さて、次の授業は体育なわけだが。
着替えも済ませた俺は中庭の木陰でのんびりしていた。
優雅なひと時だ。
ごろごろしてるとサボりたくなるが、それよりも。
ぽつぽつといる女子の体育着姿が眩しい。
聖「何をしている?」
不意に、俺の視界にふとも……もとい、聖が割り込んできた。
遊佐「見ての通りゴロゴロしてる」
聖「私には女子の姿を眺めてニヤニヤしてるように見えたんだが」
遊佐「気のせいじゃないか?」
しれっととぼけて見せるが、聖はじとーっとした視線をやめない。
聖「はぁ。全く……」
あきれたようなため息をつかれたが、気にしないでおこう。
遊佐「で?」
聖「ん?」
遊佐「何か用でもあるのか?」
聖「いや、特には無いな」
遊佐「珍しいな」
聖「何がだ?」
遊佐「俺に用もなく声をかけることかな」
聖「まあ、そうかもな」
遊佐「座るか?」
聖「遠慮しておく」
ゆったりとした空気が辺りを包む。
聖が大人しいこともあるんだな。
遊佐「ああ、ましろちゃんがいないからか」
聖「ましろならまだ教室だが」
遊佐「ん? いや、聖が静かな理由」
聖「私が騒がしいみたいな口ぶりだな」
遊佐「はっはっは。流せよ」
さりげなくグーを用意するのはやめろよ?
聖「いつもはお前がちょっかいを出すからだ」
遊佐「俺は普通にしてるだけだぞ?」
聖「迷惑な奴だな」
遊佐「お前には言われたくないんだが……」
聖「ましろにいらぬちょっかいを出す輩が悪いだけだ」
遊佐「まあ、それでいいよ」
何でそんな事してるんだろうなぁ。
遊佐「なあ。聖」
聖「何だ?」
遊佐「聖って、何でましろちゃんを守ってんの?」
聖「祖父の遺言だ」
遊佐「マジか?」
聖「嘘だ」
がくっ。
遊佐「な、なかなかお茶目じゃないか。コノヤロウ」
体勢を戻しながら苦笑いを浮かべる俺に、聖はそっぽを向いた。
聖「そもそも答える必要もないだろう」
遊佐「まあ、そう言われるとどうにもだが」
しかし……。
遊佐「気になるじゃないか」
聖「なぜだ?」
――――――選択分岐A
1.ましろのことが知りたいから
2.聖のことが知りたいから
――――――A1選択のケース(変化なし
遊佐「ましろちゃんのことでもあるしね」
聖「ふん。なおさら答えると思うか?」
遊佐「理由を聞いたら俺も引っ込むかもよ?」
聖「信じられるか」
――――――A2選択のケース(聖好感度+1
遊佐「それはほら、聖のことが知りたいからだ」
聖「恥ずかしげもなく、良く言えるな」
遊佐「惚れんなよ?」
聖「誰が惚れるか」
――――――選択分岐A終了
遊佐「つめてーなー」
聖「当たり前だ」
遊佐「で、何でなんだ?」
聖「しつこいな。お前」
遊佐「それほどでもない」
聖「やれやれ……」
んー。何か答えづらい事情でもあるんかねぇ?
まあ、気になっただけだけど……。
聖「そうだな……」
遊佐「ん……」
聖「似てた気がしたんだ」
似てた?
遊佐「誰に?」
聖「さあ、誰だろうな」
曖昧にわらって誤魔化す聖。
聖「で、仲良くなって、気がついたらこうなっていた」
遊佐「説明になってないぞ」
聖「譲歩してやったんだ。我慢しろ」
遊佐「へいへい」
聖「ま、それだけだな。大した理由ではない」
遊佐「ふぅん」
聖「実際は全然似てなかったが、これ以上は贅沢だな」
遊佐「これ以上……ねぇ」
やれやれ、訳が分からんな。
聖「私はこれで行くぞ。授業遅れるなよ」
遊佐「あー。まてまて」
聖「なんだ?」
遊佐「もう一個いいか?」
聖「わがままなやつだな」
遊佐「あのさぁ」
――――――選択分岐B
1.誰のために?
2.本当は誰を?
――――――B1選択時(聖好感度+1
遊佐「それって誰のためなんだ?」
聖「痛いところを突くな」
遊佐「嫌なら答えなくてもいいぞ」
聖「じゃあ、そうさせてもらおう」
――――――B2選択時(聖好感度-1
遊佐「本当は誰を守りたかったんだ?」
聖「教えてやると思うか?」
遊佐「一応聞いてみただけさ」
聖「ふん」
――――――選択分岐B終了
聖「もう無いか?」
遊佐「ああ、最後に一つ」
聖「最後だな」
遊佐「スリーサイズと風呂でどこから洗うかを教えてくれ」
聖「死ね」
遊佐「ぐふぉっ」
座ってる俺のアゴを綺麗に蹴り上げて去っていく聖。
遊佐「やれやれ」
何か湿っぽい空気を打ち消そうとしただけなんだけどなぁ。
遊佐「あいつにも色々あるんだな」
さて、俺もそろそろグランドに向かうか。
最終更新:2008年10月10日 04:46