遊佐「何で俺が……」
クラスでの話し合いの結果を
生徒会室に持って行く役目を押しつけられてしまった。
遊佐「くっそ、中島のやつめ」
あの時俺が、グーを出していればっ。
……。
あほらしい。さっさと渡して帰ろう。
遊佐「あのー、すいまっ!?」
そこにはあられもない格好の忍先輩が居て……。
忍「ちょ、うわっ!」
ぎゃー!? 何してるんですかあんた!?
忍「着替え中! 早く! ドア、ドア閉めて!」
遊佐「えっ! ああ! すいません!」
ばんっ!
遊佐「……」
焦った……ものすごく。そして忍先輩の……。
忍「でぇい!」
どぉおおん!
ものすごい勢いでドアが開けられる。そして睨み付けてくる先輩の顔が見える。
遊佐「うぉっ!?」
忍「遊佐君……!」
遊佐「いや、俺は悪くないでしょう?!」
忍「問答無用ぉ!」
……ごぎっ。
あ、入った。首に手刀が……。
遊佐「……っ! ……!!」
忍「……あ! ごめん。やり過ぎた」
痛みに耐えきれず俺は膝をつく。
遊佐「ちょ、ごほっごほ……手加減ってものをして下さい、げほ」
忍「いやー、ちょっと焦ってさ。ほら、しょうがないじゃない? よくある失敗だよ」
遊佐「どういう失敗なんですか」
忍「いやー、だって、ほらね。遊佐君が覗いたし」
遊佐「とりあえずそれも絶対先輩が悪いですよね」
忍「ちょっとは私も悪かったかな、うん。謝罪はする。ごめん」
忍先輩が手をのばしてくる。それを掴んで立ち上がる。
遊佐「てて……もういいですよ。とりあえず、これ渡します」
忍「何? ラブレター?」
遊佐「違います……何でそうなるんですか」
忍「え、惚れてないの?」
だー! やっぱり忍先輩との会話はペースが乱れる!
遊佐「やっぱり怒りますよ?」
忍「あー、わかってるわかってる。はいはい受け取りましょう」
遊佐「たくっ。何で先輩はそうむちゃくちゃなんですか。だいたい何で……いや、やっぱいいです」
忍「そうそう。無かったことにしておいて」
遊佐「俺の首が痛いうちは無かったことになりませんが……」
これ絶対あざになると思うんだが……鏡見るたびに思い出しそうだ。
忍「あー、そうだ。これついでにお願いしたいんだけど」
先輩がポケットから何かの鍵を取り出して俺に見せる。
遊佐「これを何です?」
忍「ちょっと使う必要のある教室があってね。鍵がないと開かなかったから」
遊佐「俺は用途を聞いてるわけじゃありません」
忍「んで、その教室使い終わったから返しておいて欲しいわけ」
遊佐「俺の首に手刀入れといてですか……」
忍「うんっ!」
あー、くそう。いい笑顔だなぁ。……しょうがないな。
遊佐「わかりましたよ。返しておきますよ」
忍「んじゃ、はい。任せたよ」
遊佐「ん。それじゃあ失礼しました」
忍「じゃあねー」
ふぅ。災難だった。やっぱり明日中島を絞めとこう。
何となく鍵をじゃらじゃらいわせる。……ん? 鍵ってどこに返せば良いんだ?
もしかしたら先生かもしれないし、職員室かもしれない。……重要なこと聞いてなかったな。
戻って聞くか。目的がわからないまま行動するのは何より疲れる。
遊佐「先輩ー。これどこに返せばい……っ!」
忍「うわー! バカ!」
びゅん! かーんっ!
遊佐「んがっ!」
……何でまた着替えてるんですか。
最終更新:2008年06月24日 03:06