7/16(月)
そうだなぁ、どうしようかな。誰に聞けばいいのか……。
杏「何を悩んでいる?」
杏がたずねてくる。
遊佐「いや、あの犬のこと。誰に頼んでみるかなと思って」
杏「そうだな。」
もはや定番の二人と杏を加えて四人で登校中だ。
ましろ「えー? 何の話?」
遊佐「よし簡単に説明してやろう。犬助けたが飼い主いなかった」
ましろ「全然わかんないんだけど……」
遊佐「つまり飼ってくれる人を探してるってわけだ。だれか心当たりいねぇか?」
ましろ「んー。そうだなぁ。心当たりはないよ。私も友達に聞いてみる」
遊佐「ま、よろしく頼むわ」
下駄箱で靴を履き替える。たく、何で一番下なんだ……。めんどくさいにもほどがあるぞ。
遊佐「それでよ、あの番組の最後のあれ、ぜってーやらせだと思うんだが」
ましろ「そうかな? 私、本当だとおもうんだけど」
遊佐「……お前明らかにあれはやらせだと思うぞ……」
教室の扉を開ける。
中島「よ、遊佐待ってたぜ。ちょっと聞きたいことあるから屋上に行こうぜ」
遊佐「中島、いきなりだなおい。ここじゃ駄目なのか? 屋上に行くのめんどいんだけど」
中島「さすがにここはちょっとまずいからな。いいからこい」
遊佐「んじゃ、しょうがないがちょっくらいってくらぁ。また後でな」
俺は3人にそういって中島について屋上まで上がった。

ガシャーン
遊佐「さて、何の話だ。さっさと話してくれ」
中島「おう、じゃあ単刀直入に聞くぜ……」
マジな顔だこれは。何だ……?
中島「お前、杏と付き合ってんのか?」
…………………………?
落ち着け俺。
お前、これは明らかに俺のことだな。うむ
杏。杏といえばあの杏しか考えられないな。うむ
杏と何?
付き合う。男女が付き合うことだよな···うむ
俺が、杏と付き合っているのか?
遊佐「は? 何いってんのお前」
中島「いいか、もう一度よく聞け」
中島「お前、杏と付き合ってんのか?」
遊佐「いや、違う……けど?」
中島「そ、そうか」
はぁーっと長いため息。
遊佐「いきなりなんだよ?」
中島「いや、昨日お前と杏が一緒に帰ってるところ見た奴がいたらしくてさ、それで付き合ってんじゃないかって教室で噂になっててさ」
はーなるほど。それで教室でやけに視線を感じたわけだ。
中島「それで、お前のために一応知らせとこうと思ってな。まぁ、俺も興味がなかったわけではなかったけどよ」
遊佐「わるいな中島」
中島「あぁ、まぁ用心しろよ? 噂だが相手が杏だからな、性質が悪いぞ?」
遊佐「んなの気にしてられねえよ。まぁ、そんな噂すぐ無くなるだろ」
中島「そうだといいけどな。何か困ったらすぐ言えよ?」
遊佐「おう親友よ」
中島「へ、恥ずかしいこと言ってくれるな」
遊佐「やっぱ今の無し」
中島「なんでよ!?」

その日の午前中の授業中、まったく集中できなかった。視線を感じるだけではないが俺の中で何かこう落ち着かないものがあった。

『お前、杏と付き合ってんのか?』

どうだろう? 別に今は付き合ってるわけじゃ、って今はって何だ。将来はそうなる予定か? なわきゃねえよ。でも、別に付き合っててもいいよなぁ。···はっ。
俺は一体いま何を?ぬぁーー。
こうして俺は授業中悶々して過ごした。

はぁ、やっと3限目終わったよ。パン買いに行くか。俺は席を立った。
「遊佐」
俺は振り返る。聖だった。
遊佐「よう。どうした?」
聖「今から購買なら私も行く」
遊佐「おう、さっさといってカツサンド確保しねえとな」
無機質な廊下を聖と並んで歩く。あー! さっきからそんなことばっか考えてたから意識しちまうじゃねえか!
聖「どうした?」
遊佐「いや、悪い。ちょっと中島から悩める話を持ち込まれて。ずっと悶えてた……」
聖「あの子との噂か?」
遊佐「う……、やっぱ知ってたか?」
聖「そう……だな。すまない」
遊佐「聖のせいじゃねえだろ。その謝るクセなんとかしろ」
聖「あ、う。わかった」
はぁ、聖も杏。最近何かと二人と一緒にいるな俺……。
嫌ってわけじゃないんだが……。

パンは確保した。黒酢もかった。今日は飴を持ってきてやった。後で気付いたが……まぁ特にコメントは無しにしておこう。
遊佐「そういえばよ、聖はいつも昼飯はどうしてたんだ?」
聖「私はいつも弁当だ」
遊佐「へぇ、手作り?」
聖「そう」
遊佐「ほー。うまそうだな」
聖「どうだろうな。別に自分で作った物をおいしいかどうかは考えたことがない」
遊佐「まぁ、確かに自分が作ったものをおいしいおいしい言われても困るが……」
聖「何だ? 疑ってるのか?」
遊佐「いや、聖が作るならうまそうだというのは本音だ」
聖「そうか」
遊佐「ましろは?」
聖「ましろもいつも弁当だ。母親に作ってもらってるそうだ」
遊佐「あー、やっぱり。何となく料理苦手そうだよな」
聖「……そうだな。お世辞にも上手いとはいえなかった」
遊佐「……今度教えてやれよ」
聖「機会があれば……」
最終更新:2007年02月19日 23:00