3限目の授業が終わって俺は約束通りパンとジュースを買いにいく。
遊佐「カツサンドでいいのか? やっぱ一応女の子だし甘いものもあったほうがいいか?」
というわけでメロンパン2個とカツサンド2個を購入しヨーグルトのジュースを販売機で2個購入する。教室に戻るとするか。
聖「おい」
遊佐「お、よう」
聖とましろだった。
聖「杏はメロンパンよりこっちのアンパンのほうが好みだ。持っていってあげて」
そういって聖はアンパンを渡してくる。
遊佐「わざわざ来てくれたのか。ふーん。なるほど。んじゃかわりにメロンパン」
俺はメロンパンを渡した。渡されても困るという顔をする聖。いいからと俺は手をひらひらする。
聖「悪いな。変なこと頼んでしまって」
パンを見つめながら俺に言う
遊佐「んー。気にするなよ。朝も言っただろ。俺も気になってたしな。頼まれなくたって、な」
ましろ「そうだよ。やさしいもんね。遊佐君」
……。
遊佐「は? 俺が?」
ましろ「そうそう」
遊佐「んなわけねー」
聖「いや、私から見ても女性に対しては紳士だと思うぞ」
遊佐「紳士って単語が飛び出すのにも驚きだが、俺はそんなんじゃねえよ」
ましろ「だって、紳士は女の子を見捨てられないんだよ?」
ましろと聖が俺をやさしいジェントルマンにしたがる。
そういえば杏も正義感がどうのこうのいってたな。
遊佐「困ってる人を見たら助けるのは当たり前だろ?」
聖「そう言えることが紳士だと思うのよ」
ましろ「そうだよね」
遊佐「はいはい。わかりましたよ。次の授業遅れるから戻ろうぜ」
あー。つまんねえ。さっさと4限目の授業おわんねえかな。
俺は黒板の上の時計を見ながら授業の終わりを待った。
遊佐「いよっしゃ終わった!」
俺はゆっくり立ち上がると杏の席の方をみた。
遊佐「あり? いない」
俺は聖に尋ねてみる。
遊佐「どこいったか知らね?」
聖「4限目はいなかったようだけど」
遊佐「ありゃ?知らなかった。どうしようかな」
1待ってみる (杏を信用するといった点で○w)
2探しにいく (会えなくて×)
3一人で食べる。(言うまでもなく×)
遊佐「待ってみるかぁ」
俺は昨日と同じ席に座って待つことにした。
少しして教室のドアを開けて入ってくる杏の姿を見つけた。
遊佐「よ。どこにいってたんだ?」
杏「屋上」
そういって席にすわる。
遊佐「んでほら、カツサンドとアンパン」
ほう……。アンパンに目をやったな。さすが月島姉。好みを抑えてるぜ。
遊佐「アンパンよりメロンパンのがいい?」
なんてふざけて聞いてみる。
杏「別に、アンパンでいいわ」
遊佐「あ、そう?んじゃ俺はメロンパンで」
俺はにやにやしながらカツサンドの袋を開けた。
杏「何をにやにやしてるの」
遊佐「いや? 別に?」
ふん。といつものようにしてアンパンの袋を開けた。先に菓子パン系を食べるのもどうかとおもったが好きなものは先に食べるタイプといったところか?
遊佐「んー。やっぱカツサンドはうますぎる。140円払う価値がある……」
杏は何もしゃべらないが別に気にしない。逆にしゃべりかけられても困るが。
杏「お金、払うわ」
うおぅ。心を読まれてるのか……?
遊佐「あ、忘れてたな。んーとカツサンドが140でアンパンが」
何円だっけ?
遊佐「あー、90だったかな。それとジュースの100で330円で」
まぁたかがアンパンだしそんなもんだろ。
杏「……」
机に置かれた500円玉。
遊佐「む、細かいのない? お釣りあったかな」
財布を漁る。お、あったあった。
遊佐「はい170円」
俺はあえて手渡しをしようとする。しかし杏は手を出さない。
遊佐「いらないの?」
杏「……」
しぶしぶ手を出す。うむ、コミュニケーションだこれも。多分。
遊佐「しかしまー。屋上にいて暇じゃない?」
杏「別に。ここにいるよりはましよ」
遊佐「まぁここにいるのもつらいのは確かだが、ぼけーっとしてりゃいいんだしな。何もない屋上よりはこっちのがいい気もするが」
杏「好みの問題よ」
遊佐「まぁそりゃそうだな」
その前に授業をサボるよりは授業を受けたほうがマシだとは思ったがここはおいて置こう。
遊佐「でもさ、アンパン先に食べたら。なんていうの? こう口の中がべったりっていうか甘ったるくなってさ。味わかんなくならない?」
俺は次にメロンパンの袋を開けながら尋ねた。杏子はまだアンパンを食べている。意外と食べるの遅いんだな。まぁ勝手なイメージだったわけだが。
杏「別に」
遊佐「あ、そう?」
これ以上話を引っ張るのは無理だった。杏はストローをパックからはがして取り出す。
遊佐「あー。わかってないな。パックのストローははがすと捨てるのが面倒だろ? だからこうやって爪で押し出してとるんだよ。そしたらほら、まとめて捨てられるだろ?」
不燃ごみと燃えるごみの違いはこの際無視される。
杏「……」
思いっきりはずしたようだ。反応もなくストローをパックにさして飲み始める。
遊佐「やっぱヨーグルトうまいよなー。黒酢を飲んだときは最悪だった……」
杏「そう」
そんな会話を続けながら俺たちは食事を済ましていく。
……ほぼ一方的でも会話って言うよな?
はたから見ればあきらかに変な組み合わせだろうがそんなことは関係なかった。
5限目が始まったときにはすでに杏はいなかった。かばんがないことをみれば帰ったのだろう。
うーむ。まさか俺との約束のためにわざわざ?
遊佐「んなわけないよな……」
なんて自惚れる自分に呆れた。
遊佐「今日は他のやつらも付き合いわるいし、一人で帰るかな」
聖「おい。悪いが、今日一緒に帰れないか?」
遊佐「あれ? ましろは?」
聖「今日は何か用事があって急いで帰っていった。それに遊佐とは話したいことがある」
面と向かって言われた。俺も断る理由もないし、承諾した。
遊佐「あぁ、いいぜ。んじゃ行こうぜ」
カバンを取って俺は聖と一緒に教室を後にした。
最終更新:2007年01月14日 06:08