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中島「昼飯どうする?」

どこからとも無くポップしてきた中島。
まあ、クラス一緒だからどこからとも無くって訳でもないんだが。

遊佐「フライングで入手しておいたから問題ない」
中島「相変わらず用意いいねぇ」
遊佐「お前もな」

正面の席にどかっと座りパンを齧る中島。

遊佐「ほう。コロッケパンか。良いチョイスだ」
中島「まぁなって、お前もコロッケパンだろ」
遊佐「いや、これはカニクリームコロッケパンだ」
中島「カニクリームコロッケだと!?」

がたっと勢い良く立ち上がる中島。

遊佐「ああ、試作品らしい。一番乗りしたらくれたぞ」
中島「か、かにくりーむころっけ……」
遊佐「なかなか美味い。次の主力商品になるかもしれんな」
中島「遊佐」
遊佐「どうした?」
中島「そのパン。俺によこせぇぇぇぇぇぇ」

中島がゆらりと立ち上がり俺ににじり寄ってくる。
見える。あいつの背中に、カニクリームコロッケに飢えたボギーが。

遊佐「お、俺は脅しには屈しないぞ」

迫力に気圧されながらも、パンとオレンジジュースを確保し、後退する。

中島「よこせぇぇぇぇ。よこせぇぇぇぇぇ」
遊佐「既に理性が崩壊している……」

ボギーじゃなくてグールだったか。
とりあえず逃げよう。

杏「きゃっ」
遊佐「どわっ」

教室の入り口に猛ダッシュで向かったのだが、丁度そこに居た杏にぶつかってしまった。
意外と可愛い悲鳴だったな。
っとそうじゃなくて。

遊佐「すまん。大丈夫か?」
杏「…………」

ちょっと恨めしそうな目で俺を睨む。
でも、パッと見、痛そうな様子も見えないけど……。

遊佐「あ」

良く見れば、彼女の腕の包帯にべっしゃりとオレンジジュースがかかっていた。

遊佐「ご、ごめんっ!」
杏「……ふん」

慌てて謝ったけど、聞く耳持たず、と言った様子で踵を返す杏。

遊佐「ちょ、ちょっと待った!」

思わず、はしっと彼女の腕を掴む。

杏「……何?」

ああ、すげーいらついてるよ。
声が物凄い不機嫌だし。

遊佐「ほら、包帯交換しないとまずいじゃん?」
杏「放っておいて」

手厳しいな。
けど、放っておいたら間違いなく水で洗うとかで済ませると思う。
保健室とか行きそうにないし。

遊佐「俺のせいだし。保健室いこう」
杏「あ、こら。離してっ」

抵抗する杏をぐいぐい引っ張って保健室へ向かう。
……あれ? この光景ってちょっとまずい?

中島「遊佐が杏を保健室に連れ込……」

ああ、教室から嫌な言葉が聞こえた!
すごく卑猥に聞こえますよ!?
とりあえず後で中島泣かす!

…………
……

ある種のさらし者状態だったけど、保健室到着。
何だか俺の名声が一気に下がった気がするぜ。

ましろ「保健室にいらっしゃいませ~」
遊佐「あ、ましろちゃん。保健委員だったんだ?」

中に居たのはましろちゃんだけだった。
好奇の視線に晒され続けたのもあってか、少しほっとする。

ましろ「まあ、一応?」

何で疑問形?

遊佐「ま、いいや。包帯の替えってあるかな?」
ましろ「まあ、それは保健室だからあるけど……?」
遊佐「杏の包帯にジュースかけちゃったから、交換してあげて欲しいんだけど」
ましろ「ああ、なるほど」
杏「替えを渡してくれれば一人でするから」
ましろ「ダメだよ。ちゃんと結ばないとすぐ解けたりするし」
杏「問題ない」
ましろ「はい。けが人は大人しくね。後、遊佐君は外に出ててね」
遊佐「え?」
ましろ「女の子のヒミツを覗くなんてしちゃダメだよ」
遊佐「それはステキな響きだね」
ましろ「分かったら回れ右してサクサク歩く」
遊佐「へーい」
ましろ「はい。それじゃ、杏ちゃん。脱ぎ脱ぎしましょうね」
杏「ちょっ。やめっ」

すげー振り向きたい! すげー振り向きたい!

ましろ「遊佐君。足とまってるよ?」
遊佐「ゴメンナサイ」

保健室から追い出された形だが……。
どうしようかな……。
そういえば聖見てないな。

1.教室に食事に戻る。
2.杏が出てくるのを待つ。



――――――1選択のケース(ましろフラグ全消失&好感度-5


まあ、とりあえず教室に戻るか。
中島に制裁をくわえないといけないし。



――――――2選択のケース(ましろ好感度+2

とりあえず、昼飯の続きでも食べながら待つか。
もぐもぐ……。
もぐもぐ……。

遊佐「ん?」

静かだった保健室から話し声が聞こえる。
なんだろう?
まあ、二人しか中に居ないけど。
あの二人が仲良くおしゃべりというのは、いまいち想像できない。
イメージ対極だし。

遊佐「むくむくと成長する好奇心に俺は負けたのだった」

独り言を呟いてから保健室の扉に耳を当てる。

杏「……には関係ない」
ましろ「たし……そう……」
杏「分かっ……放っ……」
ましろ「……た。でも……いい?」
ましろ「死に……も気に……」
杏「なっ!?」
ましろ「念のため……にしても……止めないよ?」

途切れ途切れに物騒な単語が聞こえる。
でも、良く聞こえないな。
もう少し密着してみよう。

ましろ「もし死にたいなら、今度は首を切れば良い」
ましろ「そうすれば、確実に死ねるよ」

遊佐「え?」

ましろちゃんがとんでもない事を言った。
呆然となる思考。

ましろ「自分でその勇気が無いなら、わたしが殺してあげる」

続いて耳に入って来た冷たい言葉。
これは、本当に、ましろちゃんが、言っているのか?

杏「な、何をばかなっ」

杏のいうとおりだ、なにを馬鹿なことを言ってるんだ?
冗談だよな?
ましろちゃん。
ふらふらと、気づいたら扉からはなれ、壁に寄りかかっていた。
そう、言えば……。

遊佐「たまに、変なことあったよな……」

ましろちゃん。いつも笑顔で、ちょっと抜けてるところもある。
でも、俺は何か聞き漏らしていたのかもしれない。
彼女の笑顔の裏の何かを。

遊佐「俺は……」

今、初めて、本当の意味で彼女の事を知りたいと思った。

…………
……

しばらくして出てきた杏は、どこかぼーっとした様子だった。

遊佐「おつかれさん」
杏「あ」
遊佐「どうした?」
杏「いや、ちょっと一人にさせて」

フラフラとどこかに歩いていく杏。
多分、俺も似たような状態だろう。

遊佐「ふぅ……」

ため息一つ吐いて、俺も重い腰をあげた。
チャイムが鳴る前に、教室に戻ろう。
とりあえず、いつもどおりに振舞おう。
最終更新:2008年04月04日 15:52