いつも通り授業が終わった。まぁ杏がいないのも当たり前なのだが。
きょうは久しぶりに野郎共と帰るか。
遊佐「久しぶりに一緒に帰ろうぜ」
中島「おう。んじゃちょっと俺は職員室に用事あるからよ。下駄箱でな」
遊佐「あいよ」
俺はカバンに筆記用具を適当に投げ込んだ。
「遊佐」
と声をかけられた。おれは聖だとおもって振り向いたが違った。
遊佐「む。杏。珍しいなお前から声をかけてくるなんて」
いつのまにか教室に帰ってきていたようだ。
杏「この前の犬のことだ」
遊佐「あぁ、何。今日退院とか?」
杏「そうだ。お前も気にしてただろう。だから、その」
遊佐「ん?」
杏「一緒に、行かないかと思った···だけだ」
1わるい、約束しちまった
2一緒にいく (ここは断っちゃだめだろってことで2)
遊佐「おう、もちろん行く」
まぁ奴には適当にメールしておけばいいしな。
―わりい、用事出来た。先帰るわ―
送信完了
遊佐「うし、んじゃ行こうぜ」
杏「あ、あぁ。いいのか?」
遊佐「野郎と帰るより杏と帰るほうが新鮮だからな」
遊佐「でさ、結局お前あの事故の後ずっと病院に犬の様子を見に行ってたのか?」
杏「そうだ」
遊佐「へぇー。やさしいところあるじゃん」
杏「……」
遊佐「でもさ、あの犬って首輪してたよな。やっぱり捨て犬だったのか?」
杏「そうらしい」
遊佐「人間って勝手だよな」
杏の足が止まる。
杏「そうね。本当にそう」
遊佐「……杏?」
杏「でも、犬は知らないのよ。人間がどんなにひどい生き物か。人間なんて最低よ。何もかも見下して、他人より上になろうとする」
遊佐「そう、なのかな」
悲しみを携えた目。俺は立ち尽くす杏の姿から物凄い暗いものを感じた。
遊佐「少なくとも他人より上になろうとするのは否定できないけどよ。最低だってのは納得いかない。俺はさ、お前のその犬に対するやさしさはさ、すげえと思うよ」
杏「……」
遊佐「お前と知り合ってもう???が経とうとしてるけどさ、お前のこと前よりよく知ったのはここ2週間くらいだ。だけど俺がずっと前にイメージしてたお前と今のお前、全然違う」
杏「どう違うの?」
遊佐「俺も、ただなんとなく不良なんだな、なんて思った。だけど不良とは違ってさ、何って言うのかな。演じてるって感じがするんだ。違った自分を。無理してる」
杏「もしそうだとして、何故私に関わってくるの?」
何故だろう。俺は自問する。何故だ?
遊佐「俺は、いらないお世話っつうのか、自惚れっつうのか……。お前をさ、助けてやりたいんだよ。お前、苦しんでるように見えるんだよ……」
杏「……そう。確かにそうかもね」
一瞬、杏が微笑んで見えたのは俺の気のせいだっただろうか。そして杏がつぶやいた言葉はいったいなんだったのだろう。俺は聞き取れなかった。
杏「行きましょう。ここにいても無意味だわ」
遊佐「おう」
遊佐「よかったなー。お前助かってよ。杏に感謝しろよ」
元気になった犬がしっぽを振っている。
遊佐「で、この後こいつはどうするんだ」
杏「…………」
遊佐「あの、杏さん?」
嫌な予感。
杏「考えてない」
遊佐「だぁああああ!」
おれは素でずっこけた。
遊佐「考えて無いって……。どうすんだこいつ」
杏「……任せた」
遊佐「任せられても困るぞ……」
とりあえず仕方なく事情を話して病院の先生にもう一日面倒を見てもらうことにした
先生「最悪こっちで飼い主を探してみるよ」
とのこと。まぁ病院の先生が探してくれるのが安心だろうがこっちも責任あるしな……。
遊佐「俺たちも探してみます」
学校で適当に当たってみるしかないか。
その後はいつものところで別れそれぞれ家に帰っていった。
そしていつものように飯くってだらだらして過ごしていると、
む、携帯に電話が。しかも電話番号知らない奴からだ。うーむ。
1出る
2出ない
遊佐「はい、もしもし」
電話「あ、私だ」
遊佐「む? 聞いた事のある声だな」
はっきり言おう。杏と聖の声、ほとんど差がないからわからない。
聖「聖だ。夜遅くに悪い。少し話したいことがあって。家、出られないか?」
遊佐「俺はいいけど、お前は大丈夫なのか?」
聖「あぁ、別に大丈夫だ」
遊佐「わかった。んじゃあの分かれ道のところでいいか」
聖「それじゃあそこで。すまない」
遊佐「気にすることじゃないって。んじゃな」
最終更新:2007年01月14日 06:38