って?!」
甲賀「あはは、それじゃ遊佐クンどぞ!」
遊佐「こほん」
前奏がはじまって~――

遊佐「~~♪」
一同「……」
よし、今のところパーフェクト!けど、弓削の奴何時入ってくるんだ?そろそろサビだぞ。
遊佐「♪!~♪」
余計なことを考えると、はずしそうだな……ここは信じよう。
ちらりと弓削を見る。マイクを持ってる!

甲賀「僕を・・・」
弓削&遊佐「僕を守るものは何も無い、けど君がいるから僕は走り続ける」
そういうことか!
弓削&遊佐「倒れても、また立ち上がって君の元へいく。暗い空の中、町が星空へと変わる
     くたくたになって走りつかれても、君に逢えるならそれでいい。また『馬鹿だね』といって笑って」

甲賀「うぅ……歌おうと思ってたのに思わぬ伏兵が……」
結局、甲賀先輩は歌えないままなんかがっくりきてる。
弓削「邪魔はダメですから!」
遊佐「しっかし、弓削凄いうまいじゃないか」
まじで巧かった、俺が歌わなくてもよかったんじゃないか?
弓削「先輩に合わせただけですよ!」
甲賀「むぅ……陳情処理班恐るべし」
さぁ!得点は!
……
97点!
遊佐「よっしゃぁ!」
弓削「やりました!凄いです!」
甲賀「ぎゃーー まーけーたー」
弓削さん、そんなに抱きつかないでください。
遠慮ガチナ胸ガ当タッテマス。
男子生徒会員「会長を負かした……遊佐、弓削……なんて恐ろしい子!」
甲賀「まけたよ……遊佐、弓削……あとはまかせ――グフッ」
生徒会員一同『会長━━━━━━?!』
いぁ、凄い盛り上がりだな――


女子生徒会員「楽しかったねー」
結局3時間ほど盛り上がって打ち上げは終了。
弓削「結構歌っちゃいました」
遊佐「やっぱ巧いぞ?弓削」
弓削「そうですか?ありがとうございます!」
甲賀「いやー歌った歌ったもー当分は歌わなくていいわ。]
遊佐「会計は――」
甲賀「あ、お会計はわたしが立て替えておくから邪魔にならないように待ってて」
弓削「私も少しは出しま……あれ?あれれ?!」
遊佐「?」
甲賀「ん? どうした? 弓削、私が出しておくから皆と一緒にまってなさい」
弓削「あ……はい、ごめんなさい。」
甲賀「あ、レシートください」
店員「はい。ありがとうございましたー」
弓削の表情もなんか涙目だぞ。なんか震えてるし。大丈夫か?
甲賀先輩は会計で気づいてないみたいだし……。
甲賀「今日は楽しんでくれたかな?」
女子生徒会員「はい!もうすっごい!」
男子生徒会員「美声も聞けましたし!」
甲賀「そうかい、そうかい。ならこれで解散!」
生徒会一同『はい!』
遊佐「また学校でー」
甲賀「弓削? どうしたやっぱり疲れたのか?」
弓削「あ、いえ! 何もありません! 何も! ちょっと疲れただけですから!」
……普通に嘘だろ。
甲賀「やっぱり疲れてるんじゃないか、途中まで一緒に帰ろう?」
弓削「ダメです!じゃなくて、用事があるんで……」
甲賀「なら私も付き合う」
なんか甲賀先輩を避けてないか?珍しいな
弓削「あの、その……」
遊佐「甲賀先輩、丁度俺もここらに用事があったんで。弓削に付き合います」
甲賀「大丈夫なのか?」
遊佐「はい」
弓削「……」
甲賀「まぁ、いつも役員の仕事で一緒にやってるし任せても大丈夫か」
遊佐「任せてください!」
甲賀「弓削あんまり無理するんじゃないぞ?」
弓削「はい、お疲れ様でした。また明日です」
甲賀「ん。お疲れ様」

寂しそうに甲賀を見送る弓削。見えなくなるまでずっと見つめている。
遊佐「で、どうしたんだ弓削」
弓削「……大切なものが」
大切なもの?
遊佐「なくしたのか?」
弓削「はい……」
遊佐「一緒に探してやるよ、それで大切なものって?」
弓削「髪留めです……会長から貰った」
あー……それは確かに弓削にとってはかなり大事なものだな。
遊佐「でも、髪留めはしっかりとついてるじゃないか」
弓削「これは、お出かけ用です……」
お出かけ用?あぁ、趣味だからそれくらいあってもおかしくないな
弓削「会長から貰った髪留めは、お守りですから……」
むぅ、女の子ってそういうの多いよな、けど大切なものだ探さないと。
遊佐「とりあえずその話は探しながら聞くよ。最後に確認したのは?」
弓削「今日の朝が最後です……昨日の片付けの様子を見に学校へ行ってからは忙しくて」
広いな……
遊佐「とにかくまずここを調べてみよう?」
弓削「はい……」
店内に入って。店員さんに事情を話す。
店員さん「えと、すみません。10分位しかダメみたいですけど――いいですか?」
しょうがない……向うにも都合があるだろう。
弓削「すみません、ありがとうございます」
遊佐「急ごう」
さっきの部屋に入る。
遊佐「弓削はテーブルの下とかを調べてくれ、俺はソファーを動かして調べてみる」
弓削「はい……」
ふん!……って意外と重いなこれ、あんまり時間が無いからそんなことも言ってられないか……
なかなか見つからないまま静かな時間は確実に過ぎてゆく。
弓削「あの髪留めは……」
ぽつりとつぶやく様に話しだす。
弓削「入学式に初めて会ったときに会長がくれたんです」
遊佐「初対面なのに?」
弓削「はい……初対面なのにです。入学式は丁度混でいて。誰かにぶつかった拍子に倒れちゃったんです。」
弓削「その日はたまたま挟むタイプの髪留めだったんで……取れちゃって」
遊佐「その髪留めは?」
弓削「排水溝に落ちちゃって……」
遊佐「あちゃ~」
弓削「その時、たまたま見ていた会長が『私のをあげる』って言ってくれたんです
   私は遠慮したんですけど。会長は教室に予備がまだあるからって」
遊佐「ん……っと。甲賀先輩らしい」
弓削「です。その後、入学式にさっきの人が生徒会長だってことを知ったんです」
遊佐「そっか生徒会会長の言葉もあったっけ」
弓削「はい……それが凄くかっこよくて、憧れました」
それで生徒会に入ったってわけか。
でも一年から生徒会にはいれるっけ?
遊佐「でも、一年から入れるもんなの?」
弓削「本当は入れません、けど生徒会の人に何度も何度もお願いしてみました。そしたら」
遊佐「そしたら?」
弓削「それを聞いた会長が
   そのやる気、気に入った!生徒会会長として君をヘッドハンティングします! 
   って言ってくれて」
なんか……同じ言い回しだな。
弓削「後で他の先輩から聞いたんですけど、先生に結構頼み込んでくれたらしいです……。
   それとその髪留めもちょっと特別だったみたいで」
遊佐「そっか……あぁ見えてやる時は凄いやる人だからな……」
弓削「はい、それで次の日。髪留めを返しますって言ったんですけど。入学祝だって」
入学祝って……ホント面倒見がいいな。
弓削「それからずっとお守りみたいに持ってるんです。」
遊佐「お守り……か」
弓削「私、結構抜けてますから……それでも持ってると甲賀先輩みたいに何でも出来るような気がして」
遊佐「なら、なおさら見つけないとな……」
弓削「はい……」

プルルル
あ、時間か……。
遊佐「弓削、残念だけど時間」
弓削「……仕方ないです。もしかしたら学校かもしれないですし」
遊佐「でも今日はダメだからな明日にしろよ?」
弓削「でも!」
遊佐「甲賀先輩に弓削を任されただからダメ」
正直、今の状態で学校なんか行かせられるか。外は暗いし明日のほうが見つけやすいだろうし、一度落ち着いたほうがいい。
弓削「……ぅ」
遊佐「泣くな……明日一緒に探そう?一度落ち着いたほうが何か思い出すかもしれないだろう?」
弓削「はい……」
よかった聞き分けのいい子で。ソファーの配置を元に戻し、会計のほうへ向かう。
遊佐「すみませんありがとうございました」
店員「いいえ、見つかりましたか?」
弓削「……ぃぇ」
店員「……そうですか」
弓削「あの、もし見つけたら電話ください、探してるのは髪留めです。電話番号は―――」
なんとか落ち着いて対処できるようになってるな。明日に期待しよう。
結局一人で帰りたいと弓削が言った。心配で途中まで送るということに何とか説得し、会話の無い帰り道についた。

自室のベットにポフンと腰掛ける……。
さて……明日は何処から調べよう……学校では弓削と一緒に回ってたし、回った場所は覚えてるから何とか一人でも探せるだろう。
明日は気分を変えて色違いの制服で登校しよう。


最終更新:2007年03月17日 21:36