装飾班を選んだ場合
久々津舞ルート【対武僧戦ヒント】


●本館下駄箱前

本館下駄箱前に行くと甲賀先輩が待っていた。
他に生徒はいない。どうやら俺達だけのようだ。

【しのぶ】「意外と早かったね。それじゃあ、早速だけど……」
甲賀先輩は、パール状のトランシーバーで連絡を取り合っている。
【しのぶ】「うん、そう10人ほどいるよ。……ほい、了解した。
      うし!じゃあ、半々に分かれて作業してもらうよー。
      あたしが適当に班分けちゃうね」

俺と中島はそこで別れた。
どうやら俺は、得点板の設置をする事になるようだ。
設置場所は2階、1年D組と1年F組。
男手が足りずに設置が遅れているそうだ。急ごう。



【俺】「助っ人に来ましたー、何をすれば良いですか?」
俺は1年D組の教室に入り、あたりを見回すと、
女の子が数人いて看板に装飾などを施していた。
その中に久々津舞の姿もあった。

【舞】「遊佐先輩、ようお越しやす~」
【マトン】「飾リ付ケは、モウ終ワッテいるゾ。
      サッサとコレヲ設置スルが良イ」
【舞】「これ、マトン君。そんな言い方したらあきまへん。
    お願いしますやろ?」
今日はマトン君が一緒のようだ。相変わらず高慢なキャラ全開だった。


【俺】「おーけー、これを窓の外に付ければ良いんだね?」
【舞】「お願いしますどす~」
装飾が施された得点板を数人で持ち上げて窓の外に出した。
落ちないようにワイヤーを窓枠に括り付ける。
それだけの作業だが、やはりそれなりの重量があり女生徒だけでは大変なのは容易に想像できた。
落とさないように慎重に、かつしっかりと取り付け、
この教室が終わったら隣の教室も同様に設置作業を行った。

【俺】「うーし、終わり!久々津さん、終わったけど何か仕事ある?」
【舞】「そうどすなぁ……、ほなら飾付けを手伝ってもらわしまへんやろうか?」
【俺】「りょーかい」

俺は久々津さんの隣で、紅白の紙で花を作る作業を手伝う事にした。
何枚かを重ねて折っていき、それを一箇所で留めたら開いて作るあれだ。
ふわふわな感じをだすにはちょっとしたコツがいる。
久々津さんの作る花はとても可愛らしく、ふわふわで品があった。
一方俺はというと、なんか萎びててぺちゃんこで下品だった。

【マトン】「ココロの差が出テおるナ」
【俺】「くっ……!どうせ俺はすさんでますよ!」
久々津さんは左手がマトン君になっているのに、器用に花を開いていく。
無機質な紙を有機質な花に生まれ変わらせているかのようだった。

【舞】「マトン君、そんな事言ったら失礼やで?
    先輩はみぃ姉みたいに、ちょっと不器用なだけ」

意外とはっきり仰るじゃないか。
マトン君と久々津さんの棘のある言葉攻撃を受けながら、不器用なりに少しずつだが経験値を積んでいった。
暫くすると、久々津さんのようにはいかないが、ある程度ふわふわの可愛い花が作れるようになった。


【俺】「こんな感じでどうだろう」
【マトン】「まア……、ギリギリ合格といったトコロか」
【舞】「短時間で成長しなはったなぁ。かいらしどすえ。
    みぃ姉よりは器用じゃおまへんか?」
舞+マトン=50点ってところだろうか……。

【舞】「もう少しコツを掴めば、よろしゅうなりますえ。
    こう……やさしく……丁寧に。
    ほら、かいらし」
あっという間にふわふわかいらし花が完成した。
久々津さんはその花をにっこりと笑いながら投げてよこした。
持った感じもふわふわだった。

【俺】「なるほど……」
俺は久々津さんに教わった通りに、こう……やさしく……丁寧に。花を開いてみた。
するとどうだろう、今まで作っていた拉げた花なんか比べ物にならないくらい、
ふわふわでかいらし花が出来たではないか!
たった一度見ただけだったが、手が作り方を知っているかのように動いて、
まるで久々津さんに操られているかのような不思議な気分だった。
その上手に出来た花を見て、久々津さんは満足そうに笑った。

【舞】「良い出来どす。みぃ姉も、もうすこし器用なら、
    あの技も失敗しないのに」
【俺】「あの技?」
【舞】「失敗して、先輩がいつも災難におうとるアレどすぅ。
    みぃ姉はどんな技も最後だけ失敗して、バランスを崩すの。
    心を器用に扱えないから」

心を器用に……。良くはわからなかったが、武僧先輩はどうやらいつも同じ失敗をするらしい。
精神的に弱い部分がある、そういうことだろうか。
「あの武僧先輩にも弱点はあるんだね」というと、
「誰にでも弱い所はありますえ」と少し寂しそうな顔で言った。

ある程度装飾班の作業に目処が付いた時、他の作業にまわるよう新しい命令が下った。
俺はグラウンドに出て、設営やバリケードの設置をしている他の傭兵達と合流した。


最終更新:2009年02月12日 01:54