弓削梨香ルート案 7月19日 【不審者を捕まえろ!】 


何時もは鬱陶しい蝉の鳴き声さえ聞こえない。
むしろ、気にならない!
遊佐「なぁ、弓削」
弓削「なんですか?」
遊佐「髪留めってどのくらい持ってるんだ?」
弓削「髪留めはですね、学校用、お出かけ用、家用、観賞用それから――」
マジですか、そんなに持ってるんだ。
弓削「結局、50個くらいあるんじゃないでしょうか」
遊佐「そ、そうか」
昨日散々考え――

結局好きなものを買うという。ありきたり、かつ平凡、つまらない発想にいたったわけだ。
しかし、予想外に多いな……。
遊佐「本当に好きなんだな」
弓削「はい! 可愛いですし、ちっちゃくて綺麗ですから!」
むぅ……こんなに好きなんだから下手なものを渡したら喜んでもらえそうにないな。
遊佐「……弓削。甲賀先輩からもらった髪留めは、今も持っているか?」
弓削「はい?持ってますけど」
遊佐「ちょっともう一度見せてもらえるか?」
あれは形とかじゃなく気持ちを、大事にしてる物なんだろうけど。
もう一度あの髪留めが見たくなった。
遊佐「だめか?」
弓削「いえ!遊佐先輩なら。どうぞ」
遊佐「すまん、ちょっと借りるな」
弓削「どうするんです?」
遊佐「いや、もう一度見たくなってな。綺麗だし」
そっと大事に渡される。この前よりも、もっと光を透って輝いていた。
遊佐「…………」
弓削「ふふふ」
遊佐「どうした?」
弓削「いえ、その髪留めを気に入ってくれてうれしいな、って思ったら楽しくなっちゃって」
遊佐「そっか……でもさ、この髪留め本当に綺麗だよな」
初めて見たとき宝石見たいだ、って思ったけど、本当にそう見えるから不思議だよな……。
緑とオリーブ色が合わさって……トルマリンだっけ?

そんな名前の宝石みたいな。
遊佐「ん……」
太陽にかざしてみる、包み込まれた空気が、きらきらと反射した。
弓削「そんなに気に入ったんですか?」
遊佐「こいつもさ、意識とかあったら、弓削に大切にしてもらって幸せだなって」
弓削「でも、一度なくしちゃった――」
遊佐「どっかで聞いたことがあるんだがな」
弓削「はい?」
遊佐「思いがこもればこもるほど、最後は在るべき所と戻ってきてくれるんだってさ」
弓削「……」
遊佐「なんか、オカルト地味てんな」
弓削「そうですね」
遊佐「でもさ、こいつが弓削の元に戻ってくるのは必然じゃなかったのかなって」
弓削「必然ですか」
遊佐「ちょっとくさかったか?」
弓削「はい、すっごいくさかったです」
ですよねー。

俺もすっげえそう思いましたよ。
はぐらかしておこう……
遊佐「はは、だよな。でも弓削がさ、大切にしてるんだからそれくらいは当たり前かなってねそう思っただけ」
光にかざしていた髪留めを弓削の手のひらに返す。
遊佐「ありがと」
弓削「いいえ、これくらいなら何時でも。あ、でも会長の前とかほかの人の前はちょっと恥ずかしいです」
ほほぅ
遊佐「なら……」
手のひらに返そうとした髪留めを握りなおす。
弓削「へ?」
遊佐「これは俺が厳重に保管する!」
弓削「あ、ちょっと待ってください!」
遊佐「まちません」
弓削「ちょっと借りるだけって約束したじゃないですか!」
遊佐「たまには約束を破ってみたくなるものさ!誰かさん風に言うとルールは破るためにある!」
弓削「そんな理屈は通用しないです!お昼お預けですから!」
う"……お昼……。
遊佐「お昼……」
弓削「そう!お昼です」
遊佐「って俺は犬か!犬じゃないぞ俺は!」
弓削「そうですか……なら……」
遊佐「ならなんだ!」
あの目か!あの目が来るのか!
弓削「……っ」
遊佐「?」
弓削「っく……」
遊佐「あ、あれ?」
弓削「ひっく……先輩の……つき」
遊佐「え、あの」
やべ……やりすぎたか。
遊佐「あ、あ~……すまん、やりすぎた」
返そうと手をさしだす。
ペちん!
遊佐「いってぇ!?!」
思わぬ攻撃にあわてて手を引く。
弓削「甘いです」
その隙をタイミングを見計らったように手のひらからすっと取る。
遊佐「ひ……卑怯だ!嘘泣きなんて卑怯だ!」
弓削「卑怯じゃありません。立派な武器です、会長が言ってました。『涙は女の最大の武器』って」
余計なことを教えて!純真な弓削を返せ!
遊佐「もし落としてたらどうするつもりだったんだ!」
弓削「落とすつもりだったんですか?」
遊佐「い、いえ、そんなことはっ」
弓削「ですよね、そうですよね。私信じてますから。約束ですよ?絶対ですからね?」
つめよらないで……。
弓削「でも、次ぎこんなことをしたら……」
ひっ、この雰囲気は……。
弓削「『っめ』ですからね」
遊佐「は?」
なんか弓削さんがららしくない事をいったような。
弓削「っさ、いきましょう。」
遊佐「お、おうよ」
くるりと楽しそうに向きを変えて学校へ歩き出す。
なんか、本当に話のすり替えがうまくなってないか……?


弓削「それでは、またお昼に」
遊佐「またな」
弓削は急ぐように教室に向かっていった。
遊佐「なに慌ててるんだか……」
弓削って知らない所で転けてそうなタイプだよな。
中島「よっ、青春してるね。憎たらしい限りで」
遊佐「中島か、おはよ」
中島「おはようさん」
遊佐「青春ってお前もしてるじゃん」
中島「え!? 俺ってそう見える?」
遊佐「ああ」
中島「やっと、この中島蔵人を認めたか!」
遊佐「ゲームの中だと無敵だよなホント」
満面の笑みで言ってやる。
中島「う、うわぁぁん」
いじめ我意のある奴だなほんと。
遊佐「馬鹿だな」
中島「もういいよ!三次元なんて捨ててやる!」
遊佐「今は三次元も凄いらしいぞ?」
中島「三次元より二次元のほうが良いんだ!それに名前だって呼んでくれるんだぞ!」
遊佐「中島……それ悲しくならないか?」
中島「う、うるさい!こうなったら栞に慰めて貰う!」
遊佐「お~い」
中島「栞なら分かってくれる!『蔵人さんは少し不器用だけ、私がずっと一緒にいてあげるから頑張って』って言ってくれる!」
遊佐「中島、謝るから戻ってこい!」
中島「そうさ栞は分かってくれるさ、栞が勧めてくれたネックレスを買えば俺はずっと栞と一緒さ!」
なんか会話が全部やばいけど、最後の騙されそうになってないか?
中島「今会いに行くよ~!遊佐なんかもう友達じゃない!うわぁぁん」
あ、走って逃げた。
……
逃げるのはいいけど、お願いだから変な声を出しながら走るのはやめてくれ。
教室に行ったら、とりあえず中島を現実に引き戻してやろう
迷惑だしな。
中島が走った廊下を歩いていく。
教室の前に着くと片山先生が入っていくのが見えた。

遊佐「おはーす」
ましろ「おはよー」
聖「おはよう」

早乙女「おはよう」
聖はともかく、朝は中島とかそういう類の人間には遭遇したくないなやっぱり。
でもまぁ……あのままほっといたら、何を仕出かすかわからないからな……。
自分の席へ向かい中島の様子を伺ってみる
遊佐「おい、中島」
中島「はぁはぁ……」
遊佐「あ?」
中島「クソ、太ももの奴!……夢中にさせやがって……仕方のないやつだ……ふふっ」
ある意味……現実に戻ってきてるが……
お願いだから、変な雰囲気を撒き散らすのはやめてほしいです、中島君。


遊佐「ふぃー、ご馳走様でした」
弓削「はい、お粗末さまでした」
甲賀先輩がいない分、今日の生徒会室はやけに静かに感じた。
まぁ、ムードメイカーだからなぁ。
遊佐「すぐに行動起こすのは体に悪いから10分くらい間を空けて探索しようか」
弓削「はい!それで――」
遊佐「美味しかった」
弓削「本当ですか?あんなに急いでたのに」
悪いとは思いつつ、がっついて食べたんだが……
まあ、実を言うと自然に箸が進んでいたわけ。
遊佐「ん、急いで食べたのはすまん」
弓削「い、いえ。全然問題ないです」
遊佐「次はゆっくり楽しむよ」
弓削「はい!」
いつもより静かな雰囲気も弓削といると結構気にならないわけで。
むしろこっちのほうがナチュラル?
弓削「それで、遊佐先輩。時間の無い昼休みにわざわざ行く人がいるでしょうか?」
遊佐「色々と考えてみたんだが、放課後はパソ研が活動しているだろうし、朝早く行っても鍵が空いていなかったら意味がないだろ?」
だから昼休みの中途半端な時間に活動している可能性が高い。昼休み位は鍵も空いているだろうしな。
弓削「それでも次が授業に使用されるのなら見つかるはずです」
遊佐「それなんだが弓削、ああいう特別教室はな。使用時間割りがきっちりされてるんだ」
授業で使ったときに、壁にそういう張り紙をみたことがある。
多分、間違いないだろ。
遊佐「まあ、行ってみれば分かるさ」
弓削「そうですね、時間ですし行きましょうか」
遊佐「だな、急いだってしょうがないだろうから走るなよ?体に悪いしな」
弓削「分かってます、それに廊下はあまり走らないようにって教えられましたし!」
また焦らない限りは安心かな?
遊佐「うし、んじゃ行きますか」
弓削「はい、同じ階の突き当たりの部屋でしたよね」
遊佐「そそ」
弓削のクラスより遠いけど、そんなに遠くないからすぐだろ。


弓削「ここですか」
遊佐「ん、一年生はまだそんなに来たこと無いだろ?」
弓削「そうですね、学校案内で来たっきりです。」
パソコン室に通じる一本道に差し掛かる。
遊佐「さて、初日に見つかってくれれば楽なんだが」
弓削「見つけても無理をして怪我なんかしたらダメですよ?」
遊佐「分かってるって。弓削こそ慌てるなよ?」
弓削「はい」
廊下に突き当たりパソコン室の扉の前に立つ
パソコン室の中は静かなものだ。

 

 

~ここらからひそひそ話しをお楽しみください~

遊佐「弓削、もし中にいたらいけないから少し静かに話そう」
弓削「わかりましたー」
遊佐「まず俺が少し空けて見える範囲で探るから……」
弓削「はい」
遊佐「もし居なかったら中に入って調べよう」
弓削「了解です」
遊佐「決してあわてるなよ……」
弓削「もちろんです」
遊佐「よし、じゃ空ける」
そっとドアに手をかけて音を立てないようにドアを少し開ける。
弓削「……」
……

…………
居ないな。
気持ちいい涼しい空気が流れ込んできた、午前中の授業のせいだろうな。
しかし、ホント静かなもんだ。
遊佐「……」
弓削「どうです?」
遊佐「いねぇ」
返事と同時に立ち上がり中へ入る。 

~ここからは通常の会話をお楽しみください~

 

 

弓削「本当に居ないですね」
遊佐「一応ざっと見てみよう」
弓削「はい」
軽く見渡してみる。
別に怪しいところは……
遊佐「弓削、居ないみたいだからほかを探そう」
弓削「え?あの」
遊佐「時間もあんまりないしさ。次の授業に遅れるとやばいだろ?」
弓削「でも、時間は――」
肩をもって無理やり反転させて背中を押す。
遊佐「それに、たまにはゆっくりしよう。こう生徒会の仕事ばかりじゃつまんねぇだろ、お兄さんと話そう」
弓削「へ? あ、あの。お兄さんって遊佐先輩」
スライドドアをきっちりと最後まで締める。
さて、後は離れて弓削に理由を聞かせるだけだな。
弓削「?」
首をかしげながらちゃんとそばまでやってくるきた。
弓削「どうしたんですか?急に」
遊佐「パソコンがついてた」
弓削「へ?でも何も異常はなかったですよ?」
遊佐「あれだ、ファンの音が聞こえた。消し忘れってこともあるだろうけど……終わるとき先生が見回るからまずないと思う」
弓削「じゃあ、誰かが私たちのことを気づいて隠れてるってことですか」
遊佐「ま、そういうことだ」
気づいたのは驚きだが……隠蔽工作がまだ甘いな!
遊佐「少し間を置いてもう一度見てみよう、さっきの手順と一緒で」
弓削「おとなしく捕まってくればいいんですけど」
まぁ、そんなことはないだろうけどな……
遊佐「そう願いたいがね……」
そっとドアを空ける。
遊佐「……」
まだ見えないな……音がした所はもう少し空けないと見えねぇ。
もう少し――
遊佐「?!」
え、なにあれ。
何 規 制 に 引っ か か り そ う な 画 像 を 見 て る ん で す か 。
誰だ!ここであんなの見てるのは!
弓削「どうしたんですかー、遊佐先輩」
見ちゃ駄目!めー!
弓削「?!」
遊佐「あ」

時すでに遅し。
それを見た弓削は一気に立ち上がり。
弓削「エッチなのはいけないと思います!」
え……
ってうぉぃ!
弓を持って早速射殺さないでください!

てか、どっからだしたのそれ!
画像を見てる馬鹿、殺される前に逃げ――

中島「はぁはぁ――まったくお兄ちゃんを困らせて――」
中島ぁァァァ!?学校で何見てんだァァァ!
中島「んあ?」」
遊佐「お前何を――!」
言葉に出る前に
眉間に弓があたり――
見事に「不審者」の烙印がくっきりとおでこに印刷されて。

スローモーションのように倒れてゆく不審者(中島)がいた。


遊佐「それで、この腐れ不審者学校でなに見てんだ」
パソコンの画面を即刻消して弓削に手招きする。
後ろに隠れなくてもいいだろうに、まぁ初対面だからかな。
遊佐「ほれ腐れ不審者君、君の弁護を聞こうか」
中島「いや、その」
遊佐「家のPCが壊れたから学校でやってましたとかいったら――」
中島「……まったくそのとおりです」
こんな友達を選んだ俺が馬鹿だった!
弓削「えと、学校の共有物を私物として扱うのは校則に違反します」
遊佐「だ、そうだ。残念ながら逮捕ってわけ」
中島「そりゃないぜとっつぁん」
遊佐「黙れ!腐れ不審者!お前がそんな事をしてるなんて……友達として悲しいぞ!」
弓削「遊佐先輩の友達なんです?」
遊佐「悲しい事実だがそうなんだ……」
中島「そそ出会って即、深い仲になったんだ……」
弓削「えぇ?!」
遊佐「全面的に否定する、そんな風に見えるか?」
弓削「……みえません」
中島「っチ」
遊佐「そこ、舌打ちするな。まぁ、友達というのは事実だな」
弓削「そうなんですか……」
あ、何か下がったような感じがする。
遊佐「とにかくだな……今すぐデータを消去して元通りにしろ」
中島「わかったよ、すまんかった」
弓削「謝るのならパソコン研究部の人たちに謝ってください。あと管理している先生にも」
中島「りょーかい」
そういって後ろの鞄をあさり始める中島。
っておい、あの鞄に見覚えあるぞ
遊佐「中島その中身見せてみ」
中島「え、何で?」
遊佐「見せてみ」
中島「私物までチェックされるのか!」
遊佐「不審者には容赦ないぞ」
中島「nohhhhhhhh」
……

…………
えー
弓削には見せれそうにないものですね、えぇ。
遊佐「異様に重いかばんと思ったら中身はこれか!」
俺の口からはいえません……。
急いでかばんの口を閉める。
中島「スリルがあってよかったんだよ……栞にもあえるし!」
遊佐「またそれか!」
中島「またそれとはなんだよ!」
こんな会話もしたくないわ!
遊佐「今ここでそれを処分して持って帰るか、二度とそうしないかをきめろ!」
弓削「え……それは」
中島「ばっか、答えはひとつしかないだろうが!俺は栞を選ぶ!」
弓削「あ、あの~」
遊佐「そうか、なら今すぐ処分しろ!」
弓削「話を――」
中島「何でそうなるんだよ!二度としねえって言ってるんだ馬鹿!」
弓削「処分は先生に――」
遊佐「馬鹿って言ったほうが馬鹿なんだよ、ぶぁぁ~か」
中島「お前今馬鹿って言ったな!お前が馬鹿だよ!この阿呆!」
遊佐「あ゛あ゛?」
弓削「いい加減に……」
気温が1度下がった気がした。
こ、この雰囲気は!?
弓削「いい加減にしてくださいね」
中島「ひっ」
きたー……
ってまた弓を――!
次の瞬間、中島を撃ったと思ったら
何故か俺の眉間に「キュポ」という音とともに衝撃が走る。
弓削「両成敗です」
ぽてっ と3本目弓矢の先に吸盤がついたものが落ちた。
俺のおでこにも不審者が!不審者の烙印が!
真っ暗な画面を鏡にしておでこを見てみると……
見事な字で
「未熟者」
とかかれていた。

 

 

遊佐「すまん」
弓削「反省していますか?」
遊佐「はい」
中島「はい……」
ちなみに中島の頭には不審者の横に要注意人物と書かれている。
弓削「とにかく今後こんなことをしないように」
中島「肝に銘じておきます」
弓削「今回は遊佐先輩のお友達ということで警告のみとして、関係者に謝るだけで結構です」
中島「はひ!」
弓削「かまいませんよね?遊佐先輩」
遊佐「あ、あぁ」
弓削「ただし、あれだけ私を注意しておいて遊佐先輩が取り乱すのは見逃せないので」
遊佐「へ?」
弓削「中島さん?でしたっけ、今度そのような行為を見かけたら遊佐先輩にも責任をとってもらいますので。」
マジですか。
遊佐「こいつを取り締まったら何も残らないぞ!」
中島「俺の楽しみを……っておい!それどういう意味だよ!」
遊佐「こいつ自体取り締まり規制なのに!」
中島「ひでぇ!友達だと思ってたのに!」
遊佐「うっせぇ!もうお前なんか発言全部、放送禁止用語だ!」
中島「俺が◎×△したって、△♪だよ!♯$νだってШ%なのに!」
遊佐「んん~?きこえんなぁ」
こいつなら普通の会話も卑猥に聞こえそうだな。
中島「дθ∇!」
何語!?
もう会話にさえならないか……首根っこ掴んでおこう。
遊佐「さて……本格的な処分は甲賀先輩に報告してからするとしますか」
弓削「そうですね……現場の判断だけで任せちゃだめでした……」
遊佐「明日なら別に問題はないだろ」
弓削「はい」
遊佐「んじゃ、不審者も捕まえたことで時間もないし。また放課後ってことで」
弓削「任せていいです?」
遊佐「ん、取り乱してたけど大丈夫。それにこいつも一応クラスメイトだしな責任を持って連れて行く」
弓削「わかりました。」
遊佐「すまんかったな」
弓削「いいえ、ちょっと楽しかったです」
遊佐「んじゃ、鍵を閉めていくから。弓削は先に行っててくれ」
弓削「はい、失礼します。」
遊佐「ん、また放課後な」
弓削「あ、あとその文字ですが水性なので消せますよ」
遊佐「わかった、後で消す」
このまま授業で出たらそれこそ校則違反じゃないだろうか?
弓削を見送って、中島を見る。
遊佐「さて、不審者さっさとパソコンを直してもらおうか」
画面をつけて中島を座らせる。

例の映像が出てカチャカチャといじりだした。
遊佐「本当に直してるのか?」
中島「〆Δσ」
遊佐「っま、いいか」
作業してる間にちょっと散らかっている物を片付ける。
遊佐「あ……矢がそのまま――」
なんか紙がついてるな……
まさか……矢文!?

 


『通報しますた』
     By 生徒会長

……

…………
何してるんだ、あの人
弓削も弓削だけどな……!

中島「oπ!oπ!」
遊佐「うるさいぞ」
何か言いたげだけど、意味が伝わりそうにないな。
てか何か卑猥な言葉に聞こえたのは俺だけか?
中島「л㊥:К!」
まったく意味がわかりません。
中島「&ёЮР(:」
何を言ってるかわからないけど、パソコンを直してるみたいだからいいか。
遊佐「しかし暇だな……このかばんの中身をはさみで切るか」
中島「( ゚д゚ )」
あ、何か初めて意思の疎通ができたような気がする。


 

弓削「そうですか……結局カバンはそのままなんですね」
遊佐「泣いて庇ってたからな。流石に惨くなった」
何であそこまで必死になるのかわからないがな。
弓削「データはちゃんと消したんですよね?」
遊佐「ああ、ちゃんと消したし。パソ研の部員にも言っといたから。変なところがあったらまた連絡があるだろ」
弓削「一応私も言っときました、何もなければいいんですけど」
遊佐「まぁ心配しても仕方がないな……とにかく明日にならないとわからない」
弓削「会長が帰ってきますし」
遊佐「だな、しっかし、甲賀先輩が居ないだけであんなに静かに感じるとは思わなかったな」
弓削「いつも気にかけて話しかけてくれますから」
遊佐「流石にあそこまでいくと気にかけてるって言うか首を突っ込んでるというか」
弓削「あははは……それは会長の前でいっちゃだめですよ」
遊佐「居たら、すごい目で威嚇されそうだな」
弓削「ですね」
少し苦笑いをしてる弓削がとてつもなく可愛く感じた。
遊佐「ん……んじゃ俺はこっちだから」
弓削「はい、また明日」
遊佐「ん~気をつけて帰れよ~信号機のある横断歩道は手を上げて渡れよ~」
弓削「わ……私そんなに子供じゃありません!」
遊佐「はは、だな。んじゃ、お疲れさん」
弓削「はい」
二人で来た道を帰るって結構うれしいもんだな……。
小学生とかよくやってたけどそれとはまた別で楽しい。
遊佐「さってと、週末だし。色々と頑張りますかね」

最終更新:2007年05月11日 14:10