遊佐「ふぅ……」
二人ともなかなか来ないな……。どうしたんだろう。
甲賀「おまたせ」
遊佐「遅かったっすね。お疲れ様です」
弓削「すいません遊佐さん。遅くなってしまって」
遊佐「あー、気にしないでいいよ。どうせ帰っても暇だからさ」
待ってても暇なのでなんの慰めにもならないことを口走っているが気にしてはいけない。要は伝えたいこと伝えられたらいい。
甲賀「それじゃ帰ろ。もう暗くなってきてるし」
遊佐「ま、この時間じゃ暗くなるのも当たり前ですね」
下校時刻はとっくに過ぎていた。
甲賀「何? その非難がましい非難は?」
遊佐「非難がましい非難って意味がわかりませんが」
弓削「……」
遊佐「弓削さん?」
弓削「あ、はい? どうかしましたか?」
遊佐「いや、別にどうってことはないんだけど。なんかその、沈んでるなぁと」
弓削「何でもないですよ。ちょっと眠たいから」
昨日あんまり寝てないんですよと付け足している。
遊佐「わかるわかる。学校にくると眠たくなるよね」
弓削「あはは……」
甲賀「それじゃあ早く帰って寝ないとね」
弓削「うん……」


二人と別れを告げた。電灯が付き始めるほど暗くなっていた。
遊佐「そのしてもじめじめするな……」

遊佐「はっ!」
窓の外が明るかった。時計を確かめてみる。
ぐはっ! 既に七時半かよ……。とにかくさっさと準備せねば。
遊佐「気づいたら寝てしまっていたか……」
睡眠時間は約12時間。宿題どうしようかな……。まぁいいか。今日は学校で眠らなさそうだな。

学校への登校道はどこかを流用

ホームルームカット


昼までの授業を久しぶりに本気で受けてみたら時間はあっというまに過ぎて行った。
遊佐「……悪くないもんだな」

中島「遊佐っ遊佐っ! 飯いこうぜ!」
遊佐「なんだ、おまえは相変わらず飯のことしか頭にないのか?」
中島「どっちかというと女の子だな!」
さすが中島だ。違った意味で尊敬しちゃうぜ。どうやったらこういう神経になるんだろう。
遊佐「まったくお前は健全だよ」
俺も人のことは言えないか……。
中島「まぁ今はどっちかというと飯だよ。人はパンのみにて生くるにあらずだろ」
遊佐「……なんというか突っ込めばいいのかわからん」
ちなみに人は物質的なものだけで生きているのではなく、精神的な支えが必要だということだ。
実際そうなのかもしれないが、パンも必要だと言いたい言葉なのかもしれない。
遊佐「まぁとりあえず食べに行くことにするか」

中島「ほらよ……」
ジャンケンの負け犬がカレーを運んできた。
遊佐「おう」
中島「席取りは楽でいいよな」
遊佐「ジャンケンで負けるお前が悪いんだろ」
中島「くそぉおおぉおおお! 俺はぁ……なんて情けないんだぁああ!」
ジャンケンで負けたくらいで大げさな中島だった。
遊佐「周りに迷惑だからな」

午後の授業もそれはバッチリだった。昔の人はもしかして何気に健康だったのかもしれない。
日が沈んでは寝る生活。でも本当にそんな生活送っていたのだろうか。
遊佐「……」
俺の脳細胞は今日も元気に無駄なことに活用されていった。

遊佐「ちぃーっす」
弓削「あ、遊佐さん」
今日の生徒会室には弓削さんしかいなかった。
遊佐「あれ、弓削さんだけ? 会長は?」
弓削「あ、今日は休んでます……」
意外な展開だった。まさかあの会長が休んでるとは思わず。
弓削「……」
間口につったって俺はどうしようかと思案していた。
遊佐「えーっと。なんかすることあるかな?」
弓削「あ、えっと……」
なんだかよそよそしい態度だな……。まぁもともと部外者だからそうなのかもしれないが……。
遊佐「あ、無いなら今日は帰るけど」
弓削「……」
なんだこの雰囲気。どうすればいいんだ……。
遊佐「弓削さん?」
弓削「先輩は……、先輩は……。忍ちゃんのことどう思ってますか?」
遊佐「どうって……気楽な先輩だなぁと」
弓削「そうじゃなくて……その……」
どうしたんだろう……。言いにくそうにしている。
弓削「忍ちゃんのこと好きでしょうか……?」
遊佐「え…………」
何秒、俺は黙っていただろうか。あまりにも唐突だった。
遊佐「そりゃ……嫌いじゃないけど」
弓削「そう……ですか」
質問に対しての肯定とも否定ともいえないような返答をしてしまう。
遊佐「あのさ、昨日からなんか元気ないけどどうしたの?」
弓削「いや、元気ですよ……」
深入りするのもどうだろうか、と考えてこれ以上は聞けなかった。


夜★

がばっ!
遊佐「寝苦しいっ!」

朝○


遊佐「おーっす」
見知った顔を前方に見つけた。
聖「ああ、遊佐か」
ましろ「おはよー」
遊佐「昨日は夜寝苦しかったな……」
ましろ「熱帯夜なのかなぁ」

ホームルーム


遊佐「ふぁぁ……」
昨日と一転して相当眠たい。睡眠時間を分けれたらいいのにな……。
中島「おぃ、遊佐」
遊佐「あん? あ、悪い」
プリントを回されいた。
遊佐「ん~?」
お、この前の生徒会長からのお便りじゃないか。本当に書いてるんだな。
中島「なんだこれ? 変じゃねえか?」
中島がその項に指さしながら俺に同意を求めてくる。
遊佐「ああ、これ? 別にいいんじゃないか」
中島「えぇ……お前おかしいって」
遊佐「……そうか?」
まさかこれをおかしくないと思うのは俺と会長だけなのだろうか。心なしか周りの雰囲気もあれだ。
遊佐「ま、まぁ案だし別にやるわけじゃないし、そもそもやりたくないやつはやらなけりゃいいんだろ?」
中島「まぁそうだが。会長もなかなか変なこと考えるな」
なんだか俺も馬鹿にされている気がしてしまうぜ。

昼飯


そういえば今日は会長来てるんだろうか……。というか何で休んでたんだろう。風邪とかだろうか。
遊佐「風邪、引きそうにないけどな」
とても失礼なことをいってるような気がするが、そんなことは全くない。
中島「おーい、遊佐。飯はどうすんだー?」
遊佐「あぁ、食道……んーいや、やっぱパンにするわ」
中島「そっか。んじゃま一緒に行こうぜ」
なんとなく食道って気分じゃないし、お金だって大切に使わなければならない。というわけでパン。
だが、パンは相変わらずに盛況っぷりだった。
遊佐「はぁ、相変わらずだな」
中島「だな。ま、がんばってパンを確保するんだな」
中島は食道で買うらしいので去って行った。
どうしようかと考えているとその喧噪から少し離れた所いた。村崎先輩が。
遊佐「村崎先輩、どうしたんですか?」
村崎「ん? あぁ、君か。ミカン用にパンを買ってやろうと思ったのだがな」
遊佐「あれ、パン、食べるんですか?」
ミカン、あの爬虫類……。
村崎「食べるぞ。メロンパンが好物だ」
なんだかかわいらしかった。
村崎「しかしこの混雑では駄目かも知れないな」
遊佐「そうですね……」
メロンパンなんてポピュラーなものは早く売れてしまうかもしれない。後に残っているパンはたいていわけのわからないものだからな。
村崎「まぁいい。今日は早めにでれなかったからな」
遊佐「あ、先輩。一応今からこの中突撃するんでメロンパンあったら買ってきますよ」
村崎「それはありがたいが」
遊佐「いいんですよ。ついでですから」
メロンパンが存在するかは保証しがたいが。そして今メロンパンが一つ横をすぎ去って行った。
村崎「すまないな」
遊佐「じゃ、行ってきます。うおおぉおおお!」
そして、俺は……突撃した。
ぐお、なんて、圧力!人が時々圧死するのもうなずけるかもしれん!パンが腕の射程にはいる。
勝負は一瞬! 見極める!!!!
遊佐「おりゃっ」
人ごみをすり抜けてまずハムマヨネーズをゲットする。なかなかの上玉だ。
そして次はメロンパンを探す……あった! ラスト一つ!
しかし同時に手が伸びてくる。
遊佐「させるか!」
素早く他のパンをその手に投げる。囮だ。
遊佐「よっしゃ!」
メロンパンをなんとかゲット! そしてついでになんかよくわからない菓子パンをゲットした。
遊佐「おばちゃぁーーーん!」
店員「350円ねぇええ!」
………………ここは、相変わらずの戦場だった。
最終更新:2007年10月22日 01:02